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詐欺じゃないのに詐欺のように見えてしまうNTT東日本とUSENの商法

2008/08/28 03:25
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プロフィール

寺本由美子

本名とタイトルのペンネームが異なっているのはご愛敬(話せば長~い物語あり)。IT系の話題からゲームのレビューまで、自由気ままに発信します。iPadやiPhoneなど、大好きな電脳小物についても熱く語りたいですね。Twitterにも出没中。ブログへのコメントも、@kirifue へどうぞ。
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NTTドコモは8月26日、同社をかたって料金の架空請求や個人情報を聞き出すといった行為が増加しているとして契約者に注意を呼びかけた。去る7月17日には、NTT東日本がフィッシング詐欺について注意を喚起していた

ユーザーなどの個人宅に「NTTドコモ(NTT東日本)です。未納料金がありますので、ガイダンスに従って操作してください」といった内容の自動ガイダンスの着信があり、自動ガイダンスが指定する番号(9番)を押すと、社員を名乗った人物がATMで電話料金を支払うよう誘導したり、住所や氏名などの個人情報を聞き出したりするのが主な手口だという。

これは不特定多数を狙った手口で、釣られた者を対象に執拗な攻撃を仕掛けてくるのが特徴のようだ。すでに個人情報を手に入れている場合は、さらに巧妙な罠を張る恐れもあるのではないかと素人ながらに心配してしまう。

先週のことだが、我が家にNTT東日本と名乗る方から電話があった。KDDIなどからも営業の電話はたびたびかかってきていたし、電話自体は特に不審だとは思わなかった。NTT東日本のフレッツ光を利用している家庭に対し「GyaO NEXT(ギャオネクスト)」を3ヶ月間無料で試すことができるというサービスの案内である。

ギャオネクストとは、テレビ画面上でいつでも観たいときに好きなだけ、インターネットによって配信された動画を視聴できるというサービスである。見放題プランなら、チューナーを搭載した専用テレビ接続PCのレンタル費用も含めて月々3480円で利用できる。カラオケも歌い放題だという。ただし新作や話題作などのPPV(ぺーバービュー)コンテンツは、1本315円からの有料のタイトルとなっている(見放題プランには630円分のPPVクーポン付)。

私は普段からPCでギャオの無料視聴をたびたび利用していたので、ギャオネクストというサービスがあることだけは知っていたが、ケーブルTVを視聴しているため他の動画配信サービスの必要性が低く、詳しい内容までは把握していなかった。いつもなら電話セールスでは「No」以外の即答は避けるのだが、娘がテレビでのオンデマンド動画配信に興味を示したことと、好奇心が警戒心を上回ってしまったこともあって「じゃあ試してみます」と返答。NTT東日本の方の話では、後日USENから電話連絡があるとのことだった。この時点で個人情報がNTT東日本からUSENに渡ったわけであるが、それは承諾済であるため問題は無いだろう。

NTT東日本がUSENのギャオネクストを後押ししていることはNTT東日本のホームページで確認したが、サービス内容や評判までは調べるでもなく忘れていたら、2日後にUSENの営業の方から電話連絡を頂戴した。サービス内容はNTT東日本の方がおっしゃっていた通り(セールストークの動画の本数が7000本から30000本に増えてはいたが…カラオケを含めるか否かでカウントが変わる)。

無料視聴するに当たっては契約しなければならず、クレジットカード番号をこの場で教える必要があると言う。いくらなんでも怪しいのでさすがにやめようかとも考えたが、なにぶんやってみないと気が済まない性分だし、まさかと思う気持ちもあって結局伝えてしまった。これで契約を締結したことになるとのこと。

