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YouTubeの「角川アニメチャンネル」開設に見る著作権問題

2008/02/16 03:36
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プロフィール

寺本由美子

本名とタイトルのペンネームが異なっているのはご愛敬(話せば長~い物語あり)。IT系の話題からゲームのレビューまで、自由気ままに発信します。iPadやiPhoneなど、大好きな電脳小物についても熱く語りたいですね。Twitterにも出没中。ブログへのコメントも、@kirifue へどうぞ。
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昨晩、テレビ東京で「ニュースWBS」を見ていたら「違法コピーとのつきあい方(実はタイトルがよく分からず)」という特集をやっていた。ネット時代における著作権問題についての報道である。

ネット上の違法コピーの現実は厳しい。
「(テレビで)放送された数時間後にはネットにあがっている」
ダウンロードするだけで、いとも簡単にコピーされた動画を視聴できてしまう。ウィニーの利用経験者はインターネット利用者の20%もいるらしい(さすがに最近は少なくなってはいると思うのだが)。ウィニーに限らず、他にもたくさんの動画サイトが存在し、違法動画の温床となっている。

権利者はこのまま放っておくしかないのか…。角川ホールディングスでは、この問題の解決策を探り始めた。
「うまく共存していく道があるのではないか」
角川作品で違法アップロードが圧倒的に多いのは「涼宮ハルヒ」だと言う。

しかし、一方で宣伝効果もあるのも事実。放送していない海外で、日本と同じくらいの数の「涼宮ハルヒ」のDVDが売れる理由は他に考えられない。見たいときに「見られる環境というものをきちんとしていなかったから」という反省もある。

そして昨日、角川グループはYouTube内に「角川アニメチャンネル」を立ち上げた。YouTubeには、角川歴彦会長による発表記者会見の模様もアップされていた。
「アニメ、小説、映画や映画の俳優募集などのキャンペーンをYouTubeと共同で展開したいと思っとります」
広告を配信するシステムや違法動画を識別する技術が整ったとして新規事業に踏み切ったという。優秀なクリエイターを発掘するためのキャンペーンなども行っていく予定である。角川グループはかねてよりメディアミックスによるマーケティングを展開するなど、戦略に関しては他社より一歩抜きん出ている印象だ。

さて、さっそく見てみないことには話が進まない。YouTubeに行ってみたが、それらしいチャンネルがさっぱり見当たらない。「角川アニメチャンネル」で検索してみたところ、角川の「鳳凰のようなマーク」の動画が見つかった。クリックして視聴してみると内容は何もないのだが、その右横に「KADOKAWA Anime Channel」へのリンクが設置してある。[チャンネル登録]もできる。
直リンクは以下の通り。

角川アニメチャンネル
http://jp.youtube.com/user/KADOKAWAanime

現在あがっているのはPVばかりだが、2月20日より角川書店スニーカー文庫の「ムシウタ」(第一話:約24分)と、富士見ファンタジア文庫大人気シリーズ「フルメタル・パ ニック!」(第一話:約23分)の配信を開始するらしい。ファンにとっては嬉しいことだが、これだけではGyaOのBandaiチャンネルの無料放送とあまり代わり映えはしない。クリエイターをどのように誘致して場を盛り上げるかが、今後の課題であると思う。

放送された番組には「見逃し需要」というものが存在するのは確かだ。天下のNHKでさえ2008年4月よりアーカイブス・オンデマンドサービス」を始めようとしている。正式に観られるのならば、わざわざ違法サイトからダウンロードする必要はなくなる。利用者には法を守りたいという気持ちが少なからずある。人の著作権を尊重する心を持ち、コンテンツは価値があると認めた上で合法的に視聴すること、それができれば皆が幸せになれるのだ。

さて、ニュース特集の話に戻るが、著作権の解放へ積極的に取り組む企業は増えてきている。
ガイナックスは売り上げの3%〜5%の著作権料を払えばキャラクターを使用した商品を販売できる。「エヴァンゲリオン」のフィギュアを製作して販売することさえ可能なのだということに驚いた。

