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ジェーン・ジェイコブズ追悼

2006/05/22 06:29
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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(Timothy Wu教授によるゲストBlog)

都市に関する偉大な理論家であったJane Jacobsが先日亡くなった。トロントにいる彼女に会いにゆくのはわたしの夢だったが、いまはかなわない。都市計画者にとっての影響は当然だが、著作はネットワークデザインについて考える際も多大な助けになった。

Jacobsの業績について知らない人のためにいえば、彼女は悪しき中央計画者の敵だ。計画があろうと構わず予測不可能に成長する都市を信じ、古い建物が次第に置きかえられたり、新しい目的のために改造されることを良しとした。都市荒廃の原因は変化の無さにあると考え、公営住宅プロジェクトやメガ・ブロックのような、人々にこう暮らしなさいと規定する未来のない計画を憎んだ。

Jacobsが好んだのは、近隣(neighborhoods)をあるがままにすることだ。都市計画者のすべきことは人間のスケールで機能する路地や小ブロックを作り、後は住民に任せることだと考えていた。この考えは経済学よりでも社会学よりでもなく、リベラルでも保守でもなく、むしろ他人がどのように暮らすべきかを決定できると考えるわれわれの陥りがちな傾向への力強い反駁だった。

ネットワークデザインとの対照は明白だろう。たとえばATMを設計するように、ユーザに何をさせるかについて固定された前提を持ったネットワークデザイナーは、ユーザを押し込めすぐに時代遅れになるネットワークを設計してしまう。ネットワークは多目的に使えるほど社会や個人にとって価値あるものになり、ひとつの用途からまた別の使い方へと変化してゆく方がよい。

比較してみよう:ソーホーの建物はまず工場として生まれ、やがて芸術家の住居になり、次にブティックに、そしてマンションへと移り変わってきた。ネットワーク、あるいはアプリケーションにさえ、常に変わり続けてきたものは多い。インターネットはusenet、gopher、veronica、www、ICQ、IMその他をサポートしてきた。これも予測できない絶えざる進化といえる。WWWそのものもまた静的なサイトからGeocities時代の「ホームページ」へ、そしてサーチエンジンの隆盛、blog、いわゆる2.0なサイトへとさまざまな段階を経てきた。だれか(もしかしたらDanah Boydが)『アメリカ大アプリケーションの死と生』を書くべきだ。

都市計画の要は固定された完成を目指すことではなく、そこに暮らす人々を幸せにする、常に変化しつづける健全な都市を育てることだとJacobsは理解していた。情報のアーキテクチャについても多くの場合おなじことがいえるだろう。最良の計画とは計画しすぎることなく、なんとかネットワーク自身の生命を作りだすようなものだ。

こうしたことは『アメリカ大都市の死と生』(The Death and Life of Great American Cities)、あるいは他のどのJacobsの本でも学ぶことができる。

[オリジナルポスト 5月5日午後3時16分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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