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WWDCとLightBike 2とiPhone 4

2010/07/01 14:35
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色々とイベントが重なって忙しかった6月も終わろうとしています。

7日から開催されたWWDC 2010、その同じ週にリリースされて米国AppStore総合ランキングで一気にトップ10入りしたLightBike 2、次の週からサンフランシスコの自宅にてタコ部屋状態で行われたパンカク合宿、そしてiPhone 4の発売。

WWDC 2010に参加

日本からしんのすけと高校生プログラマのさとうくんがやってきて、キーノートをみるため早めに行ったつもりが、朝7時過ぎにはもう数千人の行列ができてて焦ったわけですが、なんとかメイン会場に入ることができ、個人的には約12年ぶりとなる生ジョブズを拝むことができました。

今回は、キーノートの発表中には完全にMacの存在をスルーしてて、アップルがiOSへのシフトに全力を傾けている意気込みが伝わってきました。

WWDCには守秘義務があるので、キーノート以外の内容についてあまり詳しいことはおおっぴらに書けない(ことになっている)のですが、例年通り、ぼくが過去に参加したことのある技術系カンファレンスの中でもずば抜けてクオリティが高く、内容的にも濃いものでした。発表者のプレゼンテーションスキルも極めて高く、まるでセッションそれ自体がひとつの「作品」であるかのようです。今回は全セッションの動画が無料で公開されたので、iOSデベロッパ必見です。かける時間あたりの学習効率という点では、これらのセッションにまさる教材はないでしょう。

アップルの製品は、それ自体の作り込みも素晴らしいのですが、そこだけをみて良いの悪いのいうのは、アップルの凄さの半分しか見ていないことになります。残りの半分は、2008年からの2年足らずで25万近くものアプリを誕生させてきた、SDKとそれをとりまくデベロッパーコミュニティーの生態系にあります。iOSのSDKを使ってそれなりのアプリを作ってみたことがある人で、「こいつはハンパねぇ」という畏怖を感じないひとを、ぼくは知りません。完全なUNIXベースOSの上に作られたリッチなUIフレームワーク、超高機能ながら無料で提供される開発環境、これらのすべてが新ハードとともにものすごいスピードで進化を続けているのです。

だいたい、アップルが公式に行っている年間行事は、この「トーシロさんお断り」のWWDCという開発者向けイベントしかない、という事実が、そのことを裏付けているといえませんか?やはり、アップルは普通の家電メーカーと比較できるような存在ではないのです。

iOS 4の目玉としては、とうとうSnow Leopardから導入されたGrand Central Dispatchがポーティングされ、C言語レベルでブロック(クロージャ)をサポートするための構文拡張が入ったことです。これまでの定番デザインパターンだった非同期処理をデレゲートに任せる仕組みから、コールバック用の関数ブロックを環境ごと直接渡せるようになることで、コードの近接度が高まり可読性も高まる上に(まるでRubyで書いているような快適さ)、そう遠くない未来にiPhone/iPadがマルチコアになれば勝手にOSが複数のコアへ処理を振り分けてくれるようになるという算段です。

あとはWWDC BashにOK GOが来たよ、とかもあるのですが、基本的にはセッションで学んだことだけでおなかいっぱい、な一週間でした。

LightBike 2のリリース、米国の総合ランキングで6位に!

そんなWWDCも終盤に近づいた木曜日、パンカクとして乾坤一擲の大勝負となる新iPhoneアプリ「LightBike 2」をリリースしました。最大4名までのオンライン対戦をサポートしているのが熱いので、ぜひ遊んでみてください。無料です!


前作「LightBike」では有料アプリのランキングで全米1位に輝いたこともあり、しかも今回は最も競争の激しい無料アプリのカテゴリーでの勝負となるため、かなりプレッシャーがあったのですが、リリースした直後から米国AppStoreの無料アプリの総合ランキングでトップ100に姿を現し、その後はぐんぐんランキングを上げていき、Google、Facebook、Skype、Pandoraなどの超有名定番アプリを抜いて、とうとう6位までいきました。