その後だんだん心配になり、ネットで「GyaO NEXT ギャオネクスト 詐欺」と検索してみた。「価格.com」のクチコミや「ギャオネクストってどうよ?」などというネガティブな2chスレがヒット。気分が落ち込んできた。
おまけに「サービスについて何か質問などありましたら、こちらに電話してください」と教えられたコンタクトセンターのフリーダイヤルの電話番号で検索すると「ワン切り最新情報に載っている」と書き込んだブログ、及び「(NTT東日本をかたった)新手の詐欺ですかね?」などと回答されたYAHOO!知恵袋のページがヒットした。たった2件の情報とは言え、数少ない手がかりである。顔から血の気が引いていくのが分かった。

クレジットカードの照会をして不正な引き落としが無いと確認しちょっとホッとするが、後は営業の方から聞いたUSENのサービスセンター(こちらの番号はUSENの公式ページにも記載されている)に電話をかけてみるしかない。0570で始まる電話番号はナビダイヤルのため待たされているだけで料金が発生するというカキコミを見たので、03で始まる電話番号の方にかけてみた。調べてもらったところ、私の契約はきちんと登録されていた(ただし電話で契約後、DB登録までに通常2日以上かかるらしい)。

結局新しい動画配信サービスは必要ないと判断して、断ることにした。本当のところは(ネット上では大層なことを言っておきながら)自分自身のセキュリティに関しては大甘だったことに嫌気が差したのと、単なる好奇心だけでモノに飛びつくのはやめようと固く心に誓ったからなのだが…。

映像の質自体をどうこう言うつもりはない。実際に目にしたわけではないので。2008年7月以降、高品質なハイビジョン画質と迫力の5.1chサラウンド音声を順次実装予定というフレコミだから、その真価は未だ発揮されていないのかもしれない。ただ、ネットワークにより配信された動画の品質は、そのネットワーク環境に左右されてしまうことは確かである。NTT東日本としては自社のフレッツ光が動画配信の負荷に十分耐えられるものだと自負しているのだろうが、この種のサービスは利用してみないと分からないところもある。そういった意味でお試し期間を設けることはNTT東日本にとってもUSENにとっても視聴者にとってもメリットがあるわけで、正しい手法であると言える。

具体的なコンテンツの内容については事前に知る方法が無い。少なくとも公式ページの番組表は一般のネットワークからは見ることができないし、タイトルの紹介ページでも映画6本とアニメとドラマ3本ずつしか載っていない。つまり詳しい内容を知りたければ「お試し」をせざるを得ないという状況。まあ、これも正攻法のうちと言えるかもしれず、視聴を検討している者にとってもギリギリ許容できる範囲内ではある。ただし期待していたものとあまりにギャップが大きい場合は、かえってマイナスに作用してしまうだろう。

2007年9月からストリーミングによるオンデマンドサービス「アクトビラ ビデオ」「アクトビラ ビデオ・フル」がスタートした。2008年12月からはハードディスクレコーダーやHDD搭載Blu-ray Discレコーダーへのダウンロードサービスも始まるという。次世代TVの目玉ともなっているアクトビラでは、対応しているテレビやハードディスクレコーダーなら新たに機器を設置することなく動画の受信が可能である。
このような競合サービスが登場する中で、いつまで「詐欺ではないのに詐欺のように見えてしまうUSENの商法」が通用するのか。

誰でもがWeb上で情報発信することが可能なネット社会にあっては、まさに百害あって一利なし。「価格.com」の苦情を読んでいると、悪い噂は良い評判をいとも簡単に呑み込んでしまうものだということに気づく。ここまでボロクソに書かれているからには、サービス開始初期には相当ひどい対応もあったのだろう。インターネットの恐ろしいところは、過去の情報にいつでもアクセスできるという点である。地に落ちた「信用」の回復はかなり難しい。

私の場合はサービスセンターには3分弱でつながり、オペレータの応対にも全く問題は無かった。むしろ好感が持てるほどだ。「万が一、入れ違いに機器が送られてきた場合には受け取り拒否してください」など、断りの電話にもかかわらず、懇切丁寧に説明をしてくださった。USENにおいても営業システムの改善は行われていると想像する。ただ、それは消極的な改良であって、当たり前のことができるようになったに過ぎない。プロバイダ契約しかしていないのに送りつける「押し売り商法」なんてのは論外なのだから(現在は行われていないと思いたい)。

