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太陽を盗んだ男

2011/06/25 10:00
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プロフィール

クロサカタツヤ / KUROSAKA, Tatsuya

インターネットや通信、放送サービスが大きく変容する中、産業、政策、技術開発等の最新動向や、情報通信サービスと社会の関係性を考える上での「新たな視点」を、さまざまな分野でコンサルティング活動をしているクロサカタツヤ氏がお届けします。
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 ソフトバンクの電力事業参入について、株主総会で定款の変更が認められたようだ。本件に関し、特に強い関心があるわけではないのだが、日記的に雑感を残しておく。
 
ソフトバンクという会社は、ともすれば硬直化した日本の産業秩序を壊し、新しい競争環境を生じさせるパワーを持つ。情報通信産業をお手伝いする人間として、NTTの企業体質を大きく変えたという〈功績〉は、一定の評価をしているつもりだ。
 
しかし彼らが事業リスクをファイナンスリスクに転換した際、金融機関や個人投資家をはじめとするステイクホルダーが背負うリスクや、そのリスクが顕在化した時に支払わされる代償は、とても大きい。まして顕在化したリスクの所在が金融機関ともなれば、その救済には私たちの大切な血税が投入される。そのあたりがなんとも悩ましい。
 
一方で、仮に彼らが目論見通りに電力事業へ参入するとなれば、太陽光発電の分野で巨大な調達元が誕生することになる。これはこれで否定すべきことではなく、なのでその調達力をそのまま国内産業に振り向けてほしいというのが、私の願いだ。
 
もう少しベタに書こう。ソフトバンクが電力事業に参入する際には、国内メーカーからの太陽光パネルの調達をお願いしたい。その理由は、太陽光パネルはまだ補助金ビジネスの域を出ていないからだ。参考までに、3年近く前に日経ビジネスオンラインで書いた記事だが、現状もそれほど大きくは変わっていないだろう。
 
産業として成熟し、政府の補助なしに進められる事業なら、国家安全保障に関わらない物件である限り、どこから調達しようと民間企業の自由である。しかし各国政府が補助金を導入して市場シェアと原材料(シリコン)調達の優位性を競う状況下で、海外メーカーの太陽光パネルを調達するということは、その国の競争力強化に資する動きとなる。
 
太陽光パネル市場には、当然ながら日本もプレイヤーとして参戦している。仮に外国政府から好条件を提示されたとして、それを丸呑みしてビジネスを始めるとなれば、それは間接的な保護貿易の台頭を許すことになり、市場泥棒との罵声を浴びることは火を見るより明らかである。大体、日本のサービス事業者が海外のベンダーから調達するとなれば、「あんたたちは一体何をやっているの?」という、いい笑いものである。
 
もちろんそんなことは杞憂に違いない。震災からの復興を強く願い、100億円の私財を投じた孫正義さんなら、きっとそんなことは百も承知で、韓国メーカーなどからではなく、日本の太陽光パネルを大量に買ってくれるはずだ。そして太陽光発電市場における日本のポジションを押し上げ、新たな産業として育成してくれるであろう。本当にありがとうございます。
 
タイトルはジュリー主演の名作からそのまま借用。原子力とアナーキズムという、気がつけば何とも今日的なテーマの作品である。そしてそれは、企業活動とて相似の話。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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