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ギャング・オブ・バルセロナ(2)

2009/02/25 00:36
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プロフィール

クロサカタツヤ / KUROSAKA, Tatsuya

インターネットや通信、放送サービスが大きく変容する中、産業、政策、技術開発等の最新動向や、情報通信サービスと社会の関係性を考える上での「新たな視点」を、さまざまな分野でコンサルティング活動をしているクロサカタツヤ氏がお届けします。
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前回の続き(前回のエントリにも写真を入れてみたのでご参照を)。インフラの話をしているとどうしても重くなる。資本的にも重いものを扱っているのだから当然なのだが、肩が凝るのも事実。

なので今回は比較的ポップな感じで端末の様子をご紹介したい。といっても最新レポートはすでにCNETをはじめあちこち出ている。あくまで「私家版」である本稿は、独断と偏見による主観的な趣向や印象などが中心となるのをご了承いただきたい。
 
 

Androidが消えた?

twitterでのつぶやきはもちろん、BBCなどのメディアでも、「Android端末を全然見ない」という話でもちきりだったのは前々回でも触れたとおり。見かけないことがニュースになるというのは逆に関心が高いということだが、モバイルというイメージが強まるのを嫌ったのか、はたまた報道規制でも敷いているのか。

実際、会場に入っていた1-2日目の時点では、ほとんど見かけなかった。ブースで大々的に展示していたのはHTCくらいだが、これはすでに世の中に出ているものだと思う。会期2日目にvodafoneが"HTC Magic"というAndroid端末を発表したが、目立ったのはそれくらい。それにしても、Android端末は当面HTCが作る、という不文律でもできつつあるのだろうか。当面の出荷台数を考えると、実際そうなのかもしれない。

さておき、実際に端末を触らせてもらったが、GUI自体は結構サクサク動いた。それもそのはず、そこそこのプロセッサを積んでいて、むしろ電池や発熱は大丈夫かな、と思ったくらいである。Flash再生もできるので、普通にWebを使う分には悪くなさそう。とはいえ、大量のメッセージングなど、込み入った作業までは試せなかったので、そこは引き続き様子見というところ。
 
 

みんなiPhoneみたいになっていく

Palmからは、1月に発表されたPalm Preという端末と、WebOSなる同端末のプラットフォームが展示された。要するにiPhoneライクですね、とバッサリ切り捨てるのはさすがにかわいそうなのでもう少しフォローすると、GUIの作りにかなりこだわったとのこと。具体的には、iPhoneのように階層的にアプリを選ぶのではなく、それぞれがフラットな状態で稼働している、というマルチタスク感覚を実現していた。確かに、OS上でアプリケーションを操作する、という基本動作については、iPhoneよりもルック&フィール感が高いような気がした。

あと、いわゆるユニファイド・メッセージングが実現していた。このあたりの領域は前職でもお手伝いしていたので、ああこういう形で実現したのか、という感慨のようなものが個人的にはほんのりあったが、いざ実物を目の当たりにすると、それほど大げさな話でもない。要は、メール、SMS、チャット、facebook等が一元管理できますよ、ということ。

ちなみにQWERTYキーボードを隠し持っているのが入力インターフェース上の最大の特徴かもしれない。上下が重なり合う二枚貝のような構造になっていて、ズラすとキーボードが出現するというもの。音声通話もその状態で行うのだが、説明員はその時の湾曲具合が「エルゴノミックだ!」と力説していた。確かにそうだとは思うのだが、初期のPalmやVisorのユーザだった身としては、あのグラフィティが少し懐かしい。
 
 

地理空間情報への関心

Garminとasusのコラボレーションであるスマートフォン"nuvifone"も、事前にアナウンスがあったことから、気になっていた。地理空間情報は今後モバイルの大きなトレンドとなっていくことは間違いないからだ。というよりもうすでにトレンド化しつつあるような気がしているが、既存のGPSは電力消費が激しいこともあって、ちょっとそこが壁になっていたように思う。