NTT東日本との提携も戦略としては良い。うまく事が運べば、どちらにとっても旨みがある。ただ、悪い印象が強ければ共倒れとなるだろう。実際にはNTT東日本が潰れるなどという可能性は皆無であるが、企業イメージの問題がある。コンタクトセンターの電話番号が詐欺に使われているなどという口コミは、その代表例であろう。強引なセールスがすべてを台無しにする。さらに、番号がネット上で公開されていないのが災いし、誤った情報が勝手に独り歩きを始めてしまったのだ。

USENに一言。「最小限の手間で最大限の客を」という営業方針なのかもしれないが、クレジットカード番号が必要な契約は書面にて行うべきである。意識的にアクセスしたサイトやこちらからかけた電話で詐欺に合うことはほとんど無いと思うが、向こうからかかってきた電話で詐欺に合う可能性は否定できまい。「おれおれ詐欺」なんて身内を装っているのにもかかわらずまんまと騙されるのである。ましてや電話1本の赤の他人の言うことなど、本来信用すべきではなかろう(私が言っても説得力に欠けるが)。
悪用される恐れのある営業方法は、即刻、やめねばならぬ。

最後に、興味深いページを発見したので紹介したい。
「REMIX07 TOKYO」のブレイクアウト セッションとして「IP-TV 時代の GyaO & GyaO NEXT」の講演内容が掲載されている。GyaO NEXT戦略室室長である堤天心氏が、2007年9月当時のGyaOの現状や将来像について熱く語っておられる。

スライド中に書かれた『リモコンUIによる家電ライクな視聴環境が必要』という文を読んで「なるほどそうだな」と思った。気になるのは『07年度中に、IP動画配信サービス実績構築の必要性』というくだりである。さらに『GyaOブランド及びUSEN最大の強みであるPUSH営業力をテコに短期での実績構築を狙う』とある。課題をクリアしていくための柔軟性のある展開プランの構築とその実現に向けてのひたむきな姿勢とか、ユーザーエクスペリエンスを追求した研究開発への意欲的な取り組み等については高く評価できるが、肝心の集客において「PUSH営業力」に頼っているところがそもそも根本的に間違っているのではないか。

一度モヤがかかってしまった「疑いの心」はなかなか晴れはしない。「そういうことをしている会社だから」という思い込みほど怖いものはないだろう。遅過ぎる感はあるが、USENは今度こそ真剣に営業体制、ひいては経営方針まで見直すべきときが来ているのではないだろうか。「信用」という無形のものはお金を払って買えるものではないということを、経営陣は身を持って学ぶべきである。

追記:

私はGyaOのようなオンデマンド動画配信サービスが嫌いなわけではない。ていうか今後、お金を払ってでも利用したいと思っている。ドラマやアニメなどの続き物をお店でレンタルしてくるのは面倒だし、一度にたくさん借りたとしても時間が無くて観られないこともある。こういう一話限りでないものについては、オンデマンドは極めて有効だと思うのだ。「つづき」は観たくなったときに観ればいいジャンという気軽さ。それが超簡単・低価格・高画質(この順番が重要なのだ)に提供されるようになったなら、このサービスも一気にブレイクするんじゃないかと。

まあ、我が家の場合ここら辺りの条件は絡み合っていて、PC上だと一人で観ることになるのであまりお金をかけたくないけど、テレビだったら家族皆で観られるんで315円払ってもいいかなとか。レンタル屋へ行くにもガソリン代もかかるし、うちから出ないで済むならそれにこしたことはないとか。店には置いていない作品でも、郵送レンタルDVDなら借りることができるらしいから今度試してみようとか。それでもやっぱり、お気に入りの映画なぞはパッケージ(DVD/Blu-Ray)で所有したいとか…。

そんなユーザーの身勝手さに「商売の芽」が生まれるのかも。

 

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NTT東日本 映像サービス
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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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