古典と現代がミックスされたような芸術的作品も紹介されていた。古典的な日本画に現代のキャラクターを取り入れている絵画だ。例えば「コカコーラ」といった商標のあるモノがそのまま絵の一部となっている。しかも無許可であるという。
作家の山本太郎氏は「悪意があるわけではないのて、認めてもらいたい」と訴えていた。もはやサブカルの範疇などではなく、紛れもないアートである(もっとも、「サブカルチャー」という呼び方自体も形骸化していると感じるが。それはそれで「誇り」であるとも言える)。
ケンタッキーフライドチキンでは「ブランドイメージをそこねるものではない」として特別にカーネル・サンダースの顔の使用を認めているばかりか、京都の2店舗で「日本゜画屏風祭」を開催したりして、ちゃっかり商売に利用している。

また、コンテンツをオープンに利用できるようにすることによって、創造的な作品が新たに生まれる可能性もある。例えば、「Open Post」が提唱するところの「コンテンツコラボレーション」を目指した試みもその一つだ。このOpenPostについてはlivedoorネットアニメで紹介記事を書いたので、一部を引用したいと思う。

すべての違法コンテンツを厳しく取り締まることは、もはや不可能に近いのも事実。仮に禁止できたとしても、それが最善の策かどうかという疑問は残ります。むしろ、クリエーターを育てる場が減少し、新しい表現方法や技術、ひいては文化を生み出す機会を失ってしまうかもしれません。また、作品に対するプロモーション的な効果や、ファンのソーシャルサイトとして機能するといったメリットを捨て去るのは惜しい気がします。作品の著作権者と二次利用したいクリエーターの両者が共存共栄できるような仕組みがあればいいのに..と常々考えていたところ、「Open Post」というサイトが開設されたことを知りました。

窓口はあくまで広く、ただし、完全にフリーにする必要はない。現行の著作権法はいかにも時代遅れである。作品を創造した人にとって確実に利益を配分できるような方法や制度があるはずだ。例えばソニーはJASRACと契約締結し、動画共有サービス「eyeVio」でJASRACが管理している国内楽曲の中から、好きな楽曲を自ら歌唱・演奏した映像を投稿、共有できるようにした。角川グループのようにコンテンツをにぎっているところが配信するのではなく、動画サイトが楽曲の二次利用に伴い発生する音楽著作権使用料金を負担するという方法である。この手法のメリットは、CGMの後ろ盾となりうる点だ。制作・販売元の企業が提供しているコンテンツはえてしてプロモーション的色彩が濃く、それが腰を引かせる原因となっているように感じる。もっと自由に利用できるという前提を知らしめることが重要なのだと思う。

コンテンツの垂れ流しは作り手にとって直接的には利益を創出せず、そもそもクリエイターの意思を尊重しているのかという疑問もある。配信する側が料金を負担するのも手であるが、利用するたびに自動的に少額の料金を支払うという仕組みは抵抗が少なくていいかもしれない。いわゆる携帯の有料サイトの自動料金徴収のようなシステムである。いっそのことITmediaの記事に載っていた法政大学准教授の白田秀彰氏が提唱する「完全コピーフリー、税方式で徴収」という方法もありかなと思う。ことサブカルチャーに関しては、そのくらいの危機感を抱いている。

さらに、コンテンツを完全コピーフリーにし、税方式で一律に使用料を徴収した上で、クリエイターや作品の人気投票を行い、得票に基づいて配分するという仕組みも提案した。この仕組みなら(1)フリーライダーがいなくなる、(2)DRMの開発コストが不要になり、社会的コストが減る、(3)将来、どんなメディアができても継続できる、(4)作品をできるだけ自由に流通させようといううインセンティブなる――などといったメリットがある。

直接的・間接的な利益によって動いている現代社会の基準においては、動画共有サイトにおける違法アップロードやダウンロードは問題であるかもしれない。だが、未来の世界からこの時代を振り返ったときに、何が文化の発展を阻害したのかと論争したり、ではどうすれば良かったのかと悔恨したりするようなことは是非とも避けたい。日本のサブカルチャーの発展に「YouTube」や「ニコニコ動画」が果たすであろう役割を過小評価することは馬鹿げている。今こそ、真剣にこの問題を議論すべきときであると思う。

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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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