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資本関係のねじれが生んだ「オープンソース・マーケット」時代のはじまり

2006/12/06 10:50
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YouTubeが、Googleに買収されたことによって、Googleの動画サイトにおける影響度は最大限に達している。

YouTubeとGoogleは合計で57%のシェアを持ち、広告枠で考えるとGoogleはMyspace.comの広告枠を9億ドル(4年間)でコミットしているので、合算すると、米国でGoogleは、78.2%のオンデマンドビデオ市場の枠を押さえていることとなる。

この巨大な利権を抑えたGoogleに対して、Yahoo!やMicrosoftは、何らかの画期的なプランを社会に対して提供さざるをえなくなったことは確かである。

Myspace.comは、全世界で1億1000万人ものメンバーを集めるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を基本としたCGM(コンシューマーネレーテッドメディア)サイトである。

Intermix Media社がMyspace.comのシェアフォルダーであり、UCLA(University of California, Los Angeles)出身のCEOのクリス・デウォルフ(Chris DeWolfe)とUSC(University of Southern California)出身の社長トム・アンダーソン(Tom Anderson)のダイナミック・デュオとプログラマーで2003年に設立された。

先行するSNSのFriedster.comやOrkut.comなどをMP3ファイルの添付と再生プレイヤーの同梱により、音楽が直接聴けるという特性をつけたこと、CSSなども含めたカスタマイズが可能なところが話題となり、一気に会員登録数を伸ばした。

2005年7月、20世紀フォックスやFOXテレビを有する、ルパート・マードック率いるニューズコーポレーション(NewsCorp)に5億8000万ドルでIntermix Media社が買収されたことによって、ニューズコーポレーション傘下となる。
映画、テレビ、新聞を抱えるNewsCorpがなぜ?と疑問に抱かれたようだが、CGMやバイラル効果のあるコミュニティメディアにニューズが投資しておくのは当然のことだと考えられる。さらに、Googleが4年間の広告契約に最低9億ドルを現金で支払う契約を結んだことにより、マードックの先見のよさに目が向けられた(単純計算で、3億ドル以上の儲けとなる)。

反対にAOLは、タイム・ワーナー(CNNやワーナーブラザース映画)、ネットスケープコミュニケーションズを買収したが、2003年より、社名からAOLをはずされ、タイム・ワーナーに戻るという凋落ぶりである。ビジネスモデルが、インターネットの黎明期のWeb1.0的な、会員数を確保し、ISP(インターネット・サービスプロバイダー)モデルによる抱え込み型から何も進化が見えないから仕方がない。タイム・ワーナーの元CEOのテリー・セメルは、現在はヤフーのCEOとなっている。

メディア企業の歴史は、常に買収に次ぐ買収の歴史でもある。かつての映画会社グループが支配する時代から、メーカーや食品会社のオーナー時代を経て、現在は成熟したコンピュータ会社が牛耳る時代へと進化を遂げている。それが、今後はネット企業が牛耳る可能性が非常に高くなってきている。

1億人以上の会員を誇るMySpaceの日本での事業化が、かつてテレビ朝日買収策などの際に手を組んだことのあるソフトバンクの孫正義とマードックの間で交わされたのは当然の話であろう。

何よりもメディアを征したマードックの次の狙いは、携帯電話市場が命題である。日本で携帯キャリアとしてスタートしたソフトバンクとの提携事業は、世界携帯市場での試金石として非常に意味のあるところである。逆に孫としても「Yahoo! 360°」をYahoo!ブランドを持って参入したSNS市場であるが、先行するmixiの一人勝ちに及ばないことを痛感していた。

孫自身が、Yahoo!オークションを手がけた際に、米国で先行していたeBayを持ってしても追いつけなかったという「先行者の利」を今回は逆の立場として味わったことである。

問題はMyspace.comの広告枠をGoogleが専売契約を獲得していることであるが、日本の事業会社はソフトバンクとNewsCorp傘下エフ・アイ・エム・インターナショナルB.V.とソフトバンクとの合弁事業であり、Googleとの広告契約は.comが対象であり、日本版に関しては新たな契約形態となるであろう。もしかすると、ここに日本では、Yahoo!傘下の広告会社オーバーチュアの参入なども考えられるだろう。

このように、時価総額が高まる企業であればあるほど買収は容易であり、今までの資本系列という古い慣習の「ケイレツ」の壁を越えて、ユーザーにとって魅力ある「場」を創造するためには、ライバルや競合関係の壁を乗り越えてでも、事業提携をおこなう傾向がでてきた。主導権を握るのは、どれだけユーザーの需要に柔軟に対応できるかという点である。

今後は、現在のITの主役である、マイクロソフト、ヤフー!、グーグル、アマゾン、アップル、eBayらが、資本関係を超え、事業提携やサービス統合を、どのように起しても驚いてはいけない時代なのである。昨日の敵は、今日の友、今日の友は明日の敵という構図だけではなく、ユーザーの選択や希望次第で、今企業はライバル企業や競合関係であっても、市場に君臨するためには、事業提携せざるをえなくなっているようだ。

