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JAM2007(2)アニメ夢の公式は「ラレコ×手塚治虫」=「やわらかアトム」

2007/10/11 21:36
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プロフィール

寺本由美子

本名とタイトルのペンネームが異なっているのはご愛敬(話せば長~い物語あり)。IT系の話題からゲームのレビューまで、自由気ままに発信します。iPadやiPhoneなど、大好きな電脳小物についても熱く語りたいですね。Twitterにも出没中。ブログへのコメントも、@kirifue へどうぞ。
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10月7日「Japan Animation Contents Meeting 2007(JAM2007)」で『やわらかアトム』発表記念トークショー「BEYOND THE SKY」を見てきた。『やわらかアトム』とは、かの『鉄腕アトム』とネトアニの人気者『やわらか戦車』との夢のコラボで生まれたキャラクターである。うちの家族は皆「やわらか戦車」の大ファンで、DVDも所有している。そのモフモフしたやわらかさや、戦場からすぐに退却してしまうという軟弱な精神がいい。天然系の癒しキャラである。その精神は見事に『やわらかアトム』にも受け継がれていた。

Jam2007_atombabyトークショーの開演直前、原作『鉄腕アトム』のアニメ「アトム誕生」がスクリーンに流れた。さすが、Japan Animation Contents Meeting!感動的なのは、天馬博士の愛息子飛雄(とびお)が交通事故に遭い、病室でベッドに横たわりながら「ぼくのかわりにかっこいいロボットを作ってほしいの」と父親に言い残すシーン(うぅ、泣ける)。それからの天馬博士は何かにとり憑かれたかのように新型ロボットの開発にのめり込む。それを嗅ぎつけた悪者が「オメガ因子」によって世界最強のロボットを創り出そうと陰謀を企てる..と、ここで雰囲気がガラリと変わり、軽快な音楽とともに「やわらかアトム」がスクリーン上に登場した(誕生秘話?!)。

『やわらかアトム』の発案者である動画協会事業委員会委員長・手塚プロ著作権事業局の清水義裕局長、やわらか戦車の生みの親であるラレコ氏、やわらか戦車をプロデュースするファンワークスの高山晃氏の3人によるトークライブショーの開演である。ラレコ氏のナマの声も聴けるとあって、多くの来場者がステージ前に集まった。ラレコ氏は「やわらか戦車」のぬいぐるみという仮の姿で登場、声色も変えてあったため(ちなみに「やわらかアトム」の声もラレコ氏)その正体は依然として謎のベールに包まれたままだった。ちょっと残念。

Jam2007_atom1清水義裕氏とラレコ氏

高山氏の「JAMというイベントについてご説明頂けますか」という問いに、清水氏は三つの要素を挙げた。

1.手塚先生が同人漫画を始めて60年近く経ち、団塊の世代の人たちがその一番手となって、世の中のにある漫画とかキャラクターとかアニメーションというものに違和感を持つということがあまりなくなった。

2.ブログでみんなが自分の日記などを公開し、自由に表現できるようになった。

3.コミケではたくさんの人が自分の描いた漫画を売っている。そのやり取りのエネルギーたるやすごいものがある。能力とアイデアと技術があれば、キャラクターは有名な既存のものを貸すことができる。それによってどんな新しいことが起きて、新しいビジネスにつながっていくのかを考える場となる。

これらの要素によって、JAMを推進していく土壌が育まれたのだろう。ステージ後半において、高山氏が「アニメ協会において、こういうコラボやJAMというイベントは、今後どんな意味を持つと思うか」と清水氏に問いかけ、清水氏は「一億総表現時代みたいなものになって、アニメーションという手法は誰にとっても身近な手法になっていく。そういうときに、技術とか表現能力がある優秀な方が世の中に出る第一歩として、先輩たちのキャラクターなりストーリーを借りて出て行ける。その人たちが作家とかクリエイターとして確立して頂ければ、我々の業界にとってもすごくプラスなことじゃないか」と答えていた。アニメ業界の発展を考える上で、著作権にがんじがらめになっている現状を打破するためには、こういった大局的な見地に立った柔軟な思考と大胆な行動力が必要なのだと思う。

では、JAMの象徴とも言えるコラボ作品『やわらかアトム』の発想は、一体どこから生まれたのか。

高山「サンワークスにしろ、ラレコさんにしろ、ライブドアのネトアニというサイトで始めました。雲の上の『鉄腕アトム』とコラボできるなんて夢にも思わなかったという感じなんですが、ラレコさんのことはご存知でいらっしゃいましたか」

清水「ラレコさんはごめんなさいですが『やわらか戦車』はよく知ってました。ああ、おもしろいアニメが出てきたなあと思っていたら、あれよあれよという間にいろんな商品が出てきて、大きくなりました」

高山「実際にアニメを楽しんだりブログの文章を書いている人がクリエイターサイドにまわっていくみたいな、読み手が売り手に変わっていくみたいなことが結構たくさん起きてると思うんですが、『やわらかアトム』を始めようと思われたきっかけはどんなことだったんですか」

