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XMLプログラミングコンテスト

2009/03/12 23:30
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XMLプログラミングコンテスト

先日、IBMのDB2ユーザーグループ(IDUG)が主催する、XMLプログラミングコンテストがありました。開催にあたっては日本で初めてのXMLの専業ソフトウェアベンダーとし1998年に創業されたインフォテリアの皆様が、快く事務局を引き受けてくださいました。インフォテリア社長の平野さんや、事務局の運営で大活躍された穴沢さんに感謝したいと思います。

最終選考会・表彰式は3月6日に、赤坂プリンスホテルで行われました。最終選考に残った6作品の開発者の方にプレゼンとデモを行っていただき、それを審査員である新潟国際大学の村田真さん、インフォテリア副社長の北原さん、それに私で審査させていただいて、優秀作品を表彰する、というものです。

最終選考に残ったのは、すべてプロフェッショナル部門の応募で、学生さんからの作品が残らなかったのは多少残念ですが、残った作品はさすがにプロフェッショナル、なかなかのものでした。最優秀に選ばれたのは、OOXML文書のパッケージを分解してDBに格納する、というものです。OOXMLはマイクロソフトのOfficeをベースにした外部ファイル標準として制定されたものです。ご存知のように、最近のオフィス文書は極めて構造が複雑です。OOXMLでは、マークアップされた文書本体のみならず、埋め込まれたイメージやその他のオブジェクト、全体のマニフェストなどをまとめて、Zipした形式になっています。この作品では、これらのパーツを分解してDBに格納することにより、より容易な検索、マクロ処理、パーツの共有などを可能にするものです。マクロ処理の例として作者の小西さんは、マイクロソフトの処理系で作成される文書に見られる、「共通の文字列をポインタで共有する構造」を展開する、という処理を実装していました。これによって、より見通しの良いXML文書を得ることができます。OOXMLは膨大な仕様で、その標準化には賛否両論あるとは思いますが、ここではこの複雑な仕様を読みこなして実装するという作者の技術力の高さを認めて最優秀作品とさせていただきました。

その他の作品も、劣らず優れたもので、6名の方々にはそれぞれMacbook Air、Playstation 3、iPod Touchなどの商品が贈られました。入賞した方々、おめでとうございます。

村田さんとの対談

実は、この最終審査の日は、午前中から村田さんとお会いしていました。XMLコンソーシアムが村田さんと私の対談をメルマガの記事にしたいということで、青山のジャストシステム東京本社でざっくばらんなお話をしました。

村田さんは日本人で唯一、XML 1.0の仕様策定にワーキンググループメンバーとして関わった方として知られています。村田さんは以前からSGMLなど構造化文書の専門家だったのですが、1996年の秋頃からSGMLの軽量版を作ろうという動きに呼応して、特に日本語対応などの観点から当時のWGに積極的に参加されるようになり、WGの一員として活躍されました。その後、XMLのスキーマに関する深い洞察から、理論的に優れた背景を持つスキーマ言語Relaxを提案されたのはご存知の通りです。

私がXMLに関わり始めたのは1997年の中ごろで、当時PointCastなどのいわゆる「プッシュ」テクノロジーが流行していました。そこで使われるメタデータのフォーマットとして、XMLが使われるようになってきたことから、注目するようになったものです。1997年の秋には、IBM東京基礎研究所の私のチームでXMLプロセッサの原型が出来上がっていました。しかし、XMLがブレークしたのはこの後のことで、XMLが企業間のデータ連携、いわゆるEDIに使えるらしい、と多くの人が騒ぎ始めてからです。私はちょうど良いタイミングでこの新しい流れに乗ることができ、XMLセキュリティ関連の仕様策定や、Webサービス技術の立ち上げに深く関わることができました。

このように、村田さんと私は、異なる目的意識でXMLに関わってきたので、XMLに対する立場が大きく違います。村田さんはあくまでもXMLは構造化文書のためのマークアップ言語と捉えています。私はむしろ、XMLがデータ交換のためのフォーマットとしての利用を主に考えてきました。ですので、意見の合わないことも多々あります。村田さんは時にはシニカルですが、一方、技術者としての信念を曲げない方でもあります。彼には8年間にわたって、IBM東京基礎研究所で働いていただきましたが、IBMという大企業の方針に飲み込まれたくないということで、自ら契約社員という立場を貫かれました。

XMLは1998年の2月に標準になりましたが、当時は、日本で騒いでいるのはメディアばかりで、お客様やITサービスの現場では「XMLって何?」「何が嬉しいの?」という反応が普通でした。村田さんも私も、啓蒙のために多くの講演をしたり、出版をしたりの日々でした。今から思うと隔世の感があります。今では、XMLはTCP/IPやHTMLのように「当たり前」の技術になってきています。(半)構造化データの外部表現に何を使うかと言えば、特別な理由がない限りXMLを使うのが当然でしょう。私は2000年以前の講演で、「XMLは21世紀のASCIIコードだ」と言ったことがありますが、まさにそうなってきたのだと思います。

XML 1.0の素晴らしいところは、村田さんを始めとする初期のWGメンバーが非常に真摯に最善のものを求めて作ったというところにあるのではないでしょうか。これだけ動きの速いIT業界にあって、1998年に制定されたXML 1.0はまったくその有用性を失うことなく、バージョンアップ無しに10年以上使われ続けています(XML 1.1というのがありますが、これは特別な目的のものと考えて良いと思います)。標準化は相互運用性のためにあるのですから、仕様がしばしば変わっては困るのです。XML 1.0が、少人数の優れた人々によって非常に丁寧に設計されたことが成功の要因なのではないかと私は考えています。

いずれにせよ、XMLやWebサービスの立ち上げに関われたことは大変ラッキーで、私自身としても大げさに言えばITの世界の変革を動かしている、という手ごたえがありました。技術者冥利につきる、と言えそうですね。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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