(Timothy Wu教授によるゲストBlog)
開発途上国にとって、先進国の農業補助金は微速再生の大量破壊兵器だ。昨日のWTO合意は、ここ十年で初めて多国間の補助金削減を約束した。このまま制定されれば非常に大きな変化につながるだろう――だがそれは同時に、著作権に関する国際協定のより一層の遵守を求める圧力も意味している。
1994年、途上国はWTOである取引をした。TRIPs(知的財産の貿易に関する合意)を受け入れる見返りとして、先進国における農業・繊維分野への補助金は大幅に削減されるはずだった。
だが取引は割に合わなかった。世界の国々はTRIPsに加盟したが、約束された農業政策の改革はほとんど実施されなかった。欧州、米国そして日本は農作物自由化に関して1994年以来ほぼ逆行している。欧州の畜牛は平均して1日2.50ドルの補助金で暮らす――世界の30億人が1日2ドル以下の生活をしている一方で。日本の畜牛は平均で1日7.50ドルの大層な暮らしをしている。これはむしろ大学生に近い。
しかし昨日の決定はあらたな希望だ。なかでも大きいのは、綿花産業への補助金の削減が合意されたことだ。ここ米国で、われわれは2万5000人の綿農家に対して毎年40億ドルの補助金を支払っている。生産される綿花は年30億ドルだ。農民一人あたりが受け取る補助金は年16万ドルとなる――連邦経営のアミューズメントパークを開いて綿花産業に従事する全員を雇った方がよほど税金の節約になるだろう。
だがそれでも疑問は残る。今回こそ、米国、欧州、日本には合意したはずの補助金削減を実行する政治的意志があるだろうか?
こちらが実際の合意内容だ。難解な貿易用語で書かれている。