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I am Jamming!

2008/10/07 09:09
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現在、IBMでは全社でInnovationJamというものが行われています。InnovationJamは、様々な新しいアイディアについて、期間を決めてWeb上で議論しようというものです。今回のJamは、日本時間の今週月曜日の朝7時から72時間です。私は、「Lead Facilitator」という立場で、一つのトピックについて議論を円滑に運営する役割を担っています。月曜日が終わった段階で、思ったこと、感じたことを書いてみたいと思います。

InnovationJam

その前に、InnovationJamについて、もう少し説明が必要でしょう。IBMが最初にこの仕組みを使って議論をしたのは、2003年のことでした。IBMの企業理念をもう一度見直そう、それにはトップダウンでなくて、社員全体で議論してみよう、という試みで、3日間のオンラインディスカッションが行われました。この手の試みは初めてだったものですから、うまくいくかどうかはわからなかったようですが、世界中の社員からおよそ1万件の投稿があり、この結果として現在のIBM社員の価値「IBMer's Value」という現在の企業理念が形作られたのです。

このようなオンライン議論は、インターネット上では多く行われていましたが、企業の中で目的を持って組織的に行われた例は少ないのではないでしょうか。この仕組みが思ったより強力であることに気がついたIBMは、さらに何回かの社内Jamを行い、社内の改革を進めてきました。2年前の2006年には、お客様や外部の方を招待して、今後の世界におけるイノベーションについての議論を行いました。この際には、37,000件の投稿があったそうです。この結果出てきたアイディアはさらに専門家によって精査され、それらの実現に向けてIBMは多くの投資を行いました。

今回は、「企業の未来」というテーマで、多くのお客様や外部の方に参加していただきながら議論を開始しています。InnovationJamについてIBMの機関誌「ProVision」に企業における集合知の活用事例「InnovationJam」という記事がありますので、興味のある方はこちらもご覧になってください。

最初のシフト

今回は「企業の未来」というテーマですが、その中に「変化に強い企業」「お客様はパートナー」「グローバル統合」「人と地球に優しい企業」という4つのサブテーマがあります。私はその中で、「グローバル統合」のリード・ファシリテータです。そうはいっても、議論は、72時間ずっと行われるので、各サブテーマについてリード・ファシリテータは世界中で4人いて、4つのシフトでそれぞれ6時間ずつを受け持っています。私は、日本時間で朝10時から夕方4時までのシフトです。6時間のシフトの間には、何百、何千もの投稿がありますから、それらを全部読んでいるわけには行きません。リード・ファシリテータ1名に対して、さらに4名のファシリテータ、10数名の領域専門家(Subject Matter Expert)と呼ばれる人がいて、それぞれのスレッドを読み、「これは面白い意見だ」とか「この議論はもう少し深く突っ込んだほうがよい」とかいうアドバイスをくれます。リード・ファシリテータとしての私の主要な役割は、より深い議論が必要なスレッドをページの最初のほうに表示されるように「プロモート」することです。インターネット上の掲示板「2ちゃんねる」でスレッドを上位に表示させるために使われる「age」という概念がありますが、それに近いものだとも言えましょう。違いは、InnovationJamでは、「age」ができるのはリード・ファシリテータだけ、ということです。

私をサポートしてくれるファシリテータと領域専門家は、タイムゾーンの関係から皆アジア太平洋地域にいます。ファシリテータは、韓国、シンガポール、インド、オーストラリアの人です。それぞれ会ったことはありませんが、自分のシフトの間はずっと多者間のインスタントメッセージングを開いておいて、いろいろなコミュニケーションをします。本当は、私自身も議論に参加したいのですが、何百もあるスレッドの中から適切なものをプロモートしたり、他のファシリテータに指示を出したりしていると、それだけで自分のシフトの時間は一杯になってしまいます。これだけ大規模なオンライン議論になると、個々の議論に首を突っ込むのはある程度あきらめないとなりませんね?

「未来の企業」、特に「グローバル統合」という観点でいくつか面白い議論がありました。たとえば、「未来のグローバル企業のあり方をオンラインゲームに学ぶことはできないか」という議論があります。これはとても面白いアイディアだと思います。オンラインゲームでは、定められたリーダーがいません。不特定のメンバーが集まってパーティーを組む場合は、自然発生的にリーダーシップをとる人が現れて、グループを導いていくのだと思います。オンラインゲームでは、グループのメンバーは地球上のどこにいても構いません。共通の目標に向かって、グローバルに協業する、まさに未来のグローバル企業のモデルになり得るのではないでしょうか?

別のアイディアでは、「文化ウィザード」というものがありました。他の国の人と仕事をすると、やはり言語的、文化的な違いからなかなか意思の疎通が難しい時があります。英語で、「Corner Office」という表現があるそうです。米国ではエグゼクティブのオフィスはビルの角にある、だから「Corner Office」はいわば「役員室」であるというわけです。一方、中国では、偉い人のオフィスは多くの場合、ビルのできるだけ中央に置くことが多いそうです。角部屋のオフィスはどちらかと言えば、「窓際」に近い感覚なのだそうです。ですから、「コーナー・オフィス」という表現は中国人にはなかなか通じません(私も実は知りませんでした)。このような文化的な違いは、でも、ITのサポートによって少しは縮まるのではないでしょうか?文書やe-mailや、あるいは将来は電話会議においても、もし「corner office」という表現が現れたら、画面に小さなポップアップが出て、「これはわかりにくいけれど、こういう意味ですよ」ということを教えてくれたら、異文化コミュニケーションがもっとスムーズになるのではないでしょうか。これに限らず、テクノロジーでできることがまだまだありそうです。

次に何がおきるか

まだInnovationJamがはじまってから24時間しかたっていません。次の48時間にはどのような意見が出てくるでしょうか。とても楽しみです。また、今月の後半には、関係者がニューヨークに集まって、投稿された何万ものアイディアの分析を行います。そこでも集中した討議が行われるはずです。

このInnovationJamでの経験は、来週行われる慶応大学のイベントでもお話しする予定ですので、興味のある方はよろしければご参加ください。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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