前回に引き続き、2022年を少し振り返ってみます。今回は「宇宙ビジネス」です。
あまりにいろいろなことが起きた1年だったので思い出せない方がほとんどだと思いますが、2021年12月8日に、ZOZOTOWN創業者の前澤友作さんが、ロシアの宇宙船「ソユーズ」に搭乗し、宇宙旅行に出発しました。
観光客が自費で国際宇宙ステーション(ISS)に滞在するのは約10年ぶり、日本人ではもちろんはじめてで、12日間ほど滞在しています。
たった1年前には「ロシアのロケットで旅立つ」ということができたということに驚かされますが、今年に入ってウクライナ戦争が勃発し、一瞬にして関係は冷え込んでしまいました。もはや日本を含めた西側の国々の人がソユーズに乗ることはできません。
そのウクライナ戦争でも使われて注目を集めたのが、イーロン・マスク氏率いるスペースXが提供するスターリンクです。日本でも10月からサービスを開始し、月額1万2300円で利用できることから、いろいろなところで関心が高まっています。
スターリンクが用いるのは、高度550kmの低軌道を周回する人工衛星です。従来の衛星が高度36000キロくらいだったので、地球ととても近く、遅延が少ないのが特徴です。この低軌道衛星を2000基以上打ち上げてサービスを提供します。
地上通信ほどではないにせよ、状態がよければiPhoneの普及が始まった10年前と同じくらいのスピードは出ているはずです。また、日本のように海と山に囲まれた地上通信にはタフな環境でも、通信ができるようになることが期待されています。
このほか、、英国の起業家リチャード・ブランソンのヴァージン・ギャラクティック、ヴァージン・オービット等、多くの事業者が参入しており、また日本でも取組が進む見込みです。
一方でこれだけ宇宙空間の利用が進むと、スペースデブリ(宇宙ゴミ)の問題もあり、際限なく宇宙空間を使っていいのか、という議論も進みつつあるが、宇宙ゴミの回収や処理にも日本のスタートアップ起業「アストロスケール」が参入しています。
参考:持続利用が可能な宇宙へ--周回軌道上のごみ拾いに取り組むグローバルベンチャー
https://japan.cnet.com/article/35188526/
宇宙ビジネスがここまで身近になると、様々な新しいビジネスチャンスが生まれはじめます。今年は正にその始まりの年になったのではないでしょうか。