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Apple成功の本質 -日本企業はなぜ簡単に追い抜かれたのか-

2011/10/01 09:30
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木村英寛

Appleにまつわる様々な情報発信ブログとしてスタートしましたが、ジョブズが亡くなり意気消沈。しかしそうも言ってられない最近はApple以外の話題も書いています。
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Appleの製品が次々ヒットしていった理由を考える時に「シンプルな操作性」や「デザイン」など表面的な部分にスポットライトを当てるのはナンセンスだと思う。ジョブズの成功が語られる際、よく「消費者視点での製品開発」が挙げられるが、日本の製品群は消費者視点で開発されていなかったのだろうか。高度経済成長から90年代にかけて日本製品は「高機能で信頼性が高い」という評判を徐々に培った。事実、自分が渡米した2002年、アメリカではハイエンドの携帯電話としてSANYO製のカラー液晶・カメラ付き携帯が売られていた。しかし、日本企業の最大の失敗はこの「高機能で信頼性が高い」という評判を信じた事にある。言葉の表面的な面に皆が騙され、本当はどうして日本製品が売れているのかわかっていなかったのだ。ここにこそ、ジョブズと他の経営者の差がある。アップル製品は決してデザインがいいから売れているのではない。iTunesなどのインフラがあるからでもない。それらの理由は表面的なもので、本当は「市場において差別化されているから」売れているのである。


ジョブズが着目したのはユーザーを「わくわくさせる」という事だった。実際彼自身も一ユーザーとしてわくわくするような製品を渇望していたのかもしれない。これが製品をヒットさせる本質である。高度経済成長時代、日本人は次々と実現される新しい技術にわくわくしなかっただろうか?手洗いから洗濯機、テレビの登場、自動車と、変わっていく生活に皆投資したのである。能動的な投資だ。今の日本はどうだろうか。日本製品は新しい提案やライフスタイルを提供できているだろうか。


量販店に行ってみて欲しい。毎年行われる製品のモデルチェンジや、新しいデザイン、エコ戦略などは一部の人において有効である。しかしどうだろう。もう少し俯瞰的な視点で見ると、どれも同じように見えないだろうか。どれも高機能、信頼性が高いのは当たり前、ちょっとした機能だけが違う。つまり、差別化されていない。こうした現状を皆当たり前だと思い、感覚が麻痺してしまっている。つまり高機能が当たり前になった現代において、もはやそれは差別化のファクターとはなり得ないのに、まるで伝家の宝刀かのようにどの企業も迷わずそれを全面に押し出しているのがおかしいのだ。そしてこれをおかしいと思えない現状が異常事態である。 90年代後半から2000年にかけて、 どの企業も成長してきたライバル企業の製品しか目に入らなかった。資本はありながらも「他社製品」との差別化、というまるで見当違いの方向に投資してしまった。これが現状に至る敗因である。


アップルが成しえたような世界規模の能動的な購買を誘発するには、エンドユーザー視点の差別化が必要だ。先に挙げたSANYOの携帯電話を例にとって考えてみたい。日本企業の目線は主に自社製品に向いていた。自社製品は「技術力が高い」から売れるだろうと。しかし、ユーザーの目線はどうだっただろうか。携帯ショップへ行く、そこにはモノクロ画面のごつい携帯が並べられていて、奥の方にいかにもうやうやしく日本製の携帯が置かれている。「Coolだ」と誰もが思っただろう。これが日本製品がもてはやされていた本当の理由だ。


ジョブズの快進撃は先に述べた「差別化」とそれをいかに「実用的な状態」で世に送り出すかという事で実現された。多くの企業はユーザー視点での差別化すら目線になかったが、SONYのように差別化が出来ていたのに失敗した例はこの実用的かどうか、という部分が抜けおちていたからである。


中国市場が好調な昨今、何かと中国へ進出することが良いとされているように感じるが、不況化から短期的視点でこうした判断がされているのならば問題なのではないか。すでに日本は宝の持ち腐れ状態である。モノはあるのに活用できないでいる。今こそ過去の失敗へ目を向け、大企業が率先して変わっていくような社会になるのを待つか、新興企業が小さな組織で日本を変えていくのか。自分は後者を目指したい。



木村英寛

Rosetta代表。静岡県浜松市在住。

幼少時代から音楽を学び、2002年春から米国マサチューセッツ州にあるBerklee College of Musicへ進学。Filmscoring Majorにて映画音楽の作編曲を専攻した後、2003年冬に学位を修得し帰国。在米中には映像と音楽を使った作品発表を行う。'02ビジュアル&ミュージックコンペティション グランプリ受賞。高崎国際芸術コンクール電子オルガン部門第1位。

2008年にRosettaを設立し、本格的にフリーランスの活動を開始。

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