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MD程度にはおさまらない「Blu-ray」というメディア

2008/02/21 01:15
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プロフィール

寺本由美子

本名とタイトルのペンネームが異なっているのはご愛敬(話せば長~い物語あり)。IT系の話題からゲームのレビューまで、自由気ままに発信します。iPadやiPhoneなど、大好きな電脳小物についても熱く語りたいですね。Twitterにも出没中。ブログへのコメントも、@kirifue へどうぞ。
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BDは勝ったけど、勝利の大きさとしてはMD程度におさまっちゃうのでは」という小飼 弾さんのご意見には賛同できません。MDは音楽メディアとしては容量が足らず、たくさんの曲を聴くために何枚も持ち歩くか、1枚ポッキリで我慢するかといった使い方でした。今考えると、音楽好きな人にとってこれはかなり不自由な制約でした。そんな折に登場したのがiPodに代表されるポータブルオーディオプレイヤーです。自分のお気に入りの音楽を好きなだけ詰め込んで持ち歩けるというのですから! 言わばパラダイムシフトが起こったわけです。娘が飛びつくわけですよー(今やライブラリは4000曲越え!)。

MDを包括する形でiPodなどのオーディオプレーヤーが発達していったのです。一方、CDは今でもしぶとく残っています。それは何故?

CD(CD-ROMに限らず書き込み可能なメディアを含む)は録音のためのメディアというよりは、商品を提供するためのメディアとして流通しました。もっとも、ネットで入手できるタイトルも増えてきており、早晩CDはネットに取って代わられるのではという指摘もあります。おそらく長期的なスパンで見ればそうなることでしょう。しかし、ここ数年は物理的なメディアは安泰なはずです。その理由はネットでの音楽配信がマーケットとしては未成熟なこともありますが、物理メディアに対するコレクターの需要が少なからず存在することが大きな要因となっています。音楽とか映画・ドラマ・アニメといった映像の分野では、作品やアーティストに対する熱狂的なマニアがいるものです。

例えば、うちの娘はあるアーティストのファンです。CDが発売されると複数バージョン(ジャケットや中身がちょっとずつ違う)をすべて揃えないと気が済みません。まんまと制作会社のワナにはまっているのですけど、自ら進んでやっているのでどうしようもない。私にとっては理解に苦しむ行為ですが、こういうファンが五万といるわけです。

DVDでも同じことが言えるのではないでしょうか。そしてここが肝心なのですが、Blu-ray Discは録画媒体であるだけでなくDVDと同様、コンテンツを提供する器でもあるということです。「オタク」は今やワールドワイドな存在で、ことアニメに至ってはかなりコアなユーザー層を形成してます。プラス、昔からの映画ファンですね。こういった層はパッケージメディアにお金を落とすことを厭いません。少なくともカタチあるモノを集めたいという欲求を満たすために、CDやDVD、Blu-rayは存在し続けるわけです。

「YouTubeやニコニコ動画はどうなの?」という声も聞かれますが、これはそもそも使われ方が違います。見流すことが前提です。特に「ニコニコ動画」は仮想的に同期を取ることで共通体験として視聴やコメント投稿ができ、皆で盛り上がれる「場」が楽しいわけです。もちろんニコニコ動画を含め、YouTubeのような動画共有サイトやWinnyといったファイル共有ソフトは、コンテンツのダウンロードが主たる目的となり得ます。しかしこれらは電子的に保存はできても、カタチが残りません。付加価値が無いに等しく、そこがマニアにはちょっともの足りないのです。また、一般のコンシューマーにはPCの操作が必要となる動画視聴方法は未だに敷居が高く、ディスプレイ越しに観ることにも抵抗を感じる方が多いようです(他にもやり方はあるのですけどね)。

iTunesストアにおいては、音楽タイトルの差別化が図られてきています。それがアルバムアートワークの提供であり、PCやiPodにおける美しいカバーフローの表示でしょう。これはファンの心をくすぐる心憎い演出です。iTunesストアでの音楽販売の成功例を見ると、別にそれほどのマニアでないなら「映像だってネットでいいジャン」という結論に至りそうです。特にアメリカでは「映像は消費するもの」という考え方が主流のようで、AppleはHD品質の映画レンタルを推し進めています。日本でも1回観れば十分というコンテンツはTVやレンタルショップで済ませる傾向があります。音楽に比べると映像は一過性のものが多いので、ネット経由で視聴しやすいと言えます。しかし、メディアが安価であればそれはそれで消費してもよいモノとして一般に認知されますから、しばらくはDVDのコンテンツが売れ続け、Blu-rayがDVD並の価格になればそれに取って代わるいうのが私の予想です。

人間の習慣はすぐには改まりません。HD対応テレビを購入するタイミングで、Blu-rayレコーダーを買いたいと考える人は多いはず。デジタルであろうと無かろうと、TVのドラマや映画・バラエティ等の番組を取りためるのは日本人の習性だと思います。ハードディスクの容量には限界がありますから「もったいない」という感覚で、ついついディスクに焼いてしまうのです。うちの例ばかりで恐縮ですが、我が家のDVDレコーダー内蔵のハードディスクは何故かいつも満杯です。録画する前にDVDに焼いてから消すという作業をいつも娘が行っています。うちの家族にとっては、TV番組は残すだけの価値があるものなのです。また、一般ユーザーはわけの分からないネット配信システムやセットトップボックスを「選択して使いこなす」または「しばらく様子を見る」よりも、まずは慣れ親しんだ方法を選ぶでしょう。ただ、Blu-rayレコーダーはまだ高嶺の花。ここで一気に広めてしまわないと買い控えが起こり、ネット配信の普及が追いつくまでDVDで我慢してしまうということにもなりかねません。

ハードディスク等の据え置きメディアがもっと巨大になるとか、あるいは、インターネット上のサーバーに所有するコンテンツを保存できるようになったなら、パッケージメディアは不要になるだろうとは思いますが…。ダウンロードしたコンテンツを一括してネット上に保管するなどという話はコンテンツホルダーが許すはずもなく、まず実現しそうもないですし。本題からは反れますが、そもそもコンテンツを電子的に保存しておきさえすれば、世のメディアがいかに変遷したとしても未来永劫安泰であるというのは幻想に過ぎません。物理的な媒体は必ず劣化しますし、機器には寿命があります。その前にコピーしようともくろむかもしれませんが、動画の場合は「ダビング10」で対応しきれるものやら。乗り換えたり廃棄する直前にしかたなく試みるだけでしょう。いきなりブッ飛ぶまで手付かずなのがオチです。まあ、この話は長くなるのでここまで。

「ユーザー不在の規格戦争」という意見には「一票」ですね。ともあれ、規格が統一したことは良いことです。これでやっと次世代機器を安心して購入できるというものです。PS3の普及にも拍車がかかりそうだと期待してます。ですが、HD DVDを支持して早々と機器を購入してしまった方には「お気の毒」としか申し上げられません。もちろん、東芝は責任を持ってサポートし続けるべきだと思います。早速Blu-ray対応機器を売り出して「乗り換えキャンペーン」をやるのもいいかも。アーリーアダプター層こそ、機器を買うべくして買った「最も優良なお客さん」なのですから。「ものづくり」においては、えてして後発の方が成功したりします。一から出直せるというのは、実は絶好のチャンス到来なんじゃないでしょうか。東芝は今こそ、株価が上がった理由についてとくと考えるべきですね。

2008/03/03:続編追加
Shin_s さんやBLACK.さんのコメントに対する返答として、続編を書きました。下記リンクよりご覧ください。
ネットの向こう側にDVDライブラリはあるのか −「Blu-ray」つづき

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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