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iPhone 3G Sをゲットしましたよ

2009/06/22 17:37
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もはや毎年の恒例行事となった感のある、iPhone新発売とアップルストア・パロアルト店での参列ですが、今年も行ってまいりました。4年前に渡米した身分ではAT&Tの長期契約優待が足りないため、満額の割引を受けられずに16GBの白で$399の支払いとなりましたが。。。

並んでいる間、TさんにAndroidの新端末HTC Magicの実物を触らせていただいたりもしました。結構、雰囲気はかわいい感じに仕上がっています。これなら「アリ」かも。

模倣する元ネタがあるからとはいえ、これだけの短期間でだいぶ良くなってて、頑張ってるなーとの感想を持ちました。いつも、Androidの現状っていうのはWindows 1.0がようやく2.0になったぐらいのもんだから、Windows 3.1とかWindows 95が出て逆転するまでにはあと5年とか10年とかかかるよ、なんて言ってたのですが、この感じだとそんなに先でもないかも知れません。

ただ、やはり実際に使っていると動作がカクカクしてしまう部分も多く、「いかにもコンピュータを使ってる」感があります。ユーザ体験の洗練度という点ではまだしばらくiPhoneのリードが続きそう。

まぁ、Appleが独走しすぎるとまた90年代のように傲慢さに歯止めがかからなくなって自滅してしまう可能性があるので、このぐらい適度な競争相手がいてくれるのはiPhoneユーザとしてもありがたいことです。

さて、肝心のiPhone 3G Sの使用感ですが、一言でいうと宣伝文句の通り「速い」です。たとえばSafariで画像だらけのページを表示したり、GmailのようにJavaScriptが多用されているサイトを使ってみると、その差は歴然です。Google Mapsなどのアプリも瞬時に起動するし、全体的に何をやってもキビキビと反応してくれるのでとても気持ちいいです。

細かいところではコンパスとか色々と新しいおもちゃがついているのですが、個人的に一番「おっ?」と思ったのは、タッチパネルの耐油性が劇的に向上したため、指紋がほとんどつかなくなったことです。このおかげで、iPhoneのディスプレイ表示が圧倒的にクリスプになり、画質が向上したように見えます。

現代におけるiPhoneという携帯プラットフォームの新しさは「ネットに常時接続された」「さまざまな入出力センサーがついた」「美しい大画面」「これらハードのポテンシャルを最大限に引き出すiPhone OSという超リッチなソフトウェアスタック」というコンボだと思っているので、この中でもキーとなる「美しい大画面」の側面が、解像度を上げるなどの安易でいたずらにデベロッパーに負荷をかける方法ではなく、アプリケーションからみて透過的な手段で改善されたというのは、とてもアップルらしいと感じます。

もちろん、カメラのアップグレードにも、画素数の向上などの単純なハードスペックでは計れない細やかなアイデアが込められています。タッチパネルという入力デバイスの特長を生かし、フォーカスしたい場所をタップするとフォーカスや露出が調整されたり、常時接続されている特長を生かし、撮った動画がそのまま最短のステップでサクッとYouTubeにアップできたりします。「寄れる」マクロのおかげで、いよいよClarifiもお役ご免となりました。

撮った動画をすぐYouTubeにアップできるデジカメ、みたいなのは今までも各種メーカーから色々と頑張って作られてきていましたが、携帯電話網をそのまま使えるiPhoneの利便性にはどうしたってかないません。もう、この分野はスマートフォンに持って行かれるということで決着がついたと言えるでしょう。

そして、割とスルーされがちだけれども、個人的に感慨深いのはVoice Controlです。

これは、ホームボタンを長押ししてVoiceOverモードに入ったあと、「Help」や「Call Kenn Ejima」「Play song like this」のように話しかけると、操作説明をしてくれたり電話をかけたりiPodのプレイリストを再生してくれたりするというもので、iPod Shuffleでも少し前に搭載された野心的な機能です。

これの何が感慨深いのかというと、個人的にユーザインターフェースとして視覚ではなく音を利用する可能性について考えることが多く、Voice Controlには非常に大きな可能性を感じるからです。

現在の電子デバイスを使った情報伝達の手段としては、圧倒的に視覚が優位になっていて、聴覚については、まったく使われてないか、間違った使われ方をしていることがほとんどです。

