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Google Checkoutは「銀行2.0」を推進する。

2006/07/27 20:10
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1949年、ニューヨークのレストラン「メジャー・キャビン・グリル」で、3人の男が新しいビジネスのアイデアを検討していた。どこでも特別なカードさえあれば、付けで支払いができる特別なカードのビジネスアイデア。

それは「ダイナースカード」と呼ばれ、巨大なクレジットカードのシステムとして半世紀にわたり世界中で使われるようになった。そして、それは、ネットビジネスをも躍進させてきた。今、その大きなクレジットカードビジネスにもすでに変化が起きようとしている。

米Google社が米国時間6月29日に、開始したオンライン決済システム「Google Checkout」は、クレジット業界を超え、銀行業にまで深く影響を与えるインパクトを持っているようだ。

すでに、仮想マネーとしての実力を持っているPayPalを傘下に持つ、eBAYは、「Google Checkout」の利用をPayment Policyにのっとり、拒絶している。

また、かつてからMicrosoft社が提唱している「Microsoft Passport」で実現したかったビジネスモデルを「Google Checkout」は、ユーザーでさえも小売店に変化させるプラットフォームとして、CGM(消費者制作メディア)の新たなビジネスとして提供している。

「Google Checkout」はクレジットカードの2.0を目指すのか?いや実はもっと大きな影響を与え、銀行や流通にまで波及していく未来を感じざるをえない。

EC(電子商取引)サイトと呼ばれるサイトは、ネットでの買い物を一気に普及させた。しかし、買い物の度にクレジットナンバーや住所を打ち込むことが手間となり、新規のECサイトからの購入がおっくうとなり、既に登録しているサイトからの購入に固定化される傾向があった。

Google Checkoutは、Googleにメールアカウントを持ち、クレジットカードを持っていさえすれば、ひとつのGoogleアカウントで、送付先住所などと連動し、ECサイトにおける決済サービスから住所などの情報を提供することができる。

利用方法は簡単である。
まずGoogle Checkout
http://checkout.google.com/

でクレジットカードの登録と、住所を入力する(残念ながら、現段階でのサービスは米国のみである)。これだけで、Google Checkoutを支払いで採用しているECサイトからは、ワンクリックで商品を購入できるようになる。

利用者ユーザーのベネフィットは以下の4点である。

【1】利用者は、ECサイト運営者にクレジットナンバーを教えなくてすむ。
【2】利用者は、ECサイト運営者に住所を教えなくてすむ。
【3】利用者は、使用履歴などをGoogleCheckoutで確認することができる。
【4】利用者はGoogle Checkoutを利用して、ECサイト運営者にもなれる。

【1】【2】に関しては、Googleが仲介するため、クレジットナンバーや住所などの個人情報をECサイト側に提供する必要がなくなり、SPAMや個人情報の漏洩を防止できる。一方、ECサイト運営者にとっては顧客の顔が見えにくくなるという側面も登場してくることだろう。

【3】は、Googleが最も得意とするところであり、購入履歴管理だけではなく、購入履歴に基づいて、推薦商品や広告なども表示してくることだろう。

【4】Google Checkoutの最大の特徴は、いままでECサイト運営者でない人までもが、Google Checkoutを利用して、ECサイトを運営できるようになっている点だ。

今まで、個人商店でクレジットカードを扱おうとすると面倒な手続きや費用、信用面などが問題であったが、Googleがそれらを肩代わりすることにより、小さな店舗であってもECサイトの運営が容易になるだろう。

手数料は、決済処理1件につき20セントと取引金額の2%と非常に安価だ。さらにGoogle AdWordsを利用して広告宣伝している場合、AdWordsの広告金額の10倍までは、手数料は無料となるという。つまり、商品が売れた場合は10倍の広告費分が還元されるという新しい仕組みとなっている。

これはGoogleが「広告屋」と「決済屋」を兼ねているからこそできるサービスだ。Google Checkoutを利用してECサイトを運営する人は、手数料がなくなるのであれば、広告も出そうというシナジー効果が働くわけだ。

Googleによるネット世界制覇のための、「実サービス」がようやく開始されたと感じる。さて、ここからが重要だ。

さらに想像力を働かせてみよう。Google自身が、「Google Calendar」と連動させることによって、商品購入ユーザーが在宅している時間帯に商品を宅配させるということも可能になるだろう。

すると宅配配送業者へ、ユーザーの在宅時間情報を与えることによっての再配達コストの数%の利益を得るというような新しいビジネスも考えられる。

今まで、関連しなかったサービスが連動してくることによって、新たな業界へ波紋が投げかけられる。当然、法整備や国ごとの慣習、業界の制度的問題、それらとGoogleのネット上のでの空気抵抗のないカルチャーが激突する時代がはじまるのだ。

変化自由なサービスプロバイダの競争時代へ

eBAYは、オークションによって、消費者をリセラーに変えた、eBAY傘下のSkypeは無料電話によって通信の世界を変え、PayPalは物理的なお金をなくすことで送金システムを変えた。広告業と決済業を抱えたGoogleは変化自由なサービス業として「検索技術」を核にさまざまなビジネスの可能性を拡大する。

Googleの挑戦を、既存のビジネス慣習や法的な判断だけで考えるのでは、ますます遅れを取るばかりだ。

現在のGoogleのビジネスを取り囲む環境から、何が起きるのかは容易に想像がつくはずだ。傍観者としてではなく、主体的にそれらのサービスから何が起きるのを察知していただきたい。

また、ドロップシッピングにより受注と物流が完成していることにより、GoogleCheckoutの参入は、利用者のベネフィットとビジネスチャンスをさらに拡大させることだろう。

ロングテールの尻尾の部分から続々と新しいスモールビジネス商店が発生しようとしているのではないだろうか?

消費者により近い立場の消費者が製品を売り出した時、銀行は金を貸して、又貸しするビジネス以外も本気で考える必要がありそうだ。

現在のGoogleやeBAYは、アナログなサービス業を異質や異例のマッシュアップ(組み合わせ)をネットで提供することにより、新たな価値を持ったサービスとして定着させている。今後はマッシュアップではなく、ノウハウを蓄積し、新たなサービスとして登場することは時間の問題だ。

そう、GoogleやeBAYが銀行や物流や通信会社、旅行会社、テレビ局、映画会社になってはいけないという法律はまだどこにもない。売却する事業者が登場すれば彼らはいつでも新たな市場に参入できることだろう。

既存事業者が、1.0的に顧客を抱え込んでいる(と信じている)うちに2.0的企業は、新たな市場を猛烈な勢いで構築しはじめている。

【参考リンク】
「いよいよスタートした「Google Checkout」サービスを実際に試してみる」(MYCOMジャーナル)

「Googleが決済サービスGoogle Checkout、日本での開始時期は未定」(日経BP ITpro)

グーグル、待望の決済サービス「Google Checkout」を提供開始

「Google Checkout」は成功するか--「Microsoft Passport」との違いに見る可能性

イーベイ、Google Checkoutによる決済を禁止

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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