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アマチュアジャーナリストとプロの煽り屋

2005/06/06 07:46
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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本Free Cultureの取材としてDave [Winer]にBlogについてインタビューして以来、かれのいう「アマチュア・ジャーナリスト」について考えてきた。これは強力な概念であり、注意深い考察に値する。その価値を理解するには、「アマチュア」という言葉本来の意味、すなわち対象への愛のみを理由に行動するものという意味を思い起こす必要がある。そのような理念によって規定されるジャーナリズムを考えれば、なぜそれが商業ジャーナリズムをうまく補完するのか理解することはたやすい。Daveがわたしに語ったように、

「アマチュア・ジャーナリストには、なんといっても利害衝突がないか、あるいはその利害衝突がじつに簡単に開示できて、それをいわば問題にしなくていいのがわかるんだ」[山形浩生・守岡桜 訳]

このDaveの見方に強い説得力を感じていればこそ、わたしはしばらく前からBlog空間への広告の登場について懸念を抱いている。広告に反対しているのではない。ただ、それが「利害の衝突がない」という状況に圧力を加えるかもしれないことが心配だ。真実を求めることがアマチュアの美徳であるならば、それはもっと多くの広告収入を得たいという欲求と緊張関係をとりうる。リンクバックを獲得するもっとも単純な方法は、考えられる限りもっとも馬鹿げたことを書くことだ。

だがこのことについて友人や識者と話すにつれて、真に恐れるべきは広告収入に誘惑されるbloggerたちではないのではないかと思うようになった。恐れるべきは、タブロイド新聞のblog空間における等価物、すなわち広告収入のみを唯一の目的とし、可能な限り無茶で極端な立場をとることでそれを実現しようとする営利主体の出現だ。

この場合の問題は、利害の衝突が利益となることだ。英国のタブロイド紙が部数を伸ばすためには真実など気にしないのと同様、商業ブログロイドは興味を引くためには真実など気にもかけない。悪循環が起こるのはここだ。そうした主張が誤りであり法外なものだと指摘しようとするアマチュアの冷静な努力の積み重ねが、かえってプロの煽り屋を肥らせてしまう。クリックが利益になるなら、クリックされる理由などだれが気にするだろう。

事実を巡るオープンで誠実な反論にもジレンマが生まれる。利益の衝突が起こるからだ:アマチュア・ジャーナリストにとっての利益はプロの煽り屋にとっての利益ではない。にもかかわらず、アマチュアが目的を果たすただひとつ方法――引用し批判すること――は、煽り屋に餌を与えることになる。

必要なのは、悪質な行為に見返りを与えない引用の仕方だ(著作権法はそれを制限している(たとえばGoogleは、われわれがオリジナルのかわりにキャッシュにリンクしはじめたら腹を立てるだろう))。あるいは、無視すべきときはいつかを知る方法だ。

どちらにせよ、アマチュアによる場の性質がなにか別のものに置きかえられるべきではないと思うのならば、この利害の衝突についてもっと考えてみるべきではないだろうか。

[オリジナルポスト 5月31日午前9時25分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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