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熊 澄宇 博士との対話

2006/05/22 05:22
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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(Timothy Wu教授によるゲストBlog)

胡錦濤主席のインターネット政策に関する個人的アドバイザーである熊 澄宇(Xiong Chengyu)氏が束の間ニューヨークを訪れており、火曜にコロンビアロースクールでお会いすることができた。

ミーティングは打ち解けたもので、長い時間に渡って話し合うことができた。中国政府に関わる人々はたいていとてもフォーマルだからわたしもスーツを着て出かけ、歓迎委員会を用意していないことを気にしていた。ところがXiong氏は新しいタイプで、ジーンズにジャケット姿で現れた。まるで60歳のインターネット・ヒップスターのようだ。そして話をするにつれ、博士自身もある種のインターネット・ユートピア主義者だということが分かった。博士は中国の経済・文化・社会を大きく変容させるインターネットの力について、未開発国という現在の檻から中国を開放するネットワークについて語った。いずれアプリケーションで米国に追いつき競合するようになり、さらに興味深いことには、ハリウッドにも比肩するコンテンツ産業が生まれるだろうという。

しかし、それならなぜこう多くのコントロールが必要なのですか、とわたしは尋ねた。答えは「余地を残し」「発展を可能にするため」。どんな意味なのかは掴みかねるが、博士は現在のインターネット支配よりも将来に、中国の未来について考えるようにといった。そこでわたしは、それでは長期的な目標はどんなものなのか、シンガポールのようなものか、あるいは欧州型か、それとも米国型かと尋ねた。博士の答えは、そのいずれでもなく、いわば中国型だが、最終的には他よりも優れたものということだった。

会談を終えてしばらくして、あることに気づいた。Xiong博士は中国を開発途上の姿から開放するインターネットの可能性を深く確信しているために、われわれの本に登場する他の多くの夢想家たちとおなじく、いま起きていることの細部は見過ごそうとしているのだ。かれを支えるのは西側で見られるのと同じインターネットの前進に対する楽観主義であり、中国をあるべき姿に戻すというゴールが違うにすぎない。このことが、難しいはずの問いを博士にとっては簡単なものにしているのだ。博士の信念には敬意を表するが、少々不安にもさせられる。

帰り際、博士は法律やメディア、インターネットに関する「新しい」本を所望した。中国では見つけにくいものだ。案内した書店で博士はわたしの本を買い(恥知らず?そうとも)、さらにレッシグの3冊とPaul Starrの“The Creation of the Media”も買い求めていた。Glenn ReynoldsもYochai Benklerの新著もその書店には置いていなかった(コロンビア近くのLabyrinth Books)。

われわれの本の中国に関する章が非常に批判的であることを警告しようか迷ったが、やめにした。そして博士は去った。

[オリジナルポスト 5月5日午後3時09分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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