これからはこの資本関係のねじれが新たに開かれた「オープンソース型のマーケット」を形成していく様子が伺える。「ソフトウェア企業」「ネット企業」「メディア企業」は三位一体化していき。ハードウェアであるPCは、ますます携帯化に拍車をかけ、新たなモバイル文化を形成しはじめようとしている。
彼らのライバルは、かつての企業や市場ではなく、「ユーザーの可処分時間の共有」なのである。いかに、自分たちのサービスとの接触時間をユーザーに保ってもらうかが命題となっている。そのためにも、ユーザーに気に入られることが一番重要な要素となった。それは、シェアの奪い合いの時代から、シェアを共有し、「競争から共創」する時代へと向かうだろう。

「滞留時間」、「粘着性」、「親和性」が深いメディア力とサービス力で、ユーザーに提供しなければ、企業の存在価値がないことに気づかなくてはならない。

YouTubeがここまで話題になった背景は、投稿者のユニークさにあるといえる。すなわち、投稿者であるユーザーが不在であればこの現象は起きなかった。ただ、一度ブレイクしたこの現象は、さまざまな方面に波及効果を及んでいる。

広告シェア分配型のRevver.comなどは、投稿者に対して50%の広告費を分配するという新たなモデルを形成する。YouTubeである程度のトラフィックを集めることができた投稿者たちは、即収益とつながるRevverにも投稿を兼ねるようになった。これに対して、Google化したYouTubeが何らかの策にでることは当然である。このように、サービスが高度化すればするほど、高度化していかない限り存続はありえない。ユーザー視点に立てば立つほど有利になるのが、Web2.0時代の特徴だ。反対にユーザー視点に立てない企業に存続はありえなくなるのだ。

ヤフー傘下となった、JumpCut.com、そしてEyespot.comなどはオンラインビデオ編集サイトとしての位置づけから、共有されリミックスされることが前提の新しい映像文化を生み出すことになるであろう。
今まで、自分の映像や写真がリミックスされることを経験したことがない、いや、リミックスされる価値などありえないと思っている人たちにも、タグや分類によっては貴重な素材として生かされる可能性がある。
写真はともかく、映像はまだまだ敷居の高さからか希少価値がある。また、今は著作権的に問題がある映像が多いが、素人ビデオが金に変わるというブレイクするーが見え始めると、パーソナルな映像が大量にネットに出回ることは想定できる。問題は何がブレイクするかである。

それらは、鶏が先か卵が先か論ではなく、自分自身が映像をアップロードすることによって、すべてが始まる。少なくとも、やってみるということは、すべての疑問や問題やリスクを明確にする上においても重要であり、やってみた人が少ない場合、やってみたことだけでも情報としての価値は発生している。さらに、自分の中での、ときめきや感動、さらに違和感や虚脱感なども、サービスを見極めるには自分自身がどう感じるかを、ユーザー視点に立ち返り、自己に問いただすことがもっとも重要である。

自分が作った映像で人に対して、何らかのインパクトを与えられると、映像の世界にどっぷりとはまってしまう。最初は家族でもいい、そして知人、そして、コミュニティ、そして社会へ、すこしづつフィールドが広まり、そこからいくばくかの広告収入があるというのがこれからのネット型のライフスタイルだ。広告収入を目的にしてはいけない。あくまでも好きなことを追求した上での結果として生まれるものだと認識したい。

むしろ、自分のコンテントが、知らない人から、評価を受けたり、自分の視聴者やファンが増えたことのほうが、金銭面よりも価値がでてくる場合がある。それは成熟化した経済社会の「豊かな」姿なのかもしれない。

Web2.0の勢いにまぎれて、バブル2.0もすでに始まっているかのようだ
また「このWeb2.0を、かつてのネットバブルのバブル2.0にしないように監視していく必要がある」と伊藤穣一(信頼をこめて"ジョーイ"と呼ぶ)はいう。確かにその兆候はある。しかし、重要なのはそれらの上っ面を追いかけてくる人たちと本物を見極める目を持つことだろう。動物的に伊藤穣一は本質的にいいサービスをカギ分ける世界でも有数の能力を持っていると思う。

ビジネスモデルが秀逸とかではなく、何か人を感動させたり、楽しませたり、便利にしたりと、インターネットのサービスの本質はそこにある。ネットのビジネスモデルが最初のプランどおりなんていう会社がネット上に存在していないのがその証拠でもある。何かが面白くて人を、惹きつけるサービス、ユーザーが増え、控えめな広告が入り、次に何がくるのかは世界の誰もがまだわかっていないところにこの業界の面白さがある。ある人にとってはリスクなのかもしれないが、ネット業界なんてそんなものだ。
変化にどのように対応しているのかを常に楽しめる人でないと、従事していても楽しくもなんともない。世界のベンチャーが今日もまた、誰かに刺激され、インスパイアされ、新たにユニークなサービスを提供している。それを見た誰かが、自分のブログなどに紹介することによって、さらに、そのブログを見た人が紹介する、そのバイラルの無限連鎖が広まってくると、メディアが紹介し、一気にブレイクしていくという構造を持っている。
PR会社を使って、マスメディアとアルファブロガー向けに記者発表会だけをやっている場合じゃない。

YouTubeが2.0かどうかは、ユーザー視点に立ったあなたが満足いけば2.0だろうし、2.0経験をつんだあなたが、満足しなければ、2.0ではない。その声をまたブログに書くだけで、その声は単なるつぶやきではなく、ひとつの声としてカウントされ、誰かに影響を与えていくことに2.0的な意味があるだろう。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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