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セルラーの惑星

2007/06/21 05:08
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プロフィール

クロサカタツヤ / KUROSAKA, Tatsuya

インターネットや通信、放送サービスが大きく変容する中、産業、政策、技術開発等の最新動向や、情報通信サービスと社会の関係性を考える上での「新たな視点」を、さまざまな分野でコンサルティング活動をしているクロサカタツヤ氏がお届けします。
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インターネット白書2007の発表
先週開催されたInterop Tokyo 2007で、「インターネット白書2007」が発表された。総務省の情報通信白書(こちらも平成19年がまもなく公開されるはずだ)と双璧をなすインターネットの総合的な統計資料であり、読み物としてもいろいろな発見があって結構楽しい。

内容についてはすでに各社の記事やBlogに詳しいのでそちらに譲るとして、私が一点注目したのは、インターネットへのアクセス手段別の利用者数である。白書によると、「自宅のパソコンから」インターネットを利用しているのが5711.0万人に対して、「携帯電話・PHSから」の利用者数が6228.8万人となっている。すなわち後者の利用者数がおよそ500万人ほど上回っているのである。

旗色の悪いPCインターネット
こうした傾向自体は、それこそ昨年の情報通信白書あたりでも指摘されはじめており、一応理解はしていたつもりだった。しかしこうして改めて数字で示されると、日本のインターネット利用がもはや携帯電話ベースとなりつつある現実を、否応なしに突きつけられたようにも思えた。正直、大学にあったUNIXのワークステーションからインターネット利用を始めた世代としては、隔世の感といったところである。

しかも、この傾向は一時的なものではないとも思える。そもそものモビリティ性能はもちろん、それ以外にざっと思いつくまま並べてみても、

・可処分所得に占める通信費の割合(どちらがより生活必需品か?)
・単身世帯における選択(PCとテレビのどちらを選ぶか?)
・発育段階での端末接触(どちらに触れる/馴染むのが早いか?)
・サービスのパッケージング(どちらが楽に制御できるか?安心か?)
・コンプライアンス強化による企業ユーザのアクセス制限(そもそも使えるか?)

等の要素をそれぞれ吟味すれば、PCベースでのインターネット利用の旗色はやはり悪いと言わざるを得ない。こうなると、ではWebサービスは今後どうなるのか、といった疑問が生じるが、それはまた別のエントリで書くことにする。

ホスト数の減少
一方、インターネット白書とは違うソースだが、ISC(Internet Systems Consortium)が集計・発表しているインターネットドメイン調査を眺めていたら、2006年7月の総数が439.3百万だったのに対し、2007年1月現在で433.2百万と、この半年で約6百万ホスト減少していた。上記URLを手繰っていただければ一目瞭然だが、実は同団体が集計をはじめた1981年8月から2006年7月まで一貫して成長を続けていたホスト数が、今回はじめて減少に転じたのである。

このグラフだけでは誤解されるかもしれないので注記しておくと、これはあくまでホスト数の統計であり、「ホスト数=インターネットのアクティビティ」ではない。実際、IPv4アドレスの消費は増えているし、トラフィックもしかり。これらの状況を総合的に見てみれば、インターネットの利用は引き続き成長(少なくとも停滞はしていない)と言えるはずだ。

ただ、とはいえインターネットのホスト数が減少したというのはおそらく有史以来はじめてのことであり、それが何を意味しているのかは、今後の推移を注視しつつ検討が必要だろう。ちなみに、思いつきレベルで考えられる減少の理由だが、経路やノード、あるいはサービス主体の集約の進展、インターネットが当面用いられるであろう地域・領域での飽和、そして携帯電話網等新たなIPネットワークの出現によるインターネットの成長鈍化、等が挙げられよう。

社会における位置づけから考え直す時期
詳細な分析をしたわけでもないし、二つのデータを並べてみた直感でしかないのだが、どうもインターネットの利用形態の変化が、ネットワーク・アーキテクチャの変化を促しつつある気配を感じる。前述のような携帯電話によるインターネット利用の台頭はその顕著な例だが、ユーザの利用形態の変化を受けて、そのサービスインフラとインターネットの関係が変化してきているように思えるのだ。

こうした状況では、既存の実現手段の善し悪しだけでなく、社会におけるニーズを十分踏まえながら、

・そもそもインターネットの社会における存在意義とは何か
・それを満たすためのアーキテクチャや事業構造はどのようなものか
・それを実現する技術や制度、ビジネスモデルは何か
・それはどのように開発・調達できるのか

といった「そもそも論」からの(再)検討が必要だろう。少なくとも、単にこれまでのインターネット技術やIPネットワーク運用の経済合理性にのみ立脚した議論では、不十分である。

その上で、受け入れ可能な利用スタイルの変化は積極的に受け入れ、あるいは協調すべき面があれば(それこそNGNや電波放送等も含め)既存の手段と協調していくことが必要だろう。おそらくそうしたことをエンドユーザも含めて議論すべきタイミングに来ていることを、上記のデータは示しているのだと思う。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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