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TOCの理念に触れて

2004/05/06 01:44
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この5連休に、エリヤフ・ゴールドラット博士のTOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)関連の本を6冊ほどまとめて通読した。

そのきっかけとなった名著「ザ・ゴール」を読み終わる頃、脳内パラダイムがスイッチする「カチッ」という音が聞こえたような気がした。

実は以前、「ザ・ゴール」は冒頭のあたりだけ斜め読みしたことがあったのだが、そのまま積ん読状態となり埃をかぶることになってしまった。それは今にして思えばTOCに関して巷で溢れている情報から経営学の流行モノであるという先入観が邪魔をして、読む前から判った気になってしまっていたからだった。

「鎖全体の強度は最も弱い輪の強度で決まる」
「個別最適ではなく全体最適を考えなくてはいけない」

どこでも聞く話だ。今さら改めて説明されるまでもない。そう決めつけていた。(ご存じの通り、私は英字3語で表現される流行語にはアレルギーがある)

しかし、ちょっとしたきっかけでスループット会計を勉強しようと思い立ち、原典「ザ・ゴール」を読み返してみたわけだが、さてそこからが凄かった。あっという間にこの世界に引き込まれ、ノンストップでシリーズ4巻と関連図書を買い集めて読了してしまった。私はどちらかというと読書が遅い方だから、この勢いには自分でも驚いた。

ここで書評を書く意図はないが、これは心底たまげた名著だ。小説という形態をとってはいるが、ゴシップやエンターテイメントの類ではない。れっきとしたビジネスの実用書であり、理論書だ。何よりも、シリーズを通じて感じられる著者の洞察力の深さと志の高さには惚れ惚れするものがある。

どうにかしてTOCの要点をここで整理して伝えたいとは思うのだが、これがとても難しい。「鎖全体の強度は最も弱い輪の強度で決まる」などと結論だけを並べたら誤解を招くということだけは、自分自身の経験から明らかだ。TOCの基礎を正しく理解するには、何よりまず「ザ・ゴール」を読むしかないのかも知れない。

なぜなら、この本が扱っているのは、新しいテクニックではなく、新しいパラダイムだからだ。最適化ではなく、ブレイクスルーだからだ。知識ではなく、思考プロセスだからだ。著者のメッセージを正しく伝えるためには、ドラマ仕立てでプロセスを提示していく小説という枠組みしかなかったろう。

そして私自身はといえば、TOCの理念が今後の情報システム分野にどういう影響を与え得るかという観点で考察を始めたところである。まだ言葉にならないが、間違いなく今後IT業界が進むべき方向を示す羅針盤になるであろうと直感している。

今後も折に触れ、思うところを形にしてこの場で提起してみたい。

「ザ・ゴール」シリーズ
ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス チェンジ・ザ・ルール! クリティカルチェーン ― なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?

TOC関連解説本
図解 TOC・スループット経営 図解 コレならできるクリティカルチェーン―もう、プロジェクトは遅れない!

ビジネスパーソンを志向する万人に、何はともあれ「ザ・ゴール」を。マーケティングやM&Aなどの戦略に関心があれば「ザ・ゴール 2」を。ソフトウェア業界で「何かがおかしい」と思い始めている人々には「チェンジ・ザ・ルール!」を。熟練のプロジェクト・マネージャには「クリティカルチェーン」を、お薦めします。

♪ Eric Clapton / Change The World

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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