ちょっと休憩
前回までの5話にわたるミニ連載というチャレンジを終えてみて、「うーんまだまだ整理が足りないな」と自覚をする羽目になった。知人たちからも「読み物としてはコミカルで刺激があるけど、後味はイマイチ」とか「後半にかけてだんだん自己陶酔モード入ってたよ」などとおしなべて辛口の感想をいただいてしまった。
勢いでどんどん長くなっていく文章に流されて論旨が腰折れ気味だったかなと感じてはいたし、最終回も今読み返してみると、もっとフェアな書き方があったかなぁと思えてくる(あまつさえ、書きたかったことが書けなかった)。うーん、反省。
自分のBlogスタイルを確立するにはまだまだ時間が必要なようだ。もう少しあれこれ試してみようと思う。
エンジニア雇用の主体はITユーザへ
ところで、連載の途中で気が付いたのだが、梅田さんの最近のエントリの「雇用なき景気回復とITエンジニアの雇用をめぐる大転換(このエントリは大変貴重な論考だと思う)」や「アマゾンの実験に需要サイドからのイノベーションを考える」あたりでも頻繁に取り上げられているホットなテーマだが、
これまで、ITエンジニアにとっての花形の職場、就職先はITベンダーであったわけだが、ひょっとするとこれからそれがITユーザの方に移行していくのではないか。それがITエンジニアの雇用をめぐる大転換なのではないかというのが、いま僕が考え始めている仮説である。
という考え方とは、私は面白いほどピッタリと意見の一致をみている。
梅田さんのストーリーは、AmazonやeBayやGoogleといったインターネット世代のプレイヤーたちのワークスタイルをみてそのような仮説を立てたとのことだが、私は既存産業と従来型のイノベーションの延長線上でさえ、実現までのタイムラグこそあろうが全く同様にITベンダーからITユーザへのエンジニアの雇用シフトが起きるだろうという仮説を得ている。受託ビジネスの崩壊がそのきっかけとなるだろう。(何のことだかわからない人は、もう一度前回までの連載をざっとおさらいしてみてください)
そこでもう一歩考えを進めると、ITユーザに属するエンジニアには少なくとも2つの類型があるような気がしてくる。
Yahoo!やGoogleのようなミッションクリティカルなシステムが中心にあるビジネスは、優秀なITエンジニアたちにとって楽しい職場となるだろう。そこには枯れた技術であっても限界ギリギリにチャレンジするといった種類のスリルがある。モータースポーツマニアが市販車にカスタムパーツをつけまくり、ゴリゴリにチューンアップして「どうだ、俺のマシンは速いだろう」と競い合うような感覚だろう。ここで最も求められるスペックは、一点突破型のテクノロジースキルだ。
一方の既存産業でITエンジニアの果たす役割はといえば、社内で発生するビジネスのニーズに対して自らユーザとして事業企画からインプリまでを一貫して遂行することが求められるようになるだろう。テンポよく結果さえ出せればよいので、パーツにはこだわらない。むしろなるべく純正品や標準品を使うことで、アウトプットの品質が安定することが優先課題となる。ノーマルなオートマのセダンに乗るべしというような感覚だろう。ここで最も求められるスペックは、柔軟性重視のヒューマンスキルだ。
こんな感じで、ITベンダーからITユーザへのエンジニアの雇用シフトにも、性格的な向き・不向きも含めてキャリアパスが見えてくるのではなかろうかと、おぼろげながらに考えている。
♪ Kenny Loggins / Leap Of Faith