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オーランドでGartnerのイベントに参加

2004/11/20 23:52
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この11月15日(月)〜17日(水)にオーランドで開催されたGartner Application Integration & Web Services Summitに参加してきました。

今回の出張はビザを大使館に再申請中というステータスだったので、いざというときのために弁護士にカバーレターを発行してもらっていました。一度はビザ発行を却下されている身ゆえ、入国検査で止められるのを覚悟していたのだけれども、左右の人差し指の指紋採取と顔写真の撮影(これは現在では全入国者に対して義務化)を何の問題もなくパスして通過。ちょっと拍子抜け。

今回のイベントでは、Microsoft, IBM, BEA, Oracle, SAP, PeopleSoftのようなメジャーベンダーおよびSterling Commerce, IONA, Sonic, SeeBeyond, TIBCO, Vitria, webMethodsなどのこの分野を専門とする中堅ベンダー、Blue Titan, Cape Clear, Cast Iron, Fioranoのように知る人ぞ知る新興ベンダーほか47社がスポンサー・出展社として勢揃い。

hmmmm...やはり米国のソフトウェア業界は層が厚いです(ヨーロッパの会社も混ざってますけど)。また、みんなしゃべりが上手い。ベンダーセッションでは豪華にもこれらの企業のCTOクラスの人のスピーチが聴けたのだけど、話の内容もさることながら自信に溢れた身振り手振りや笑いの取り方など、プレゼンのツボがしっかり押さえられていました。

渡米後、こういう人たちと同じ土俵で競争していくことになるのか。。。と思うと武者震いします。今まではそういう目線で海外のカンファレンスを意識したことがなかったので、とても新鮮に感じました。

やっぱり米国でビジネスをするにあたって、英語は最初から最後まで大きな壁になりそうですね。まずは言いたいことをきっちり言えるレベル、最終的にはプレゼンで笑いが取れるレベル、を目標にすることに決めました。いつかはパネルディスカッションで対等以上に面白い話ができるようになりたいなぁと。

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さてさて、今回の目玉キーワードは、ここ半年ぐらいかけて日本でも耳するようになりつつある「EDA (Event-Driven Architecture)」でした。

周知のように「SOA (Service-Oriented Architecture)」があまりにもBuzz Buzzしてきたのを懸念したらしく、ガートナー自身がその混乱の収拾に本腰を入れています。今回、SOAの元祖とされるRoy SchulteやYefim Natisの講演も一通り聞いてみて理解したこととしては、ひとまず従来SOAの範疇だとして拡大解釈されてきた技術的属性の多く(非同期メッセージングとか、多対多のLoose Couplingだとか、キューベースの並列処理だとか)は一括りにしてEDAに吸収され、SOAは細粒度の単純なリクエスト・レスポンス型連携の位置づけ(要するに現状のSOAPベースのWebサービス程度)へと縮小して再定義した、ということのようです。

個人的には、またもや実装レイヤーの人たちの混乱を招きかねない用語法にちょっと呆れつつ、しかし少なくともEDAとSOAの対比によって随分とその定義範囲がはっきりしてきたように思います。猫も杓子もSOAと言っていた頃に較べれば、やっと一歩前進?というところ。

EDAのコンテキストでは、イベントというのは現実世界におけるビジネスイベントのことで、物理的には一つのメッセージの到着、あるいは明細テーブルへのレコード追加・更新・削除がその単位になるというイメージ。メインフレームやEDIやCORBAのジャーゴンがわかる人には割と素直な用語なのだけど、「は?Event-Driven?GUIプログラミングですか?」と言ってしまうような若い世代にとってはかなり不親切でしょう。確かにEvent Source - Event Sinkの連鎖によるEvent Driven Modelの方がSOAよりは確立されている普遍概念なので、まぁ学術的な意味では間違っていないと言えるレベルまでは改善したけれど、もっと具体性のある名前をつけて欲しい。。。

だったらMessage-Drivenにすれば良かったのに?と強く思うのだけれど、ところがMDAにはModel Driven Architectureという、これまたどうでもいい略称に既に消費されていて、悩ましいところです。SOA, EDA, SODA, SOBA, BPM, BAM, EPAなど(一々覚えなくていいですよ!)無節操に造語を作りだしてくる点については誰も快く思ってないようで、会場からも何度か皮肉なコメントが飛んでいました。

