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WalMartが示す未来

2003/12/23 12:03
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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WalMartが音楽ダウンロードサービスを立ち上げた。わずか88セントで、Window Media Playerフォーマットの曲をダウンロードできる。試しに88セント払い、ビートルズの曲を一曲購入してみた(全部で12曲が用意されていた。見事な品揃えだ)。しかし再生はできなかった。LiquidAudioの認証サーバがnot foundだったのだ。

だが、本当の問題はこのサービスが(まだ)機能していないことではない。問題は使用許諾の細部にある。この使用許諾は同種のサービスのなかでもっとも制約が多く、3つのマシンでの再生と10回までのCD作成を許すものの、つぎのような条件を守る必要がある。

「以下の全てを禁止する。本サービスおよび提供される楽曲、ソフトウェアの全体もしくは一部の、直接あるいは間接を問わない複製(上に記された場合を除く)、出版、送信、配布、展示、放送、再放送、改変、派生作品の作成、売却、販売およびあらゆる利用への関与。提供される楽曲および製品に関わるあらゆる複製禁止および使用制限システムのリバースエンジニアリング、逆コンパイル、ディスアセンブル、改変および無効化。再生された音声の再デジタル化、インターネットへのアップロード。あらゆる第三者によるコンテンツとの組合せによる利用(例:映画の音声としての利用など)。インターネットオークションサイトへの登録、売却および売却の申し出。
この使用許諾条件において使用される“販売”、“購入”、“注文”などの用語に関わらず、提供されるすべての商品はライセンスされるものであり売却されるものではない。」

つまり、"Rip,Mix,Burn"の文化はもはや無効にされている。自分の子供を写したホームビデオに曲を使いたい?不可能だ。それを行わないという条件に同意している。クリスマスに撮った写真のスライドショーと共に写したい?それもできない。許諾した条件にそうある。どんな作品への利用もこの使用許諾条件によって(そしてWindows Media 9のコードによって)禁止されている。そしてもちろん、これらのプロテクトをクラックするためのツールを使用すれば、DMCA[デジタルミレニアム著作権法]違反となる。

なお悪いのは、このページによると、「さらに、このサービスで提供される曲には、あなたが他で購入した音楽とおなじ使用の権利が認められています。」と書かれていることだ。まるでCDを購入したときと同じであるかのように。だが、ここに仕掛けがある。このダウンロード世界で起きているのは、ひとびとが音楽に対してもっていた“権利”が、ライセンスによって定義されるようになっているということだ。かつては音楽に対するフェアユース――私的な演奏、複製、引用など――の権利が法で認められていたが、このライセンスが認める権利は再生と10回分の複製だけだ。それ以上のすべて――どんな再利用、ミックス、変形も、たとえ非営利であっても――をおこなうことはあなたの“権利”ではない。

これこそ、“海賊行為”との“戦争”の本当の狙いだ。世間の関心を“海賊行為”へと集中させてから、それを消費者のあらゆる創造的権利を事実上消し去るような方法で“解決”してみせる。故Lyman Ray Patterson教授が示したように、これは著作権法の完全な悪用だ。競争相手を規制することを意図したこの法律は、いまや消費者をコントロールするための道具となっている。

[オリジナルポスト 12月22日午前7時56分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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