清水「これはもう、直感みたいなものです。ただ、うちの場合はクリエイターたちと積極的にコラボレーションしていこうという姿勢なので。雑誌の世界では浦沢先生とのコラボですね、ああいうもので手塚先生の作品を料理したいという人がいれば積極的にOKしていこうと。JAMというものを作ることになりまして、経済産業省が支援してくれることになって、一番最初に高山さんの顔を見たとたんに『やわらかアトム』ってどうだろうと」 Jam2007_jane

「やわらか戦車」と「アトム」とのコラボによって、今まで地を這っていた戦車が空を飛ぶようになった。空中でも後進させてみたが「絵にならなくて格好悪かった」とのことで、シリーズ中、初めて前進するキャラクターとなったという。そう言われてみれば「やわらか戦車」は退却しかできない。それに比べて「やわらかアトム」は少しだけ前向きになった気がする。他のキャラクターたちも一見の価値アリ。「お茶のジミ博士」はともかくとしても「お茶の水ジェーン」って..

ラレコ氏が「やわらか戦車的な世界観を『やわらかアトム』で展開しても問題なかったのか」と清水氏に質問し、清水氏が「問題があるかないかは私が決めることではなくて、この会場にお集まりの皆さんが観て楽しんでくれればいいんじゃないか」と答え、会場からは大きな拍手が沸き起こった。単なる模倣に留まらない、オリジナリティ溢れる作品に出会えるのも「原作+α」のコラボならではの楽しみであろう。

発表3日前にできあがった作品を観て、高山氏は「やわらかアトムがまさか『ぱしり』をするとは。ここでボツって言われたらどうしようかと思ってた」と心配しつつも、ラレコ氏が一人で構想・製作することに、絶対的な信頼を置いているようだった。

高山氏により手塚治虫先生にも話が及んだ。

高山「手塚治虫先生の遺志を引き継がれながら運営をなさっていると思いますが、今生きていらっしゃったら、このコラボを手塚治虫先生はどんなふうにおっしゃられたと思われますか」

清水「今頃きっと発想していてですね、これに対抗するやつを絶対作るというふうに。やっぱり自分がいつもNo.1でいたいわけですから、『やわらかアトム』が人気が出たといったら、自分が今度は違うのを作る、コチコチアトムなのか鉄骨アトムなのか分からないですけど、やってるんじゃないかと思いますよ」

「ラレコが手塚先生にフラッシュ教えているかもしれないですね。『ちょっと来い。どうやって動かすんだ』と」「あり得ますね」と会場を笑わせた。手塚先生も天国でこの様子を微笑みながら見ていらっしゃるだろうか。

漫画家にとって「神様」とも呼べる存在である手塚治虫先生。手塚先生からの影響について、ラレコ氏は次のように語っていた。

ラレコ「直接的に影響を受けたのは同時代の作家さんからだったりするんですが、間接的にものすごい影響を受けたりとか、そもそも漫画っていうメディア自体が手塚先生が作った世界みたいなもので、その中で呼吸をしてきて影響を受けてきた、ものすごく大きな存在ですね。大丈夫かなというプレッシャーは大きかったです」

また、高山氏に「いちおう影響をうけつつも、ラレコワールドで今後とも作っていくぞという決意表明と取らして頂いてよろしいですか」と聞かれ「そうですね、はい」と、続投を宣言。これからも「やわらかな」話の続きを見ることができそうである。一ファンとしては素直に嬉しい。

お二人の締めの言葉より。

清水このJAMは一回で終わっちゃうと意味がないんですね。ですから来年も再来年も続けていきたいと思います。それにはラレコさんをはじめクリエイターを目指す方々、それからベンチャーの人たちですね。その技術や表現力はあるんだけど、世の中に出るために最初だけキャラクターやストーリーの力を借りたいという方々は、ふるって参加して頂ければと思います」

ラレコ「やわらか戦車が今回空を飛んで、アトムとコラボレーションをさせて頂いたので、キャラクターの枠を超えることができたっていうのがすごい楽しかったです。今までずっと地を這ってきた自分も、アトムのように弾丸を弾き返すような、力強いクリエーターに成長しなきゃなんないなあと思いました。応援して頂きたいです」

最後はナマ「退却?」で清水氏退場とあいなった(ラレコ氏はぬいぐるみなので退却できず)。今後は毎年開催されることが約束された「JAM」、憧れの作品とコラボしてみたい方、腕に覚えはあるんだけどチャンスがないという方、来年こそはチャレンジされてはいかがだろう。

Jam2007_atom2高山晃氏と退却する清水氏

『やわらかアトム』をご覧になりたい方は、以下のライブドアの「特設ページ」かYouTube「やわらか戦車チャンネル」へ(ライブドア・ネトアニの方が高画質できれい)。とんがった世の中だからこそ「やわらかなアトム」がたくさんの人に受け入れられる。そんなアトムのパフパフした感触を、どうぞ心ゆくまでお楽しみあれ。

livedoor ネットアニメ「特設ページ」
やわらかアトム
YouTube
やわらか戦車チャンネル
JAM 公式サイト
Japan Animation Contents Meeting 2007

livedoorニュース 2007/10/04
「やわらかアトム」本日公開!
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CNET Japan 2007/10/04
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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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