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そしてiPhoneは行く(1)

2007/06/29 18:21
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プロフィール

クロサカタツヤ / KUROSAKA, Tatsuya

インターネットや通信、放送サービスが大きく変容する中、産業、政策、技術開発等の最新動向や、情報通信サービスと社会の関係性を考える上での「新たな視点」を、さまざまな分野でコンサルティング活動をしているクロサカタツヤ氏がお届けします。
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iPhoneの発売前夜
いよいよ今日、iPhoneが発売される。年初の発表から半年間、世界中のガジェット好きがあちこちで話題にしてきた。Appleが何かを生み出すときは(その卓越したマーケティング技術のおかげもあって)いつもお祭りのような雰囲気に包まれるが、今回は米国の夏休みシーズンでもあり、またさんざん引っ張ったこともあって、久々に大規模なものになりそうだ。

そういう熱狂的な光景というのは悪くないものだと私も思う。世の中にこれだけモノや情報が氾濫し、感情を高ぶらせる機会が少ない中、たかだか端末一つでここまで人々が熱い気持ちになれるのであれば、それだけで大きな価値があると思う。まずはそこまでのものを作り上げたAppleのスタッフを労いたい。

またiPhoneの成否には、世界中の多くのベンダ、キャリア、コンテンツプロバイダが注目していると思う。私自身、そうした企業の方々からこれまでこうした端末に関する相談をさんざん受け、検討し、結果としてほとんどの企業が製品化を見送ってきた経緯がある。ゆえにiPhone発表は一種の実験でもあり、もしこれが成功したら、その要因を探ることで様々なブレイクスルーのヒントが見つかるだろう。

ただ、あまのじゃくな私は、ここまで世界中の人々がiPhoneを発売前から絶賛すればするほど、「それ本当?」とつい思ってしまう。そしてコンピュータへの接触歴だけは長い(そのわりに大した技能は習得できていない)身としては、ふと心配にさせる思考や記憶が、ふつふつと湧き出してくるのである。

新作にしては大きすぎる開発規模
この半年を振り返ってみて、AppleはiPhoneの開発に資源を集中しすぎていた、という印象が強い。実際、次期OS(leopard)のリリースは10月に延期されているし、この間に登場したハードウェアもMacBookのアップデート程度だ。すべてとは言わないにせよ、経営資源の多くをiPhoneの開発に投入していることは明らかである。

すなわち、AppleはiPhoneの開発に相当社運をかけている、ということになる。が、これは事業体としては大きなリスクを背負っていること、そしてそれを管理ないしはヘッジする手段が乏しいことに他ならない。実際、先月半ばにengadgetから「iPhoneのリリースが遅れる」という誤報が発信され、Appleの株価が一瞬だが暴落するという事態が起きている。コケたらひどいことになるよ、という資本市場からの警告だろう。

iPhoneは確かに魅力的な商品だが、たとえば「スマートフォンが競合」と言われてもピンと来ないように、まだ市場定義すらできていないと思う(ゆえに魅力的でもあるのだが)。それほどの「新しいもの」を、そこまで自らを追い込んで開発すべきなのか。それこそ仮に売上が芳しくなかった時、どのようにそれをカバーするのか。またiPhoneへの資源集中投下によって後回しにされた他の開発の機会逸失にどう対応するのか。こうした疑問が私の中にはある。

ユーザの期待に対する機能の貧弱さ
機能面に関しても不安がある。タッチパネルや入力デバイスなども気にはなるが、そもそもiPhoneの基本性能はユーザの期待に対して些か貧弱ではないか…これはiPhone開発中もあちこちで指摘されていたことだが、どうしてもこの疑念は払拭できないままでいる。

たとえば通信についてはGSM+EDGEおよび802.11b/gを採用しているが、私がかつて海外出張等で利用していた印象では、前者は日本の3Gに比べてどうにも貧弱だ。体感としては、回線状態が比較的良好なAIR-EDGEくらいというところだろうか。少なくともGoogle MapsやYouTubeを常にガリガリ使うという気分にはあまりならない。

それらを利用するときは802.11b/gを使え、ということなのかもしれない。実際ジョブズ氏も「キラーアプリは電話だ」と述べているように、iPhoneは基本的に音声通話端末として性能仕様が決定されているふしがある。しかし、日本の携帯電話がすでに音声通話ではなくデータ通信の端末として認識されつつあるように、iPhoneを音声通話端末として認識する人も少ないだろう。いわんやiPhoneをや、である。

だとするとますます802.11b/gが重要になるのだが、無線LANの技術仕様は計算機資源(特にCPUとメモリ)に大きな負荷がかかる。これは設計上の問題であり、小手先の技術では簡単に回避できるものではない。ましてPCに比べてCPUパワーに乏しい小型端末の場合、電池消耗だけでなく、デバイスの発熱、システム機能の低下、あるいは通信品質の低下なども懸念される。

しかも「もともと音声通話端末」と規定しているのであれば、電池寿命の問題は極めて重要になるはずだが、上記の通り無線LAN技術は電池消費が激しい。すなわちユーザは当初、「電池の持ち」と「高度なネット利用」のどちらの機能を優先するかを選択する必要に迫られるだろう。また場合によってはノートPCのように代替バッテリーを持ち歩くことになるかもしれない。

…と書いていたら長くなったので次回へ続きます。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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