そして、このLightBike 2のリリースと同時に、パンカクの戦略サービスとなるソーシャルゲーム・プラットフォームの「Pankia」も晴れて本格稼働することになったのですが、そうすると当然ながら、サーバは大変なことになってしまいます。米国のAppStoreというのは恐ろしいところで、無料アプリの総合ランキングで上位になると1日あたりのダウンロード数は10万を軽く超え、それだけの数のユーザが一気に殺到します。おかげさまで、その週末とそれに続く合宿は、ほとんどサーバの増強やチューニングに追われることになってしまいました。リリースの翌日にはもう一日あたりのAPIヒット件数が800万(月間ページビュー換算で2憶とか)をこえ、データベースのQPS値(一秒あたりのクエリー処理件数)がピーク時で5000に達するという断崖絶壁級の成長カーブです。こんなことはさすがに初めての経験だったので、このときに起きたことや、とった対策などの技術的な詳細は、いつか機会があれば詳しく書いてみたいと思っています。

それと、この直前の5月末にはヒットアニメ「サマーウォーズ」の花札をテーマにしたiPhoneアプリがリリースされており、正確にはこちらがPankiaのデビューということになるのですが、こちらも日本のAppStoreで有料ゲームのカテゴリで1位を獲得しました。当アニメのファンの皆さんはもちろん(ぼくも日本出張のときに映画館で観てました)、純粋に良質な花札ゲームとしても楽しんでいただけると思いますので、ぜひダウンロードしてみてください。

iPhone 4を入手

そして、毎年この季節の恒例となったiPhone新製品の登場。今年はiPhone 4が発売になりました。

初代からずっと同じスクリーン解像度をキープすることで、アプリ開発者に多大なスケールメリットをもたらしてきたiPhoneですが、今回いよいよピクセル数を4倍にして300dpi以上というプリンター級の解像度を達成したRetina Displayを搭載し、「もう人間の目にはこれ以上の解像度は必要ない=これが最初で最後の変更だ」という強烈なメッセージを発しつつ、それでも最大限に既存アプリとの互換性を維持するために、きっちり縦横に2倍の伸長というオートスケーリングによる劣化が問題にならない選択をしてきました。このあたりの意思決定は、先の話にもありましたけど、きちんと開発者のことを考えているという意味で素晴らしいセンスです。

持ち方次第でアンテナの受信感度が低下するなど、珍しく初歩的なチョンボをやっている点にはやや不安もありますが、大幅に向上した性能・バッテリーの容量増・カメラ画質の向上など、全体としてみれば最強のモバイルデバイスという王座を一歩も譲らない堅実な進化を遂げているといえるでしょう。あくまで主役は無限のアイデアを表現できるアプリ(およびウェブ)なのであって、ハードウェアでは奇をてらったことをせず、「ソフトウェアにできることの可能性を広げるため」にあらゆる入出力装置やセンサーを搭載しつつ基本的な部分を強化させることに注力する、という明確な意思が伝わってきます。標準状態ではどのアプリにも使われてないジャイロスコープが搭載されたことなどは、そういったメンタリティーの象徴でしょう。

普通、ここまで大きく成功すると調子にのって変なことをやってコケるというのがお約束だとおもうのですが、このようなコンサバティブな方針ではコケようにもコケられないというものです。個人的には、もうちょっと好敵手としてのAndroidにも頑張って欲しいと思っているのですが、やはり今年もiPhoneの天下は続きそうです。

おまけ

そして、今日でパンカクで働くようになってからちょうど一年が経ちました。

当初は、ぼくだけがサンフランシスコにいて他のみんなは湘南にいるというリモート勤務体制に不安もあったのですが、実際には大きな問題に直面することもなく、うまくやってこれています。もちろん直接のコミュニケーションを取りにくいことでストレスを感じる場面もあるのですが、物理的・時差的に離れていることで開発に集中できるという面もあって、加えて英語圏で暮らす異文化人がいることのメリットを活かせばトータルではプラスにできる、という感触も得られました。

なにより、チームのみんなが非常に優秀かつ意識が高いので、学べることが多く、一緒に仕事をしていて楽しい!LightBikeとかPankiaとか見てもらえばわかるとおもうのですが、ディティールの作り込みとか、完成度に対する妥協のない姿勢が非常にいい循環を生み出していて、常に自分の限界をためすようなムードが醸成されています。そういった環境の中で自分も成長を実感できるというのは、日常生活に大きな充足感をもたらしてくれます。しいて言えば、趣味と仕事の境界がないのでオンとオフの切り替えが難しいのが難点ですが、それは贅沢な悩みというものでしょう。

そんな感じで、ずいぶん時間がかかりましたが、ようやく大仕事をロールアウトできてホッと一息ついているところです。

とはいえ、これからPankiaをゲームデベロッパーの皆さんに広く使っていただけるよう整備していく段階に入るので、今後さらに忙しくなりそうです。

それでは、また。

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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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