いちばんよく使われていて、かつちゃんと実用的に使われている音の利用例というのは、ブザーやベルのような単純で短い音を必要最低限の頻度で鳴らし、アラートやシグナルとして使うというものです。これはこれで現実社会で重要な役割を果たしてはいるのですが、「視覚的な手段でいえば色違いのフラッシュライトしか使えないのと同じような状態だ」というのはドン・ノーマンらが指摘するところです。

あるユーザへのフィードバックが視覚的に表現できない場合、それについての情報は音が与えるようにしなければいけません。たとえば、電話をかけるときに受話器を持ち上げるとブーという音が鳴り、電話番号をプッシュしてcallボタンを押すとピポパという再生音が鳴り、トゥルルルという呼び出し音が鳴るのは一つの良い例です。もし、これらの音がなければ、ユーザは本当に電話がちゃんと動いているのかまったくわからず、すぐに不安になるでしょう。

自然界にある音というのは、物質が相互に作用するときに生み出されるものです。筒を叩いてみてカンカンと鳴れば空洞で、こもった音がすれば詰まっているとわかります。音から、ざらざらしたり、つるつるしたり、硬かったり、柔らかかったり、砕けたり、破れたりといった現象をイメージすることができます。こうして自然界あるいは文明のなかで積み上げてきた音に対する予期をうまく使えば、聴覚からの入力をうまく物理的な像へと結ぶことができるでしょう。

しかし、実際には音は情報を与える役に立つ手段というよりも、邪魔な存在になりがちです。音の長所のひとつは他のものに視覚的な注意が向いていても、並行して情報を伝えることができるというものですが、これは同時に欠点でもあり、音は届くべきでない周囲の人にも届いてしまいます。周囲の人たちにとって、それはノイズに他ならず、ユーザ自身にとってはプライバシーの漏洩に他ならないのです。したがって、あるユーザへの個人的な情報のフィードバックとして音が使える場面というのは非常に限られてくるでしょう。

こうした事情もあり、オフィスなど人が密集する場所で利用されることも多いウェブサイトのデザインでは、訪問者が望みもしないのに音を鳴らすのは御法度、となっています。

しかし、情報のフィードバックとして音が役立つことの裏返しとして、音がないことがフィードバックの欠如として問題を引き起こすこともあります。

先のドン・ノーマンの古典的名著である「誰のためのデザイン?」では、できる限り騒音レベルを下げるように設計されたゲストハウスで、換気扇の音が聞こえないためにスイッチを動かしても換気扇が回っているのかどうかわからず、浴室が湿ってベトベトになってしまった逸話が出てきます。最近の例では、電気自動車が静かすぎると歩行者が気付かず危ないので、スピーカーと音源をつけてエンジンのような音を鳴らそうという話もあります。

このように、情報としての音の応用というのは暗中模索のところが多く、まだまだプリミティブな段階にあるのです。

そんな興味もあってのVoice Controlなのですが、さすがにアップルは長年の蓄積があるだけあって、VoiceOverモードに入るときにはホームボタンという触覚だけで探り当てることができるボタンを使い、またモードに入ったことを音と振動で伝えてきて、コマンドへの応答は合成音声で返してきたり、モードを抜けるときには少しトーンの低い別の音を鳴らしたりと、とにかくiPhoneに一切目をやらなくても入口から出口まで一連の操作が完結できるという基本はしっかりおさえてあります。

まだまだ実験的な機能ではありますが、現時点でも車に乗っているときにわき見をせずに電話をかけることができるのは便利ですし、将来的にはしゃべった音声を文字に起こしてメールを送るとかTwitterにポストするとか、そういう応用も可能になるでしょう。

いつでもどこでも持ち歩くデバイスだからこそ、全方位的に五感をフルに使ったユーザインターフェースの可能性を追求することにはこれまで以上の価値があると思います。

ちょっと細かいディティールに入りすぎた気もしますが、iPhoneというのは良いデザイナーを志す人間にとって本当に学ぶところの多いデバイスです。ユーザが普段絶対に意識しないレベルまで考え抜かれて作り込まれているので、ある意味アートのような楽しみ方をすることができる希有なガジェットではないかと思っています。

iPhone 3G S、オススメです。日本での発売日となる6月26日、楽しみですね。

Ken Okada / Soul Alive

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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