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ネット炎上で岩手県議が自殺との報に触れて

2013/06/25 11:00
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プロフィール

クロサカタツヤ / KUROSAKA, Tatsuya

インターネットや通信、放送サービスが大きく変容する中、産業、政策、技術開発等の最新動向や、情報通信サービスと社会の関係性を考える上での「新たな視点」を、さまざまな分野でコンサルティング活動をしているクロサカタツヤ氏がお届けします。
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気になったので、走り書き的に。
 

<岩手県議>小泉氏、車内で自殺か 病院非難でブログ炎上
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130625-00000019-mai-soci
 
毎日新聞 6月25日(火)10時11分配信
 
 25日早朝、岩手県一戸町の大志田ダム付近の車の中で、男性がぐったりしているのを通行人が発見し、110番した。県警二戸署によると、男性は小泉光男・岩手県議(56)=二戸選挙区選出=で、既に死亡していた。自殺の可能性が高いとみて捜査している。小泉県議は、自身のブログが「炎上」したばかりで、同署が関連を調べている。
 
 小泉県議は5日に更新したブログで、同県立中央病院を受診した際に番号で呼ばれたことに腹を立て、「刑務所に来たんじゃない」「会計をすっぽかして帰ったものの、まだ腹の虫が収まりません」などと書き込んだ。非難の声が殺到してブログを閉鎖。17日に謝罪会見を開いた。
 
 小泉県議は2011年9月に初当選し、1期目。

 
まだ詳細は明らかになっていませんので、以下は「炎上と自殺に因果関係があった」という仮定で、書き続けます。
 
こうした事件はおそらくはじめてではないし、若年層のいじめでネットが悪用されていることを考えると、すでに定番とさえ言えるのかもしれません。
 
また、仮にも県議という社会的地位を得た人が、ある意味で「この程度のこと」で自殺に追い込まれたのだとすると、これはネットでの炎上を発端に起きた私刑の如きタコ殴り状態に、ご本人の精神が耐えられなかった、という「だけ」の話となるでしょう。
 
一方で本件について、私は彼の記者会見がテレビのニュースで中継されているのをたまたま見かけたのですが、正直「これ、全国ネットで扱うような話か?」と思いました。
 
だって、「医療機関が個人情報の取扱いにセンシティブになっている」ということをあまりよく知らずに、なんとなく怒ってしまった、というだけのことですよ。そんな人、日本中で毎日何人もいるでしょう。それが県議という地位のある人によるものだとしても、周囲の誰かが諭せば落着するはず。少なくとも謝罪の記者会見を全国ネットのテレビで中継するような話だとは、到底思えません。
 
それがここまで盛り上がってしまったのは、ネットの炎上を発端に、いわゆるメディアスクラムが、形成されてしまったから、ではないでしょうか。
 
だとするとこれは、実に拙い流れです。
 
従来のネット炎上は、あくまでネット内で問題が完結することを、前提としていました。だから対策としては、いわゆるネットリテラシー(ないしは炎上リテラシー)を、考えていればよかった。ある意味で、牧歌的な世界です。
 
しかしマスメディアがそこに乗っかるようになったことで、ネットの炎上はもはや単なる炎上ではなく、社会的制裁を加える〈私刑〉の装置として機能しうるようになったのでしょう。
 
そしてそれが、死に至る制裁であるということが、今回の自殺で示されたといえます。
 
少し前に、「日経コミュニケーション」という月刊誌の連載で、次のようなコラムを書きました。
 

情報革命をけん引する「智民」への道は険しい、前段階の「知民」、そして残念な存在としての「痴民」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20130325/465881/
 
 公文先生が語るには、まず「智民」の前段階として、「知民」という存在があるという。ケータイでのメールの読み書きや、パソコンを使った調べ物といった、一般的なITリテラシーを有する人である。この水準に達していないと、現代の日本では、いわゆる「情弱」とされる。しかし、きっかけと習得機会が少しでもあれば、もはや多くの人が克服できるハードルのはずだ。
 
 一方、「知民」には、「智民」と「痴民」の2通りが存在する。前者は従来の定義通り、ネット空間を縦横無尽にかけめぐり、自らの生活や業務を劇的に変革していける人のこと。
 
 問題は後者だ。文章を斜め読みしてすぐ批判する「脊髄反射」や、思いこみによる誤解で執拗な人格攻撃を繰り返す「ネットイナゴ」など、ITリテラシーを「残念な方向」に使う人たちが、もはや無視(スルー)できない存在となったのだという。
 
 確かに、実感も納得もできる話だ。ネットのあちこちで炎上を見かけない日はないし、私自身もしばしば攻撃を受ける。だからこそ、公文先生からのご指摘ということが、私自身には何より衝撃だった。

 
この記事をwebに掲載したところ、こうした懸念を小馬鹿にする物言いも散見されました。
 

Hiromitsu Takagi @HiromitsuTakagi
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/323461347608231936
 
何だコリャ。まったくどうでもいい内容。 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20130325/465881/ … 全文を要約:当社は経済産業省とプロジェクトを進めている。

 
しかし、ネットにおける議論の影響力が、ネットの外部にも伝搬していく時代においては、もはや社会全体の課題であり、ネットも否応なくその一部として俎上に載せられるということです。
 
残念ですが、牧歌的な時代は、もはや過ぎ去ったようです。今後は、ネットにおける自由な議論の限界を、社会制度も含めて批判的に検討せざるを得ない状況なのでしょう。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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