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東京コンテンツマーケット2007−コラボレーションから生まれる著作権ビジネス

2007/10/30 03:14
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プロフィール

寺本由美子

本名とタイトルのペンネームが異なっているのはご愛敬(話せば長~い物語あり)。IT系の話題からゲームのレビューまで、自由気ままに発信します。iPadやiPhoneなど、大好きな電脳小物についても熱く語りたいですね。Twitterにも出没中。ブログへのコメントも、@kirifue へどうぞ。
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ラレコ/ネトアニをプロデュースしたことで有名な、ファンワークスの高山晃氏に「シンポジウムやりますので、よろしければ是非、いらっしゃってくださいませ!!!」とコメントを頂いたので、お言葉に甘えて出かけてきた。10月25日、場所はかの六本木ヒルズ。案の定おのぼりさん状態で迷ったが、インフォメーションで聞いて何とか六本木アカデミーヒルズ40にたどり着くことができた(遅れてすみません)。

あらかじめお断りしておくと、W-ZERO3でシンポジウムを録音していたのだが、録音ボタンをタップした直後に固まってしまったようで一言も録音できていなかった(泣)。なので、覚書き程度のメモと記憶を頼りに記事を書いている(今度の取材までには、絶対ICレコーダを買う!)。発言内容とは厳密には異なると思うが、ご容赦願いたい。

シンポジウムは『コンテンツコラボレーションに見るweb2.0時代の著作権ビジネス』と題して、高山晃氏をはじめ、手塚プロダクション著作権事務局局長の清水義裕氏、ソニーのコーポレートディベロップメント部ネットメディア開発室チーフプロデューサーの本間毅氏、モデレータとして株式会社シンク代表の森祐治氏で行われた。森祐治氏はCNET Japanでもときおり記事を書いていらっしゃるのでご存知の方も多いだろう。

Tcm2007_1 Tcm2007_2

最初に、森氏がコンテンツには「流通」と「再創造」という二つの流れがあり、「流通」とはありのままの物を売っていくことで、「再創造」とは今あるものに対して価値をつけていくとの定義を述べた。今までデジタル化されたものはDRMをつけてガチガチの技術となっていたが、レッシグ氏が提唱しているクリエイティブコモンズによって、コンテンツ制作者が他者の加工編集を認めるなど、流通方法を決めることができるようなサービスも出てきた。それからコンテンツコラボレーションという言葉が広まったという。

清水氏は「アボカリ方式」という持論を展開した。寿司がワールドワイドになれたのは、「アボカド」と「カリフォルニア巻き」を許したからだという。コンテンツにおいても同じことが言える。『鉄腕アトム』と他のコンテンツとの積極的なコラボレーションについて、浦沢直樹先生による人間の姿をしたアトムを描いた『PLUTO』(プルートウ) や、デザイン集団play set productsによるアトムのキュートなイラストの例を挙げた。「浦沢直樹氏は二次著作権者であるが、30年書き続けると『PLUTO』の唯一の著作権者となる。こうして権利を受け継くことで文化が継承されていく」と語った。『鉄腕アトム』は永遠に我々の記憶から消えることはないだろうが、コラボレーションすることによって新たな生命が誕生し育まれていくのだと思う。その成長を見守ることはファンにとっても喜ばしいことであるに違いない。

本間氏はソニーの投稿シェアリングサイトeyeVio』を紹介した。ポジションとしてはYouTubeとは異なり、デジタルコンテンツを安心して共有できる場所、プラットフォームとしての動画共有サイトを目指しているという。何より他のサイトと一線を画すのはDRMを付けるのではなく、クリエイティブコモンズを採用していることだろう。営利目的を許可するかしないか等、制作者が自由に設定できる。また、PSPやウォークマンなどのソニー製品はもとよりiPodとも連携できる点を強調していた(ソニーは囲い込みの激しい企業だと認識していたが、iPodに正式対応するのは今やiPodが無視できないくらいに大きな存在になったということだろうか)。作った人の意思を反映して、クリエイティブコモンズが付いているものだけをダウンロードできるシステムとなっている。

今後は発信するクリエイターをサポートすることに力を入れ、ハードウェアとの連携を簡単にし、クリエイターでない人もオンラインで簡単に作れるサイトを目指す。また、HD並みのクオリティの動画を保存・共有できるようになるとのこと。ソニーの技術力ならではかもしれない。現在、Mozilla Firefoxとの提携による『2007 Get Firefox ビデオアワード』を開催している。クリエイティブコモンズの付いた素材を使用することで、マッシュアップ作品のアップも可能である。締め切りは12月10日、腕に覚えのある方は挑戦してみてはいかがだろう。

