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*溜息* さようなら、mp3.com

2003/08/18 01:00
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lessig

「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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クリエイティブコモンズには数多くの素晴らしい出来事が起きてきたし、それは今も続いている。近々発表できるエキサイティングなニュースもいくつかある。そしてライセンスの採用率はわれわれの最も大胆な予測さえも遙かに上まわっている。

それでも、やはり落胆させられるときもある。このmp3.comの“法務担当”とのやりとりは最も失望させられたことのひとつだ。

話はわれわれのアシスタントディレクターであるNeeruが、クリエイティブコモンズとその目標について話し合う機会を設けようとmp3.comにメールしたことから始まる。彼女はこう書いた。

mp3.com様

クリエイティブコモンズは、作品をオンラインで流通させたいと同時に、著作権によるある程度の保護も確保したいと考えるアーティストのためのフリーなライセンスを提供しています。
実際、御社と契約しているアーティストのPhoenix Trapも、既に彼らのmp3.comホームページでクリエイティブコモンズのライセンスを採用しています。

御社のユーザーにクリエイティブコモンズのライセンスを提案するお手伝いができれば大変うれしく思います。このライセンスは無料で採用でき、アーティストがファンに提示する権利および制限を明確に示すことができる優れた方法であると自負しています。

http://artists.mp3s.com/artists/15/the_phoenix_trap.html

お気軽に問い合わせいただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

Neeru

いたって無害な内容に思える。mp3.comのアーティストたちにCCライセンスの採用を提案することを薦める内容だ。

月曜になって、“法務担当”が以下のように返答してきた。

From: legal@mp3.com
Date: Mon Aug 4, 2003 11:05:33 AM US/Pacific
To: neeru@creativecommons.org
Subject: RE:Creative Commons and MP3 [#1316347]

合衆国著作権局への登録による法的保護に代わるものは存在しません。特にそちらの言う“フリーライセンス”なるものではありえません。

本メールをもって、今後当社が特に認可しない製品もしくはサービスを当社のウェブサイトを通じ当社のアーティストへ勧める行為に対する公式な禁止・差し止め要求とします。

Vivendi Universal Net USA, Inc.
Music & Media 法務部

こういった類のものにどれほど陰鬱な気分にさせられるか表現することすらできない。コンテンツコミュニティには、クリエイティブコモンズのもたらす利益と美点を直ちに理解した人々も多い。12月に行われたライセンス発表パーティーには、ジョン・ペリー・バーロウだけでなくMPAA[米映画協会]のジャック・ヴァレンティまでがクリエイティブコモンズを推薦するビデオ証言を寄せてくれた。

しかし明らかに、われわれの目標はまだ明確に伝えられていないようだ。特にmp3.comのような企業から受ける対応がこんなものならば。かつてmp3.comは、少なくともその誕生のころには、もっとも革新的なデジタル音楽企業のひとつだった。アーティストは独占契約を約束することなしにmp3.comと契約できた。この会社は広範なクリエーター層が新しい音楽を制作し、自社サイトを通じて販売することを可能にするために多大な貢献をおこなった。月ごとの定額制でmp3をダウンロードできるすばらしいeMusic.comサイトと共に、このグループがコンテンツの創造と流通に対して起こした革命のもつ可能性は無限だった。

だがそれも時代遅れの議論と、もっと時代遅れの考え方には無効だったようだ。“法務担当”はこう書いた。

合衆国著作権局への登録による法的保護を置き換えるものは存在しません。特にそちらの言う“フリーライセンス”なるものではありえません。

私はこう言いたい:当然の事だが、クリエイティブコモンズの目標には、著作権局への登録に反対したりそれを制限するものはひとつもない。事実われわれは著作権局への登録を今よりずっと簡単にするシステムの開発をおこなっているところだ。

そしてもちろん、われわれの“フリーライセンス”は著作権の登録や著作権による保護を置き換えるものではない。それどころか、著作権による保護がなければわれわれのライセンスは意味をなさないのだ。

しかし、なぜこの“フリーライセンス”がアーティストの役に立たないと思うのかが私には理解できないのだ――mp3.comの“法務担当”殿。 アーティストは一般に大きな収益をあげていない。権利関係を明確にするために弁護士を雇うコストを削減することが大きな助けになるとは思わないだろうか? 実際、われわれが提供した“フリーライセンス”の数を数えて、RIAA[米レコード協会]が音楽の違法コピーによる損害を求めるときの方法で計算してみるといい。クリエイティブコモンズはクリエイティブコミュニティに1000億ドル以上を提供したことになる。これがアーティストに害になるだろうか?

本メールをもって、今後当社が特に認可しない製品もしくはサービスを当社のウェブサイトを通じ当社のアーティストへ勧める行為に対する公式な禁止・差し止め要求とします。

*溜息*。繰り返すが、mp3.comの最も偉大な点は、アーティストはmp3.comにも他のどこにも所有されていないということだった。彼らは自由だった。だが今、われわれは“当社のウェブサイト”を通じて“当社のアーティスト”とコンタクトを取るなと命令されている。これがどういう意味なのかはっきりしないが、受ける印象はひどく嘆かわしいものだ。mp3.comのアーティストたちは、商業的にもまたアーティスティックな意味でも最も創造的な人々だ。どのように曲を売るのが一番かは彼らが自由に決定できるべきではないだろうか? 結局、それこそがmp3.comではなかったか?

> Vivendi Universal Net USA, Inc.
> Music & Media 法務部

この署名がすべてを語っているのかもしれない。偉大な技術と真に革新的なビジネスアイデアにも関わらず、mp3.comが約束した変化は、常に“法務部”たちと争わなければならなかった。イノベーションは常に慣習と争わねばならない。

法律屋たちが一度でもイノベーションの側に立つことを想像するのは不可能なのだろうか?

結論はこうだ。われわれはクリエイティブコモンズで、こうした問題に対する人々の考え方を変えようと努力してきた。そして大きな成果をあげられたと私は信じていた。だが明らかに、旧来のやり方を変えさせるには不十分だったようだ――mp3.comのような企業に対してさえも。
だから、われわれに力を貸して欲しい。コンテストに参加したり、よりよいアイデアについてBlogしてもらいたい。そして、法律屋たちにこれを理解させる方法を私に教えて欲しい。
1年前、私はその方法を知っていると自信を持っていた。その自信を挫かれ続けた1年間だった。

[オリジナルポスト 8月7日午前9時50分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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