共産諸国の病理を研究していた日々(わが人生, 1980-1994)から得た最大の教訓は、NGO(非政府組織)の決定的な重要性だ:強い権力を持った政府を批判し目を光らせることができる、強固で独立した道徳的権威の源としての存在だ。法律家にその役割を期待する者はもはや少ないことは分かっている。わたしはその少数ではない。わたしの考えでは、法律家には法のルールを守るという極めて重要な役割がある。単に実務的な意味だけではなく、倫理的にもまた文化的にもそれを守護することだ。法治国家の根幹をなす理想を国民に思い起こさせるのはわれわれの仕事だ。
そう思えばこそ、ABA(American Bar Association)プレジデント William Neukomによるこのすばらしい講演を、大きな誇りと共に聴くことができた。Mr. Neukomとわたしのあいだには過去に意見の対立があった。だがこのスピーチのどこにも反対するところはなく、称賛したいばかりだ。特にQ&A部分をみてほしい。なかでも、貧者にとっての法システムへのアクセスについての回答部分だ。