お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

タイミングと既得権

2004/08/25 00:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

lessig

「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
ブログ管理

最近のエントリー

(Timothy Wu教授によるゲストBlog)

Doug Lichtmanはシカゴ大学の情報法学者で、われわれの世代でもっとも優秀なひとりだ(特にinformation platforms論文をお勧めする)。かれとわたしは多くのことについて同意見だが、意見が一致しない問題もある。われわれの違いは、煎じ詰めればあるシンプルな理由にたどり着く:タイミングについての解釈だ。

財産権とは政府による約束に等しい、とDougは考える。たとえば、もし20年間の特許を認めると約束したなら、政府はシステムへの信頼と投資のインセンティブを損なわないために約束を守る必要がある。だから、もし特許技術をもっとうまく利用できる誰かが現れたとしても、それはお生憎さまというしかない。古い言い方をすれば、その権利は既得のものだ。

わたし自身はまた別の立場にひかれる:つまり、だれが「迷惑」になるかが常に問題とされるべきではないという考えだ。たとえばだれかがあなたの家のとなりにレストランを開きたがっているとしよう。騒音もあれば匂いの問題もある。レストランはあなたの財産の価値を低下させるのだから、あなたには営業の停止と損害賠償を求める権利があるというのがひとつの考えだ。これはある程度理に適っているように思える。だが質問を裏返して、ただあなたが「先客」だからといって、家の所有者であるあなたにビジネスとレストランの社会的価値を台無しにさせるべきなのかと問うこともできる。財産権に備わる約束という要素を尊重することには一定の意味があるが、ある資産の最適な活用よりもつねに優先されるわけではない。

この立場の著作権・通信法への翻訳は簡単だ。一般的に、著作権所有者側は「先住」であり、そこに電子機器産業とインターネットが現れてかつての平和をかき乱した。たとえばTivoの登場は、DVD売上という資産の価値に打撃を与えた。著作権者側が計算に入れていなかったことだ。あるいはもっと分かりやすく、コントロール不能のP2Pファイル共有ソフトは既存の著作権の価値に打撃を与える。

Dougの考えでは、インセンティブを守るため、政府はかつて約束した権利のために行動しなくてはならない。最初に約束した相手が誰であろうとも。わたしの考え方では、政府による約束はつねに条件付きだ――そしてもしもっと価値ある活用法があとから現れたなら、ときにはそちらが優先されるべきだ(憲法マニアはCharles River Bridgeのことを考えてみよう)。もしかすると、Dougの考え方で強調される価値は特許については一層説得力があり(結局保護期間はずっと短いのだ)、著作権についてはわたしの考え方がそうなのかも知れない。だが一般論として、この質問は法と技術的変化についてあなたが思うことを説明する助けになるだろうか。

(ワシントンの弁護士Matthew Schurersにも感謝。かれもまた同様の質問をしている。)

[オリジナルポスト 8月22日午後3時03分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー