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少し前の「あしたのコンパス」で話したクックパッドのこと

2016/02/15 17:00
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クロサカタツヤ / KUROSAKA, Tatsuya

インターネットや通信、放送サービスが大きく変容する中、産業、政策、技術開発等の最新動向や、情報通信サービスと社会の関係性を考える上での「新たな視点」を、さまざまな分野でコンサルティング活動をしているクロサカタツヤ氏がお届けします。
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少し前に、フジテレビ系ホウドウキョク「あしたのコンパス」で、クックパッドの内紛について話をしました。

…と思ったらもう1ヶ月くらい前の話でした。が、まあせっかくなので、当日の発言内容を少し正確に補って、改めて再掲したいと思います。

ラフな書き起こしはこちらにもございますので、お時間ある方はご高覧ください。

~~~

--創業者の佐野さんの株主提案はどう見たらいいでしょう?

個人的な話ですが、佐野さんは大学の同級生です。以前から楽しそうなことをやっていているなと思っていましたが、今回はさらに盛り上がってますね(笑)。

--佐野さんは大学時代からカリスマチックだったのですか?

そんなに学生当時に彼と接点があったわけではありませんが、ずっと一貫してクックパッドの原型となるサービスをやってきていました。同級生ということはもう20年この仕事をやっているわけで、思い入れがあることは間違いないでしょう。

--今の揉め事の状況を見ると、現状のクックパッドとしては優良で評判がいいのでしょうか?

正直評価が分かれるところです。堅実に経営しているという人もいます。メーカーなど、事業社から見ても優良企業であり、一緒にやりたいと思うところも多いでしょう。しかし堅実でしっかりしたビジネスをやっている反面、マンネリだよねという人もいます。

私も経営者の端くれなので、そうした「凪」の状態だと何らかの新陳代謝を起こしていきたいと考えるのは、経営者として当然の心理だと思います。ただ、それが創業者からの見え方となると、「やり方が全然違うじゃないか」と口を出したくなるのでしょうね。

--クックパッドのユーザーをターゲットにどんなことをやるのが見込みがあると思いますか?

その前に、本当に自分個人の意見なのですが、あえて表明させてください…クックパッドのレシピ、正直味付けが濃かったり若干ビミョーで、全部ではないんですけど、ぼくはあまり美味しいと思わないんです(笑)

--ああ、言っちゃった(笑)

でも料理ってそもそもそういうものかな、とも思うんです。レシピが本当においしいものであるのか、自分の好みに合った味付けなのか。何にせよ、打率10割はあり得ません。

そしてそれは、どんなサービスのサイトでも同じです。だからこそ、ユーザーに対して数を増やすだけでなく、定着している人のロイヤリティーをどうするのかを考えていく必要があると思います。

--有名なレシピ本を購入しても自分に合わないなどで微妙なこともありますが、カリスマ性のようなものをクックパッドは生んでいるのでしょうか?

有名なレシピもクックパッドから出てきていると思いますよ。ただ、いろいろな紹介サイトやアプリがありますが、特に食べ物の紹介は難しいです。なぜなら価値観や味覚は多様で、特に日本人は「わがまま」というくらい繊細だからです。

そのためそう簡単にビジネス的に集約できるものではありません。今の穐田社長は価格.com出身です。価格.comは高い安いが分かりやすい指標で評価されていますが、料理の美味しいまずいという評価とは違うものだと思います。そのあたりが、不一致の原因かなと思ってます。

--料理の中にもお二人の哲学の違いがあったということですか?

そうですね。もっとはっきりした、より気に入ってもらえるサービスを作りたい佐野さんは考えたかったのだと思います。ユーザーのロイヤリティを高めていくという点において、お二人の考え方が食い違ってしまったのではないでしょうか。

--有料会員を増やす理由はそこですか?

でも、正直それも「微妙だな」と思ってます。そして佐野さんもそれを分かった上で、海外展開を志向されているのではないか。とはいえ日本は海外ビジネスを始めるのが難しく、海外進出は0からのスタートに近いと言えます。

特にフードビジネスは簡単ではありませんね。日本発の食文化は海外で人気ですが、特に「自炊」という意味では、そうした食材を入手できるスーパーがあるのか、ネット通販を支える物流はしっかりしているのか、といった味覚以外の様々な社会的な背景が絡んできます。

だとしたら、まずは日本の中のロイヤリティーを高める必要性があると思います。そして、足元をしっかりするために行うのはウェディングではないだろう、というのが私の考えで、そこは佐野さんとも一致するのかもしれません。

--穐田社長は一般的な手法でやろうとしましたが、それは強みではないですか?

穐田社長が以前いた「価格.com」はとても面白い会社で、ネットの力で従来の価値観を壊す会社だと思います。単純に価格比較をしているのではなく、本当に良いものかをユーザーが議論しているのです。

実際、彼らの関連ビジネスである「食べログ」の登場によって、裏路地のお店への来客が増え、東京の不動産価値が少し変わったと言われています。こうやってこれまでの価値観を壊していくのです。

そうした「価値観のひっくり返し」をクックパッドという日常の食の中でどれほど活用出来るのかが問題です。そこまでのことを、クックパッドもユーザも、期待していないのではないか。

--使い方として人々がどういう使い方をしているのか、細かく見ていく必要があると思います。クックパッドは今後どうなっていくのでしょうか?

こうしたニュースが出てくると、「会社が誰のものか」という議論が生じます。もちろん結論としては「みんな(ステークホルダー)のもの」なのですが、ただ今回のような揉め事が起こったときは、法律でその優先順位が決められています。

その意味で、現状では大株主である佐野さんが有利でしょう。そして昔ながらのクックパッドファンは佐野さんについていくことでしょう。

しかしそれが本当に社会に対して良いことなのかはわかりません。冒頭に話した通り、マンネリ化の懸念もあります。また、佐野さんが勝ったとしても、勝った後どうするのかが大切になるでしょう。

--創業者にとってこれまでのやり方を変えるのは難しい事なのですか?

それは難しいでしょうね。そしてとにかく第一線からの「退き方」は、本当に難しいですね。現に佐野さんは経営陣の一人として残ってしまっています。佐野さんは20年やってきたことなので、もうひと花、咲かせたいのだと思いますが、まだまだ道のりは険しいと思います。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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