高山氏はファンワークスの考え方について「輝く才能を持ったクリエイター達と新しい才能を求めている世の中の架け橋になりたい」と語り、ネットアニメの流通をどう変えたのかを図に示して説明した。

今までのヒットの流れ
[企業プロデューサー > マスコミ > ユーザー > ネット]

ファンワークスが考えるヒットの流れ
[ヒット < マスコミ < ユーザー < ネット < CGM]

「わらしべ長者みたいな感じで手塚プロダクションにたどり着いた。コンセプトは『生き延びたい』なので」と、会場を笑わせた。既存の流れを変えたプロデュース方法と確実にヒットを生み出すパワーに圧倒される。今後いろいろな業種の方と連携していくことで一体どんなことが実現できるのか、高山氏自身も模索中であるようだ。

森氏が「作家さんがオマージュとして作品を作っているが、一方同人誌になると引きつってしまう。その辺の線引きはどうなっているのか」と問い、清水氏はワープロからパソコンへの変遷になぞらえて、すごい勢いでネットが発展していることを述べ、もはやすべて取り締まるのは不可能と答えた。

清水氏は「思い切って『OPEN POST』という企画を立ち上げた」と報告した。登録しさえすれぱ誰でも利用できるサイトであり、11月1日オープンに向けスタッフが不眠不休で作成中だという。対象は手塚作品のみだが、アニメ作品の無料視聴を行ったり、ストーリー・キャラクター・ロゴを著作権を気にせずに使用できる環境を整える。SNSとして手塚ファンサイトという位置づけもあるという。

昔あった漫画雑誌の投稿欄のようにコラボ作品を投稿するコーナーを用意し、それを見たプロダクションが新人を発掘できるようにする。「一万の投稿の中に一つでも人材が見つかれば我々の業界にとって有用である」と言い切る。今のところ来年の3月31日までの期間限定となっているが、他の作品も入ってくれれば継続が可能であると訴えていた。

今までは著作権を守ってキャラクターを使いたいと思ってもシロウトにはハードルが高く、気軽に利用できるようなしくみは無かった。この『OPEN POST』という取り組みは、総クリエイター時代の著作権ビジネスの先駆けとして、大いに期待したいと思う。

森氏はコンシューマーがクリエイターになっている現状を踏まえた上で、コンテンツはゼロからではなく他の作品の影響を少なからず受けていること、逆に言えば、著作権こそが最低限のルールであると述べた。実は著作権の法律はかなりやわらかくできているが、むしろ使っている側が慣習などによって自分の首を絞めているのではないかと締めくくった。

シンポジウム終了後は出展ブースを見てまわった。『東京コンテンツマーケット(TCM)』とは、アニメ、ゲーム、CG、映画、キャラクターなど、さまざまなジャンルのクリエイターが一同に会する、オリジナルコンテンツの見本市である。通路の中央部にはテーブルが設けられ、クリエイターと来場者の方が作品や活動内容について話し合う場面も多々見受けられた。各ブースには『TCMアワード』の受賞作品はもちろんのこと、それ以外にも意欲的な作品がたくさん展示されており、楽しい雰囲気だった。

Perikan
登場するペンギンやおじいさんがシュールなのがいい。

Sichifukujin
静止画部門賞受賞にもかかわらず出展用に動画化。美しい。

最後に訪れたのがファンワークスのブースである。高山氏はお忙しそうだったが、終了間際にやっとお会いすることができた。思い描いていた通りとても気さくな方だ。

ライブドアのネトアニでは、先日このブログで紹介した『やわらかアトム』の続編が公開予定であるとのこと。会場ではネット上ではまだ未公開の貴重な予告編を放映していた。

Atom2yokoku

この『やわらかアトム』こそが、まさにWeb2.0時代のコラボレーションによる著作権ビジネスの成功例となることは間違いない。愛すべき『鉄腕アトム』のオマージュなのに、全く違う人格を持った一人(一台?)のアトム。その魅力の虜となってしまった。第二話が待ち遠しい。

livedoor ネットアニメ「特設ページ」
やわらかアトム

東京コンテンツマーケット2007
TCMアワード発表

eyeVio
2007 Get Firefox ビデオアワード 

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OPEN POST 

CNET Japan 2007/10/26
コンテンツ連動が変える著作権ビジネスの未来とは

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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