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50%の完成度でサービスを出す

2005/10/25 06:57
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kondo

人力検索やダイアリー、アンテナなどユニークなサービスでおなじみの「はてな」。そんなはてなを率いる近藤淳也氏が、ネットのコミュニティやサービスのあり方について独自の視点で切り取ります(このブログの更新は2006年2月9日で終了しました)。
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はてなでサービスを出す時に心がけていることとして、「50%くらいの完成度でサービスを出す」という事があります。

普通に考えれば、サービスは「これで完成」と思う部分まで作り上げて出すべきものである気がしますが、ウェブサービスの場合、実際は半分くらいの完成度で出した方がうまく行く確率が高いと思います。

新しいサービス(例えばブログとWikiがくっついたようなダイアリー)の構想を考えたとして、そのサービスの機能は3種類ぐらいに分けて考えられます。

  1. 最低限必要な機能…ログインや日記を書く機能など。どんなシステムでも持ち合わせている機能
  2. そのサービスを特徴付ける基本機能…キーワードの自動リンクシステムや、それを実現するためのキーワード作成機能など。どのサービスにもあるわけではないが、サービスのコンセプトを表すために必須の機能
  3. 発展的機能…1.や2.を前提として考えた場合に必要となるであろう機能。コメント拒否ユーザー機能や、キーワード削除のための調停ルールなど

この時、1.が無くてはそもそもサービスとして成り立ちませんし、2.が無くては最初にユーザーに面白いと感じてもらうことができませんが、3.に関してはサービスをリリースしてから発展させても良いと考えています。

例えば実際にはてなダイアリーを見返してみると、現在実装されている機能の半分以下の機能で1.や2.を中心としてベータ版をリリースし、それから3年間近く機能追加を続けている感じです。

機能追加を行うのは基本的に3.の発展的機能ですが、たまに1.や2.に立ち戻って開発を行うことがあります。例えばトラックバックの仕様を変更したりするのは、1.や2.の作業だと思います。

100%まで到達しない時点で公開をしたほうが良い理由は何でしょうか。

一つには、サービスはなるべく早くリリースした方が有利だ、という事実があります。色々な事業者や個人が日々創意工夫を繰り返して新しいサービスが作られているインターネット上では、1ヶ月や2ヶ月の遅れが命取りになるということもありますから、そもそも「リリースが早いということは良い事である」という事実があると思います。

しかしそれよりも遥かに大事なのは、「作る人間の想像力には限界がある」という事実です。どれだけ面白い仕組みを考え付いたり、色々な人の立場になって考えることが得意な人間でも、あるサービスが数十万人に利用された時に、その中で何が起きて、どのような機能が必要になるかを全て想像することはできません。

これは、新しい町を建設する人間が、そこに数十万人の住民が移り住んできた時に発生する全ての事象や、全ての住民の幸せについて思いを馳せることが不可能なのと同じです。こんなことが正確に想像できれば、未来の予測もかなり正確に予測できるでしょう。

町というと少し基本的機能が多すぎますので公園で考えてみます。公園の新しい遊具を考案したとして、今までに無い楽しい遊具なので子供がたくさん遊びに来ることが予想されるとします。色々な想定をして、遊具を完成させてから公園をオープンすることもできますが、新しい遊具の面白さを感じるのに最低限の機能を作った時点でオープンし、たくさんの子供たちが自由に遊ぶ様子を眺めながら改良を加えることができたらより素晴らしいと思います。

もちろん、子供が怪我をするような危険は最初に排除しておかなくてはなりませんし、ウェブにおいても最低限の安全性は作りこまなくてはなりません。しかし、そのサービスがプラスの方向にどのような発展を遂げるかは、リリースを行ってから考える部分を相当残しておいた方が面白いと思います。

今のはてなのやり方はまさにこういう考え方です。製品を作る前にプロトタイプを何度も作りながら最終的な形を求めていく方法に近いかもしれませんが、そもそもプロトタイプと製品の境界がなく、いつまでもプロトタイプであり、かつ最初から製品である、という状態がいまのはてなのサービスです。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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