今日、「OMG-Certified UML Professional Fundamental」の試験を受けてきた。国際的なソフトウェア標準化コンソーシアムであるOMG(Object Management Group)が認定する、UML2.0対応の技術者認定試験である。
認定資格には次の3レベルがあり、ファンダメンタルはモデリングの最も基本的な知識を問うものとなっている(インターメディエイト試験の受験レポートはこちら)。
1.OMG認定UML技術者資格試験 ファンダメンタル
2.OMG認定UML技術者資格試験 インターメディエイト
3.OMG認定UML技術者資格試験 アドバンスト
ファンダメンタル 試験概要
UML(Unified Modeling Language)とは、オブジェクトモデルを考慮した表記法だ。昔流行った、フロー図を想像して頂きたい。実際には何種類もの図があり、もっと複雑だ。システムの構造と振る舞いを記述することが可能である。
「で、UMLって、何ができるのサ」とか、「もう、UMLなんて古いんじゃない?」とか、声が聞こえてきそうだが..
ITは過去にさまざまな技術革新をもたらしてきたが、社会のすみずみまで浸透することにより、もはや特別な技術ではなくなってしまった感がある。そうは言っても、建築業界ほどの確固とした設計基準があるわけでもなく(最近は偽装問題等、巧妙な抜け道も指摘されてはいるが)、検査基準もあいまいである。 UMLはその一助となるのだろうか?
また、一つのシステムを構築するには、発注者、設計者、プロジェクトマネージャー、プログラマなど、さまざまな立場の人間が係わってくる。オフショアの風が吹いて、海外にシステムを発注するという場面も出てくるかもしれない。その際、共通の言語のようなものがあったなら、さぞ便利であろう。それが果たしてUMLで可能なのかどうか?確信は持てない。UMLは表記法にすぎず、それをマスターしさえすれば、良い設計ができるというものではないだろう。文章が書けても、名作は生まれないのと同じ論理だ。それに、一つの方法で、すべてがまかなえるわけではない。ようは、刀の使い方次第、現場で経験を積み、開発方法論を勉強してこその知識と言える。
そもそも私が受験したきっかけは、この資格が所属部署内の技術目標になったからである。しかし、それだけでは一向にモチベーションが上がらない。この資格のメリットは何かとつらつら考えるに、グループ内の意思疎通の一手段になり得るのではという、実に単純で合理的な理由が見つかった。開発論云々はいったん棚に上げておき、現場の人間として、この資格をうまく活かしてみたいものである。
近頃、UMLがめっきり騒がれなくなったのは、世の中に普及し、定着してきた証しなのかもしれない。現状では、UML2.0はデファクト・スタンダードと言えるのではないだろうか。
レポート
試験は、パソコンを使って行われる。モニタと向かい合い、ひたすら頭をひねり、これだと思うものをクリック。いわゆる選択式問題。解答が1つのものもあれば、2つ、3つの場合もある。しかし、いくつ選択するかは問題文中に書いてあるので親切(昔受けた「NTTコミュニケーションズのインターネット検定」は、いくつ選択すればいいのか分からず、かなり苦労した)。
分からない問題や自信の無い解答には、マークをつけることができる。一通り終了した後で、問題番号一覧がマーク付きで表示される。ここから自由に問題を選び、何度でも解答をやり直せるというわけだ。
どんな問題が出たのかは、守秘義務があるため、具体的に書くことができない。まあ、基本的な問題が大部分で、ひねった問題はそう多くはないという印象だ。
結果
合格には80問中46問正解のSCOREが必要で、私は64問正解だった。
やった! 合格だ!
終わってみれば「楽勝」と言ってもいい内容。が、試験は水物、油断は禁物である。
勉強方法
「UML速習リファレンス ソフトバンク」1冊を徹底的に勉強した。問題は4回解いた。この本に載っていない事項からの出題も各所に見受けられたが、そこは勘で乗り切り、確実なところで点を稼ぐといいだろう。
登録メンバー(無料)専用の認定書籍購入サービスもある。メンバー専用ページのリンクから各ECサイトに移動して、対象書籍を購入すればいい。私は、「SBCr Shop(ソフトバンク)」で、 「UML速習リファレンス」+「OCUP試験バウチャーチケット」セットを 5%オフで購入した。もし、お金に余裕があるなら(会社の負担とか)、 認定トレーニングを受ければなおよし。
UMLモデリングを実践したことがない私でも何とか合格できたが、仕事で使ったことがないなら、実際に図を描いてみるのが一番かもしれない。OMG推薦の「パターンウィーバー」というUMLモデリングツールもある。その他にも、「EclipseUMLプラグイン」「Jude」「ArgoUML」「Elapiz」など、有償/無償のさまざまなUMLモデリングツールが存在する。ただし、バージョン2.0には対応していないツールもあるので、使用する場合は、よく確認してほしい。もちろん、仕上げとして、テキストによる学習もお忘れなく。また、公式サイトのトレーニング情報ページにある「はじめるUML」「続はじめるUML」は参考になる。
受験申し込み手順
1.OCUP試験バウチャーチケット(受験チケット)を購入する 有効期限があるので、注意すること。どこで購入しても同じなので、個人負担なら安い方がお得。Webショップを探してみるといい。前述したように、登録メンバー用の購入サービスを利用するという手もある。
2.試験を予約する チケット番号が必要となるので、受験チケットを手元に用意しておく。下記のサイトで、会場の空きを調べ、試験の日時を予約する。会場は、日本各地にある。