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MacWorld Expo 2008の真打ちはApple TVだった

2008/01/17 15:49
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MacWorldの会場から車で20分のところに住んでいるのに、いつもジョブズのスピーチは日本在住の皆様と同じくオンラインで追っているkennです。遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

おかげさまで、Lingr上の観戦ルームには各言語で合わせて約1000名以上の同時接続がありました。スペイン語の部屋だけで700名を超えるという謎の状況でしたが。。。

さて、いよいよ発表になりましたね、超薄型のMacBook Air

これ、「マックには軽いノートがないからスイッチできないんだよね」とおっしゃってた東京在住電車通勤な皆さんも、これでとうとう買わない言い訳ができなくなってしまったんじゃないでしょうか。

それにしてもこの薄さ。昔使ってたMuramasaを思い出しました。

さて、今回の発表で個人的に大きいと思ったのは、話題になったMacBook Airではなく、一見地味なiTunes Movie RentalsとApple TVです。

最初に結論から言ってしまうと、Apple TVはかなりイケてます。これはデジタルコンテンツ視聴の未来を感じさせるデバイスだと思います。今回はそういう話をしたいと思います。

そういう感想を持つにいたるまでの、最近ぼくの身の回りで起きた変化を少しご紹介します。

先立つこと3ヶ月ほど前、我が家ではハイデフのTVを購入しました。Vizioというブランドで、たぶん日本の人はまず知らないと思いますが、いまソニーやサムスンを押さえて液晶テレビでは全米1位のシェアをもつ新興企業です。Costcoなどの大手チャネルと戦略的に提携し、同じグレードの他のメーカーのものと並べて陳列し、遜色ない品質とデザインで劇的に安いというアピールで成功しているようです。

実際、42インチのFull HDが1100ドルちょっとで買えました。隣にあった日本メーカーのテレビと比べて3割から4割ぐらい安かったです。

それで、ぼくは放送されてるテレビ番組はほとんど見ないので(奥さんは見ますが)、これを単にDVD / Apple TV / Wiiの出力用ディスプレイとして使っているわけです。つまり、HDTVですがハイデフなソースはほとんどありません。42インチぐらいならSD画質でも全然困らないですね。

そんなテレビですが、最初は、DVD再生用でした。なんといってもアメリカはDVDが安くて気軽に買えます。特にアニメやシリーズものはお得です。

たとえば攻殻機動隊SACなんかはボックスセットを日本で買うと40,000円ぐらいしますが、同じものの米国版であるGhost in the Shell SACは$75です。雲のむこう、約束の場所ロードス島戦記のようなマニアックなものも入手できます。しかも、米国版は日本版の上位バージョン(日本語プラス英語)なのです。そもそもボックスセットが出るのも日本はたいてい遅いですし、アニメはおおむね北米リージョンで購入するのが良いとわかってきました。24やLOSTなどのテレビシリーズもワンシーズン$30ぐらいから買えます。

そう気がついてから徐々にDVDを購入するという習慣が身につき、古い映画のDVDなんかは$5ぐらいで投げ売りされていたりするので、そういう掘り出し物を見つけては買うようになりました。

なぜレンタルじゃなく購入に走ったかというと、普段テレビを見ないので録画機のTiVoは買う動機がなかったし、Netflixなどの定額制レンタルは観たいときに観たいものを選べず毎月の消費ペースを高く維持しなければ損だという脅迫観念がイヤで、ケーブル局のオンデマンドは専用のSTBがダサくてかさばるので却下、そして日本で慣れ親しんでいた店頭レンタルはセレクションが少ない上に$4-5と高価で買うのと変わらない上に返却が面倒という、どれもイマイチしっくりこない感じだったのでした。

こうして消去法的に落ち着いたDVDの購入をちまちまと続け、ストックが溜まってくると、今度は物理的なメディアが場所を取るのが邪魔に思えてきます。

そこで、メディアレスでHDDにある様々なデータを直接テレビ上で再生できる、自由度の高いボックスとして浮上したのがApple TVでした。

Apple TVは母艦のiTunesにあるデータを転送してコンテンツを再生してくれます。LAN上でiTunesからストリーミング再生もできるし、iTunesライブラリが160GB未満なら全データをApple TV上に自動で同期させておくことで、母艦なしでも再生できます。