今回の彼らの端末は、基本的に通信できるPND(簡易カーナビ)としての位置づけなので、自動車の車内で使うことを一義とする意味では、電力問題は一応クリアしていることになるだろう。その意味でコンセプトは、ジャパネットたかたでおなじみのゴリラ(三洋電機)とほぼ同じ。その小型版なので、たとえばauのEZナビウォークが専用端末化したイメージだろうか。

と、こうやって書いてみるとよく分かるのだが、このあたり、すでに日本では見慣れたサービスなのである。その意味でこの領域は、ハードウェア上の相違はそれほど出ないはずなので、ソフトウェア勝負となる。小規模ベンチャーも含め、日本勢はあれこれ力を発揮できる領域であり、ぜひがんばって世界に出て行ってほしいと思う。
 
 

電池問題とエコロジー

前項で電池問題に少し触れたが、モバイル端末にとってはかなり重要なポイントである。あちこちのブースでスタッフと立ち話をしても、異口同音に「ですよねえ」という反応で、問題は共有されているといえる。しかし会場の中を見渡してみると、モノとしては出てきていない。まずはUI革新のキャッチアップを優先させて、電池はとりあえず一日持てばいい、というフェーズなのだろう。

そんな中でちょっと異色だったのは、太陽光発電のパネルを搭載したsamsungの"Blue Earth"という端末。モックではあったが、エコロジーという切り口での打ち出しはそこそこ注目を集めていたと思う。ただ電力・電池問題は、エコ以前にそもそも端末としての成立を脅かす重大な問題でもある。実際ZTEも同じようなコンセプトの端末を展示していたが、これは電力事情に問題のある新興国市場を意識してのこと。

今回彼らは、太陽電池という解決策を提示した。これはこれで一つの方向性を示しているが、一方で限界の露呈でもあると思う。私もシロウトなので偉そうなことは言えないが、電池技術は化学の経験を有する専門領域で、端末開発などとはかなり切り離され、また閉じた世界だと聞く。その中で日本の三洋電機はかなりの技術開発力を有しており、見たことはないのだが「ノキア向け」「ソニエリ向け」といった感じで彼らの工場施設やラインが作られているとのこと。

この各社端末にとっての生命線を、先日パナソニックが会社ごと買収したわけである(しかもゴールドマンサックスの足下を見たおいしいディールで)。これが今後のモバイルの世界にもたらすインパクトは、相当大きいと考えるのが妥当だろう。要は当面の端末メーカーの首根っこを捕まえたようなものである。展示とはちょっと離れた話だが、水面下ではそういうしのぎを削る戦いが繰り広げられているのであろう。
 
 

実はここにも新興国

今回のテーマがLTEと新興国のインフラ整備であることはこれまでのエントリでも述べたとおりだが、端末の領域でもその傾向は顕著だった。まずもってhuaweiやZTEは「別にぼくらでも大抵のものは作れますよ」といった風情でスマートフォンをドカドカと並べているし、むしろ勢いとしてはノキアあたりより元気だったと言えるかもしれない。

また個人的に興味深かったのは、STマイクロエレクトロニクスとエリクソンの合弁企業であるSTエリクソンが、3GやHSPA向けのワンチップのユニットを大量に展示していたこと。このあたりの動きは、以前からノキアのチップセット開発部隊がSTマイクロに転籍するなど、実は動きが活発化していて興味深く思っていたところ。

そんなわけでブースにいた担当者と思いがけず長話を楽しんでしまったが、彼らの狙いはズバリ新興国市場。マジメな顔して、ガッポリ儲けるつもりなんでしょう。実際、写真を撮ってもいい?と聞いたところ、あっさりダメ出し。というわけでバチバチの競争領域なのだが、とはいえまだ見えない市場でもある。絵に描いた餅でノドを詰まらせないようご自愛のほどを念じたのは、言うまでもない。
 
 

次回予告

次回くらいでバルセロナの話も多分おしまいのつもり。最後は、プラットフォーム層の動きの話と、日本企業の様子、そしてまとめなどを予定。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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