このEDAにしたところで、先述の通りやっぱりコンセプトも実装も特に新しいものではないわけですが(そもそも私が従来SOAに関して議論していた内容では、新しい定義でいうところのEDAに相当する部分を中心に扱っていました)、この手のアーキテクチャが中規模以下のプロジェクトで多く使われるようになると俄然面白くなるだろう、という予感はあります。しかしそれとて、起爆剤となるのはこういう中途半端に学術的な概念のこねくり回しやハイエンド・エンタープライズのユースケースではなく、やはり性能向上などのイノベーションの積み上げがきっかけとなり、新種のちっちゃなキラーアプリの登場が生殺与奪を握るだろう、と考えています。

現状では同種の実装アーキテクチャであるJMSでさえオーバースペックだの重いだの面倒くさいだので(まぁ根本的な理由はこの手の技術的面白さを理解しているエンジニアが少ないという点でしょうけど)満足に使われていないのだから、これらがもっと簡素化され(例えばJNDIが必須でなくなり)、もっと小さなイベント粒度でも、ローカルホストに閉じた環境でも気軽に使いたくなる程度にダウンサイズされ、例えばオープンソースコミュニティに属するようなエンジニアたちがこの手のアーキテクチャを当たり前のように採用するようになれば、非常に面白いことになっていくでしょう。単なるFIFOストレージとして小便利に使うとか、イベントの流れが集中管理され可視化されることのオマケ的メリットを活かした面白いアイデアを盛り込むとか(アーキテクチャとは要するに非業務機能要件だから、アスペクト指向との合流展開はありそう)、そういう低いレイヤーで起きるイノベーションのタネが本当の出発点になるだろうと思います。「分散コンピューティング」というパラダイムを前提とした発想の誤りを認めない限り、新しいアーキテクチャの普及はないでしょう。

所詮、マクロ視点では設計とは計画的なものであって、意外性というものは排除されるべき対象で、リスクとしか認識されないのです。つまり、プロジェクトの成功とは予想通りのものを作り上げることでしかありません。むしろ失敗プロジェクトこそヒントの宝庫となるでしょう。

この議論の延長線上でいけば、MicrosoftでDon BoxがリードしているIndigoはこの分野のダークホースということになるでしょう。しかし、2006年と目されているリリースまでにキラーアプリが見つからなければ、結局何をやるにも中途半端で重たいだけの抽象レイヤーのお化け「COM#」に終わってしまうでしょうから(笑)、Microsoftとしても実はかなり大きなリスクを抱えていることになります。とはいえ、かつてXMLの普及期にもそうだったように、MicrosoftにはSOA/EDA的なアーキテクチャの民主化と世間的な認知を推進する役割を大いに期待しています。


その他の発見としては、SOA/EDAに関連してガートナーと私の主張でかなりシンクロする点があったこと。それは組織横断でノウハウを長期的に維持管理し、利害調整を行う専属の中立組織を設けることが、大規模分散システム統合プロジェクトにおいては成功の鍵を握るという点。彼等はこれを「ICC (Integration Competency Center)」と呼んでいました(hmmm... Yet another acronym.)。そうなのです。システム統合プロジェクトでハブ化しなければいけないのはシステムではなくて、まずは社内組織の方なのです。ただ、私の主張が「ICCをどう運営するかは、SOA/EDA云々の技術論による貢献が誤差に見えるぐらい圧倒的に重要である」というのに対して、ガートナーの主張ではICCの重みの強調度は曖昧にされたままでした。(まぁ彼等はコンサルティングやインプリが収益の柱ではなく、ベンダーサイドのマーケティング予算から主たる収益を上げるビジネスモデルなので、もし同じ事を思っていても言えないと思いますが)

また、オープンソースのパネルでは、Mozillaを使っている人!という問いかけで会場の8割近くの手が挙がり、JBossを商用アプリケーションサーバの代替として使ったことのある人!という問いかけで4割の手が挙がったのはいくらなんでもホンマかいなという感じでしたが、ガートナーのイベントということで想像してたよりも雑食でマニアックなオーディエンスが多いのだなぁという点もちょっと意外でした。個々に話してみると至ってまともな感じの人たちなのですが。

また、Webサービス実装の63%は社内システムのインテグレーションに使われ、平均的なペイバックは16ヶ月、という統計も、どういう根拠にせよやっと数字が捻出されるようになってきたな、という感想を持ちました。

以上、簡単ですが参加レポートでした。

John Cafferty / Heart's On Fire

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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