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さまざまな気付き

2005/08/04 10:09
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先ほどエントリしたように、今日で渡米から約3週間が経ちました。

これまで、それはそれは本当に様々な発見がありました。

■「耳」と「声」をよく使う社会である

日本、それも東京にいた頃との生活の違いで感じることが多いのは、「耳」と「声」をよく使う社会だということです。

ここシリコンバレーは完全に車社会で、車がないとろくに外出ができません。必然的に、車の中で過ごす時間が多くなります。これは、電車の中で過ごす時間が多い東京と対照的です。

日本も米国も携帯電話が社会に与えたインパクトが大きいのは同じですが、その進化の方向は日本が「目」、米国が「耳」へと異なる方向へ進んでいるように見受けられます。

日本では「目」で読む携帯メールが猛威をふるっていますが、車を運転しているときには「目」を逸らすことができません。

車を運転しているときに空いているデバイスは「耳」と「声」です。おそらくこのためか、こちらでは電話でもプッシュボタンを押させる方式ではなく、音声認識で応答するコールシステムの使用頻度がとても高いです。あるいは、本来の電話としての使い方が多くなります。

具体的な数字を挙げると、渡米してから現在までの3週間で、携帯電話の使用時間はのべ230分(!)にもなります。知り合いと話したり、サービスの申し込みをしたり、購入した家具の配送のアポを調整したり、それぞれで担当者につながるまでたらい回しにされて待たされたり、またスパムメールならぬスパムコール(電話をかけてきて録音データで宣伝文句を早口でまくしたてる、かなり迷惑なPR手法)があったりと、あまり電話を使わなくなっていた日本での日々を思い返すと、ちょっと考えられないぐらいの違いです。

携帯電話を購入したときもカーチャージャーがデフォルトで付属してましたが、これも日々の生活の中で携帯を充電しようと思いつくタイミングが車の中である可能性が高いことを暗示しています。

ところが、再生時間という制約を受ける「耳」よりも「目」の方が基本的な情報処理能力は高いので、「目」が使える市場では「耳」向けのサービスは苦戦するという仮説も成り立ちます。

そんなわけで、例えばポッドキャストは米国では流行るけど、携帯の画面でもっと短時間に大量の情報がこなせる日本では流行らないのではないか、というようなことを考えてみたり。

やっぱり市場と人々の生活習慣は不可分だな、ということを再認識したのでした。

■「デカい」のには理由がある

ご存じのように、アメリカは何でもデカいです。とにかくデカい。

ショッピングモールといえば、まるで新宿高島屋の全15階分のフロアが水平配置されたようなもので、端から端までとうてい歩いていく気がしません。店の中も恐ろしく密度が低くてスカスカで、こっちの人は日本のドンキホーテなんて入り口でギブアップじゃないかという感じです。

建物もデカければ駐車場もデカいので、縮尺の感覚がおかしくなります。ちょっと油断して駐車場の端っこの方に車を止めると、ショッピングモールの入り口に到着するまでに力尽きそうになります。

24時間営業スーパーのSafewayに行けばミルクはガロン(3.8リットル)売りで、アイスクリームの入れ物なんかバケツみたいなサイズで冷凍庫の棚の一段に一個しか入ってなかったりします。米国版生協のCOSTCOへ行けばミネラルウォーターのペットボトルは36本入りのバルクで売ってます。

パロアルトにある家具屋のIKEAへ行けば、ガタイの大きな白人パパが自分よりさらに一回り大きいキングサイズのベッド用マットレスを、自力で倉庫から引っ張り出して台車に乗せてレジに並んでたりします。

レストランへ行けばオニオンリングは巨大な皿に山盛りで、封の切られてないハインツのケチャップが大瓶で人数分出てきます。

サニーベールの電器屋Fry'sへ行けば、掃除機なんかも笑っちゃうぐらいデカかったりするのです。

さて、日本にいた頃の私といえば、そんなアメリカンな感覚をどちらかというと冗談のネタにしていたのですが、いざ生活をするようになってみると、その理由がわかってきたような気がするのでした。

車社会なら、買ったものを後でデリバリーしてもらうより、できるだけその場で持ち帰れた方が効率的です。商品が大きかったり重かったりすると電車+徒歩では持ち帰れないという日本社会に比べ、きめ細かい配送システムはニーズが弱くて発達しにくいのでしょう。実際、IKEAの家具の配送指定は8時〜12時と12時〜16時という広すぎる幅で、しかも二回ともこの指定時間は守られませんでした。(笑)

デリバリーのコストが顧客負担だから返品制度のリスクも低く、セルフサービスが発達し、DIYショップが繁盛し、ハッカーは自分が必要なものを自分でつくる。。。のかどうかは知りませんが。

そして、車で週末にまとめて買い出しするならバルクで安く買えた方が助かるし、それを収納できるだけの家屋のキャパシティも十分あるわけです。

家屋が大きければ、掃除機の吸い込み口は大きいほうがトータルで掃除時間は短くなるし、靴でカーペットの上を歩くなら掃除機が吸わなくてはいけないゴミの絶対量も多いし、ある程度の重量と吸引力がないとカーペットのゴミは吸えません。また、掃除機の重さを感じる機会ができるだけ少なくなるようにキャスターやハンドルなどにも工夫がされています。

そんなわけで、今では、日本もアメリカもどちらも同じ合理性にもとづいた進化をしていて、ただ出発条件が違っただけなんだ、という風に思うようになってきたのでした。

確かに国民一人当たりのエネルギー消費量についていえばアメリカは日本の2倍で、インドの14倍にも及び、ちょっと何とかしたらどう?という水準ではあります。

これも、バルクで買ったものを大量に維持するために冷蔵庫はギンギンに冷え、食べたいと思ったときにいつでもバルクで自宅にあるもんだから、ついつい手が伸びて消費が進むよう、さらに欲望がつくりだされてきたのでしょうね。

すべてのことには理由がある。文化の違いも同じ。それを理解する端緒を掴んだような気がしつつある今日この頃なのでした。

現在は、アメリカ人の文字どおりの「いい加減さ」というか、良い意味での「突き詰めなさ」みたいなものがどこからくるのか、それを理解したいなと思っています。

♪ Skoop On Somebody / No Make de On The Bed

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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