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新しい価値観の世界

2009/05/01 18:45
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価値観の変化

先日、科学技術振興機構のイノベーション誘発のための研究開発戦略というシンポジウムがありました。シンポジウムの主題は日本の社会の中でイノベーションを誘発していくにはどのような方法論や、政策的課題があるか、というものでした。

科学技術振興機構の方からのいくつかのプレゼンテーションがあった後、「これからの科学技術イノベーション政策と研究開発戦略」というテーマでパネルディスカッションがありました。パネリストは、総合科学技術会議の相澤先生、キヤノンの生駒副社長、日立の中村取締役、理化学研究所理事長の野依先生、京都大学総長の松本先生、という豪華な布陣で、それに文部科学省と経済産業省からそれぞれ岩瀬さんと西本さんという方がコメンテーターとして参加していました。

このパネルディスカッションは私にとって大変興味深いものでした。パネリストのうちの多くの方が、「この経済不況の後には、新しい価値観の世界が来る」という共通の認識を持っているようだ、ということに気がついたからです。

例えば、ノーベル化学賞の受賞者である野依先生は、「今起きているのは不可逆の変化であって、新しい価値観の世界が来る。そこでは、Quality of Lifeが重要である。たとえば文化を尊ぶような価値観を持ち、その構成員が誇りを持ち、他者に対して寛容であるような社会であろう。」というようなことをおっしゃっていました。ここで、Quality of Lifeは「生活の質」ではなく、「人生の質」と訳したい、というようなこともおっしゃっていました。

必ずしも、この「新しい価値観」がどのようなものになるかについて合意があるわけでは無いと思うのですが、私には、今まで、つまり20世紀までの社会は、「自由に競争することによって、活性化され成長していく社会」であるのに対して、これからは、「競争ではなく協調によって人類共通の問題に立ち向かっていく社会」と言えるのではないかと思えました。

もしそうであるならば、そのようなパラダイムシフトに向けて、つまり競争よりも協調にインセンティブが向かうような、そういう社会の仕組みに変えていかなければならないのかもしれませんね。

Smarter Planet

IBMは昨年秋にSmarter Planetという新しいコーポレート・ビジョンを発表しました。より賢い地球、というような意味ですが、その裏には、世の中がより複雑になってきているために、ITの助けを借りなければならないようになってきている、という認識があるように思います。皆さんよくご存知のように、世の中がグローバル化するにつれ、ヒト、モノ、金、情報がより自由に行き来するようになっています。その結果、社会の仕組みが加速度的に複雑になってきています。しかし、残念ながら個人の知的能力はこの数千年、ほとんど変化が無いといえるでしょう。したがって、もはや、世の中で何が起きているか、個人の力では把握できなくなっています。ITの力を借りて、社会システム全体が賢くなっていくことが必要なのです。また、そのための技術基盤は整っている。だから、Smarter Planetというビジョンが出てきているのだと思います。

過去に、IBMは、"e-business"や "on demand"などのコーポレート・ビジョンを発表して、IT業界の考え方をリードしてきました。しかし、今回のSmarter Planetは、以前のビジョンから一線を画すもの、と私は考えています。それは、21世紀社会における、競争から協調への価値観の変化を敏感に捉えていると思うからです。もちろん、これによってIBMのビジネスモデルが一夜にして変わるわけではないですが、確実にそのような変化は起きつつあると思いますし、それがまたIBMの強みだと思います。

私は5月1日の今日の日付で、東京基礎研究所所長の任を離れて、Smarter Planet技術推進担当として、このビジョンを技術的にどのように実現していくかを考えて行きます。世の中の変化を先取りする、とてもやりがいのある仕事だと感じています。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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