しかも、意外と知られていないのですが、けっこう良質なHDソースの無料コンテンツがPodcast上に大量にあるのです。ダイビングとか、ヨガとか、カーレースとか、Podcastをブラウズしているだけでもセレクションに無限の広がりが出てきます。

また、YouTubeは自分のアカウントでサインインできるので、ウェブ中に面白い動画を見つけたら「お気に入り」に登録しておけば、リビングルームで家族にその動画を見せられるようになります。

そして極めつけのキラーアプリは、写真です。近ごろデジタル一眼レフを購入したりした関係で写真の撮影量がすごく増えているのですが、月に500枚も撮影するようになると、マック上のiPhotoなどのソフトで閲覧することさえもはや苦痛です。「こんなに撮影しても、見ないなら意味ないよなぁ」と、ちょうど思い始めていた頃でした。

ところがApple TVでは、「直近12ヶ月以内に撮影した写真を、ロック系の音楽をBGMにしてランダムに再生」という風に、iPhotoのスマートアルバムとiTunesのスマートプレイリストの機能を組み合わせて自由自在なルールで再生方法を指定することができます。写真データはiPhotoライブラリと自動的に同期してくれるので、何一つ特別な操作はいりません。デジカメからiPhotoに写真を取り込むだけでiTunes経由で無線で同期してくれて、しばらくするとテレビ上で写真の「ながら視聴」ができるようになるのです。それを眺めていたら、「えぇーこんな写真も撮ってたんだ」という嬉しい驚きもあります。さらに、スクリーンセーバーにある複数の写真が同時に画面上にふわっと浮かび上がってくるエフェクトは圧巻です。

こういう写真の楽しみ方があるんだ、ということは、個人的には革命的な発見でした。ライブラリ丸ごと持ってきてシャッフル再生というのは、まさにiPodが音楽にもたらしたのと同じ種類の革命です。デジカメのSDカードを挿せるテレビとか、そういうのは昔からありましたが、それってSDカードのMP3プレイヤーみたいなもので、全然ピンとこなかったのです。でも、Apple TVはそういうものとは何かが根本的に違っていました。そうか、写真はもっと自由にどんどん撮っていけばいいんだ、と、写真を撮るということに対するアティテュードまで変わってしまったように思います。

まぁそんな感じで、世間ではマイナーなApple TVですが、これがリビングルームにおけるデジタルコンテンツの楽しみ方の未来像だと確信して以来、その面白さを周囲の人に布教しています。

さて、いろいろと寄り道しましたが、ようするに、写真や音楽や動画などのデジタルデータをパソコンで一元管理している人にとっては、それをリビングルームにあるテレビで動的に再生する最強の道具がApple TVだということが言いたかったのです。自由度ではMac miniをDVI-HDMI接続するのにやや劣りますが、家電としての操作性や全自動での同期などトータルで考えるとApple TVに分があると思います。

ここで本題の動画に話が戻るのですが、Apple TV以降、DVDのメディアはもはや邪魔な存在でしかなくなってしまったので、これらをHandBrakeでリッピングしてH.264にエンコードしてHDDに落とすという新たな習慣が身につきました。

500GBのHDDがあれば映画が300-400本ぐらい入りますから、物理的な空間の圧縮率は絶大ですし、いちいちメディアを入れ替えるという手間もなくなります。

この「DVDメディアは邪魔」という感覚は、iTunes以降、CDに対して経験したことでした。CDは一度リッピングしたらもう二度と棚から出ることがない。

今回のMacWorld 2008は、そんなことをつらつらと考えていた時期にちょうど開催され、そこではとうとうiTunes Storeで映画のレンタルが開始されるとの発表があったのです。

これは今のぼくのニーズにほぼ完璧にフィットするサービスでした。

今まで、iTunes Storeでは映画は一本10ドルで販売されていて、惜しいなと思っていました。いったんDVDメディアが邪魔という思考回路になってしまうと、DVDからリッピングしてデータに落とす時間すら惜しくなります。その点、iTunes Storeは最初からデータをダウンロードするだけなので、楽チンで、良さそうに思えました。でも、DVDよりも高価というのは割高に感じました。

