お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

Dellのブレード標準化戦略とは?

2003/09/10 21:08
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

山岸編集長のありがたいお誘いにより、ついにBlogを始めることになった。
まずはWeeklyに更新するところから、自分なりの感覚をつかんでいきたいと思う。

普通は第一回目ということで気合を入れてエントリを作るものかもしれないが、
とりあえず手近な話題からお気楽に始めてみることにする。

というわけで、本日のCNET Japanの記事から適当にチョイスしてみた。


マイケル・デル:「ブレードサーバに業界標準を」

ここで記事ではMichael Dellの以下のコメントが引用されている。いわく、

Dellは、サンフランシスコで開催中のOracleWorldトレードショーの基調演説で、「共通のブレード設計が存在するべきだ」と発言。「わたしはそこそこ楽観的に見ているが、うまく標準を定められれば、ブレードサーバの市場は大きなものになるだろう」(Dell)

 しかしDellは、従来型のサーバからブレードサーバへの移行は、一夜にして起こるものではないと述べている。「移行にはやや時間がかかる」(Dell)

とある。

ブレードサーバは、通常のサーバー筐体を構成するコンポーネントのうち電源やシャーシなどといったファシリティを共用し、複数の独立したCPUやメモリやHDDといったコンテキストセットをその内部にMassiveに持とうという考え方のものだ。

こういった発想は、各コンポーネントの価格がこなれてきて十分な性能のものが安価に供給され、一方で共有ファシリティの技術革新が遅く相対的に高価であるような場合には自然とおきる考え方である。昔からハイエンドのマーケットにはNUMAアーキテクチャ、MPPといったアイデアが存在していたし、何を共有し、何を共有しないかによってアーキテクチャが特徴付けられ、その結果としてマーケットが決定される。

つまり、アーキテクチャという技術的なシーズを起点とする市場なのだ。

そういった状況の中で標準化というキーワードが出てきているのだが、ここで疑問となるのは「ブレードサーバというアーキテクチャは、どういったマーケットを目指すために標準化するのか?」ということである。現在のところ、ISPのホスティング効率向上の道具というニッチ市場以上の役割を見出せていない。

私は仕事柄、標準化というプロセスに関わることが多いのだが、Charter(大げさに言うと憲章、ようは大義名分)のない標準化というのは常に「そもそも何のために標準化するんだっけ?」というところに陥ってしまい、誰も議論を収束できなくなってしまう。それは標準化の宿命である。このCharterというやつは、具体的なニーズのないところでは作れない。

しかし米国での標準化はかなり露骨に自社の利益誘導を目的として行われていることが多い。これは実に重要なアプローチである。シーズ・ドリブンであっても、ビジョンを示せばCharterは作れる。このようなやり方は、日本での標準化ではあまり見られない。

ビジネスとして標準化活動に参加するには自社のメリットがなければ意味がない。文字通り、大義名分としてのCharterが作成され、様々な思惑を胸に賛同者が集まってくる。当たり前のことだが、この本音なくして「世のため人のため」の標準化などにエネルギーは集まらないのだ。そういった意味で、ブレードの標準化に乗り出すというDellの戦略は、あくまで傍流ビジネスの位置付けとはいえ常に保守的で枯れたアーキテクチャを採用し、徹底的なオペレーションコスト削減で勝負してきたDellらしくないという意味で面白いのだ。

私の見るところ、ブレードの市場はまだまだこれからだ。サーバ単体の技術革新とコモディティ化も進行しており、データセンターの設置面積メリットだけで広く訴求するような状況にはない。PCアーキテクチャをベースとしたブレードは、あくまで技術革新が現実のニーズを追い越し、CPUやメモリやHDDがサーバ用途としてオーバースペックになった後の、つまりコモディティ化が行き着いた先のマーケットなのである。各社は、コモディティ化と戦略性という相反する要素を天秤にかけ、独立したサーバのコンテキストを大量に消費する新しいサーバ用途を開拓し、「コモディティ化の先にあるマーケット」を創っていかなくてはならないのだ。そこまで考えを進めると、ある意味ではコモディティ化を常に味方につけてきたDellらしい戦略とも言えるかもしれない。

そうそう、実は日本にも面白い取り組みがある。富士通を中心とした80数社で構成される「IP-Processorコンソーシアム」というのがそれだ。これは大変興味深いアーキテクチャで、

・外部との通信はIP(Ethernet)のみ
・ディスクレスでオンメモリ動作
・モジュールは音楽CDサイズ
・OSとアプリはCompact Flashで、モジュールにスロットインすることで提供
・暗号や認証Keyによるアプリのコピー防止

などといった特徴がある。

ディスクレスなので、向き不向きがはっきりするという点で非常に特徴のあるアーキテクチャである。いわゆるブレードというカテゴリではないという説明なのだが、PCサーバのコモディティ化の先にあるマーケットを睨んだものであるという意味と複数のコンテキストを扱う共通のファシリティを持つという意味では本質的に同じである。日本発の提案ということで、是非応援したい。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー