国産の仮想世界である[splume]のベータサービスが、3月20日より開始された。かたや[Second Life]は、正式な日本語版サービスこそ未だ提供されていないものの、企業やアーリーアダプター層に受け入れられ、着々と、実績を積んでいる。しかしながら、PCに高いスペックを要求し、インストール作業も面倒そうだとの理由から、私は体験する気がおきなかった。では、[splume]はどうだろう?
アバターで街中を移動してチャットを楽しんだり、日記を書いて公開できるところは、[Second Life]やコミュニティサービスと同じであるが..
Second Lifeとsplumeの動作環境の比較
OS
Second Life | splume | ||
---|---|---|---|
Windows | Windows XP(SP2) / 2000(SP4) | WindowsXP(SP1) / 2000(SP3) | |
Mac | Mac OS 10.3.8以降 | Mac 未対応 |
ハードウェア(Windows PCのみ比較)
Second Life | splume | |
---|---|---|
CPU | Pentium III 800MHZ 以上 | Pentium4 相当以上 |
メモリ | 256MB以上 | 512MB以上 |
ビデオカード | nVidia Geforce 2(32MB RAM)/ATI Radeon 8500(32MB RAM)以上 | VRAM32MB以上 |
OSこそ、バージョンは低くてよいものの、PCの要求スペックはかえって高くなっている。あかん。やっぱり使えない。3Dをグリグリ動かそうってんだから、致し方ないのではあるが..
気になる中身
CNETの記事を一見したところでは、よくあるオンライン・ゲームのような印象。ちょっと前まで、息子がやっていた[トゥーンタウン](有料版、お試しもあり)に似ている。しかし、公式サイトに載っているスクリーンショットには、もっと美しい夜景もある。単純に、見た目で判断してはいけない。
空間は、既存のVRMLオーサリングツールを使って、作成することができる。夏頃には専用の作成ツールも提供予定。登録して承認を得ることで、空間を接続していけるという。以前、このブログで紹介した[PlayStation Home]は自由に空間が広げられない。その点、[Second Life]や[splume]は空間の拡張という機能を備えている。ただし、Second Lifeと違って空間の登録は無料。自前のサーバーに空間を構築すればよいわけだ。スプリュームに作成を依頼することもできるが、こちらは当然有料となる。
まとめ
[Second Life]と大きく違う点は、個人や法人のWebサービスやコンテンツ同士をシームレスに繋ぐことができるところである。既存の決済システムと連携することも可能らしい。[Second Life]は空間こそ拡張できるが、システムとしては閉じた世界である。それに対し、[splume]はオープンなシステムと言えるだろう。また、ユーザー間でお金をやり取りするのも自由だという。
企業や先進的なユーザが積極的に参加することで、いかようにも変化し、成長しうる世界である。[Second Life]に対しては、やや手厳しい意見を貫いてしまったが、[splume]にはWeb3.0の可能性が垣間見える。
現時点では、誰でもが利用できるシステムではないが、そういった問題はいずれ時が解決するであろうと思えてきた(ただし、5年、10年単位で)。振り返れば、インターネット自体も開始当初は一部のユーザーにしか利用できなかった。しかし、Web1.0は廃れることなく、Web2.0へと絶え間ない成長と発展を続けている。それと同じことが、3Dのバーチャルな世界にも言えるのではないだろうか。
「オープンなSecond Life」の登場に期待という内容のコラムがIT Proに載っていた。ここで言うオープンとは、システムとしての標準化、オープンソース化を含んでいる。確かに、[splume]のようなオープンなシステムが生まれてくるような状況を考えると、[Second Life]とて安穏とはしていられないだろう。次世代のWeb3.0は、相互接続性を考慮したオープンな3D世界の規格として、生まれ変わるかもしれない。
結論。
無料でオープン。これが[splume]のウリである。
CNET Japan 2007/03/20
日本版Second Lifeとなるか?--オープンな国産仮想世界「splume」が登場
IT Pro 2007/03/14
「Second Life」の記事が急増中,ちょっと違和感あり