これが、iTunesのレンタルなら一本3ドルになるのです。しかも、Apple TV上でセレクションをブラウズして、即座に購入・即座に再生開始できるのです。iTunesに一旦ダウンロードしてからApple TVへ転送という手順すらバイパスし、極限まで「即座に」を追求した結果です。素晴らしい。

これだけでも完璧なのですが、このアプローチはもうひとつの問題をも解決しました。

さきほど「500GBのHDDがあれば映画が300-400本ぐらい入る」といいましたが、とはいえ、160GBを超えるデータはApple TVには入りきらないし、その160GBすら音楽や写真で埋め尽くされているのでほとんど動画用に残されていません。何より、自分の所有物だからという理由だけで二度と見ないかも知れない大量の動画データを死蔵させ、バックアップを取ったりするのも高くつくし手間もかかるしバカらしい。

ところが、iTunesのレンタルは、視聴が終わったらデータファイルが消えます。消えてくれます、といった方がいいかも知れません。これが自分の所有データだったら踏ん切りがつかずにダラダラと保管し続けてしまうと思うのですが、不思議と、レンタルだと思えばサッパリいさぎよく消えてくれるほうが嬉しいよな、と感じたのです。もしまた見たくなったら、もう一回払って見ても計6ドルだし、平均で二回は見ないであろうDVDを6ドルで買うのに比べてもまだ得だよな、と割り切れるぐらいの感覚です。

しかもリアルなレンタル店と違ってオンラインには在庫制限がないので、いわゆるロングテール型の品揃えが可能になり、自分の好きな作品がいつか棚から消えてしまうかもという心配がいりません。

せっせとDVDを買ってリッピングしていた先日までは、「1TBの外付けHDDを追加購入しなきゃなぁ」「それをバックアップするのも大変だなぁ」などとあれこれ悩んでいたのですが、「そうか、ネットの向こう側に、HDDを購入する何%かの値段でいつでも欲しいときに引き出せるライブラリがあると思えばいいのか」という風に考え方がガラリと変わったのでした。

そうすることで、データを所有することに伴う手間とコストがなくなるのです。

自分のハードディスクに保管するデータは、自分で撮影したかけがえのない写真や動画、繰り返し再生する音楽、それから一部の入手困難な動画コンテンツだけでいい。

さらに新しいApple TVではFlickrまでサポートされているので、iPhotoが使えないWindowsユーザやFlickrが写真のマスターリポジトリになっている人には、写真データもネットの向こう側に置けるようになり、さらに楽しく使いやすいものになるでしょう。また家族や友人のフォトストリームがテレビで見られるのも魅力的です。

このような、新製品と呼ぶに値するぐらいてんこもりなファームウェア・アップデートを既存ユーザへ無料で配布することに決めたアップルには拍手を贈りたいと思います。もうすぐ配布開始されるアップデートが楽しみです。

さて、今回のような考えを推し進めていくと、ひとつ大きな疑問が浮かびます。

世間ではBlu-RayだのHD DVDだのが騒がれていますが、もはやコンテンツの配布手段としての物理メディアそのものが終焉を迎えつつあって、実はリビングルームでもネットとHDDが勝者になるんじゃないの?ということです。

ハイデフなテレビを購入した方、なかでも写真好きな方、ぜひApple TVをお試しください。ほんとに素晴らしい未来が開けてきたなぁ、と実感すること請け合いです。

あとは個人的な要望としては、iTunesの動画コンテンツにClosed Caption(字幕)をつけて欲しいですね。現状のぼくの英語力ではまだモノによっては英語の字幕なしでは単語を聞き漏らすことがあります。DVDなら英語の字幕がついてきますから、iTunes / Apple TVでも同じように表示・非表示を切り替えられるようになると、ほんとに完璧なのですが。

いよいよ良い時代になってきました。

Santana Featuring Chad Kroeger / Into The Night

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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