前編では、「テレワーク時代のデータ共有を考える」として、Pleasanterの基本機能(フォルダー作成〜テーブルの作成と項目のカスタマイズまで)を紹介してきた。今回はExcel等の他ソフトからの「レコードの一括追加(インポート機能)」と「権限設定」、「テンプレート」について簡単に紹介し、また導入事例について触れてみたい。
*Pleasanterについてはこちらから
https://pleasanter.org/
(1)レコードの一括追加(インポート機能)
Pleasanterで作成したテーブルに対して、レコードを一括で追加更新することができる。まずテーブルが作成されていることを前提に進める。(テーブル作成はここを参照)
・対象テーブルへ移動し、画面下部の「インポート」ボタンをクリック。
・ダイアログで「CSVファイル」、「文字コード」を設定、「IDが一致するレコードを更新する」のチェックボックスをオンにし(これにより一部のレコードのみが更新できる)、「インポート」ボタンをクリック。
・メッセージを確認できたら完了。
※クラウド環境(pleasanter.net)では一度のインポート処理で取り込めるレコード数が10,000行となっている。10,000行を超える量のデータをインポートする場合は、10,000行ごとに区切ってインポートする必要がある。
(2)権限設定
フォルダーを作成したら、そのフォルダーを閲覧できるユーザー、編集や削除も行えるユーザーなどを分けて管理できることが必要となる。これによって、部署や業務権限、社内外などの区別に応じて、それぞれのユーザーが扱うことができるデータを細かく設定することができるようになる。権限の設定はどのように行うかについて見ていく。
(ユーザーやグループの作成についてはここを参照)
https://pleasanter.net/fs/publishes/533488/edit
https://pleasanter.net/fs/publishes/533495/edit
・対象フォルダで画面右上にある「管理」 メニューより「フォルダの管理」をクリック。
・「サイトのアクセス制御」タブをクリック。
・「アクセス権の継承」で「アクセス権を継承しない」を選択。
・「選択肢一覧」でアクセスを許可するユーザ、グループを選択し、「権限追加」ボタンをクリック。
・「権限設定」に追加したユーザ、グループがあることを確認し、画面下部にある「更新」ボタンをクリック。以上でサイトのアクセス制御の設定は完了。
(3)テンプレート
Pleasanterでのテーブル作成については既に見てきたが、業務でよく使うデータベースについては、1から項目を考えてテーブルを設計するよりも、Pleasanterに既に準備されているテンプレートを使うと早い。下記のように多くのジャンルごとに200種類にも及ぶテンプレートがあらかじめ用意されている。簡単な作業ですぐにデータベースが導入できる。
●プロジェクト
「プロジェクト」から「作業日報」を選択した時の設定画面
●営業
●顧客・サービス
【導入事例】
Pleasanterに関する導入事例は開発元の株式会社インプリムによるPleasanter.orgのサイトに詳しいが、その中からCTCシステムマネジメント株式会社の事例について少し触れてみる。
伊藤忠テクノソリューションズを核とするCTCグループの中で、主にシステム運用に特化したサービスを提供するITシステム運用会社であるCTCシステムマネジメント株式会社(CTCS)では、Pleasanterがオープンソースであることを活用してカスタマイズ開発。独自のダッシュボードシステムを導入して、経営判断や業務管理をリアルタイムで可視化することを実現している。表示の変更のほか、標準機能にはない計算式の組み込みなど独自に改修。顧客向けにも要望に合わせてカスタマイズして提供していく予定。OSSベースであるため、フルスクラッチによる開発に比べて、コストが3分の1程度で済むことも大きなポイントだとしている。
独自開発したダッシュボードシステムはCTCSの基幹システムと連携。
担当者によれば
「未来、過去の定量がメーター表示で可視化されたダッシュボードによって、現状が直感的に認識でき、どの部署や課のどこに問題があるかを、リアルタイムで察知しやすくなります。今後はこのダッシュボードを見ながら、経営層が問題点を見極めて対策をうったり、マネージャーが経営層に報告、またはマネージャーがメンバーと議論するなど、活用の促進が期待されます。こうして使う場面が多くなり、報告や打ち合わせの資料作成の負担が軽減されて楽になることが分かれば、必然的に各自の入力への意識も高まり、“使えるシステム”として定着も進むと考えています」
とのこと。
同社では今後、全社的にこのダッシュボードシステムの活用を促進して知見を蓄積すると共に、CTCグループ各社への展開の他、外部企業への提案も加速させていく予定ということである。
最後に
クラウド版を中心にPleasanterの一部の機能を紹介し、また実際の導入事例に触れてきたが、これは、このソフトウェアのごく一部を紹介したに過ぎない。バージョンアップも盛んに行われていて、これまで.NET Framework版(Windows+SQL Server)のみだったが、2020年の5月には、非常に要望の多かったPostgreSQL対応版もリリースされた。
(https://pleasanter.org/archives/7155)
これによりLinux、PostgreSQL、.NET Coreによる全てを、完全にオープンソースのみで構築することが可能となり、一段と利用しやすくなっている。
何と言ってもPleasanterのような広範な機能を持つWebデータベースでオープンソースというのは、他製品を含めて考えてもなかなか見つけることができない。WebUIからアクセスした時の管理画面は、必要最低限の基本予件を満たすシンプルなものとなっているが、これもCTCSのダッシュボードの例に見るように、各社で独自にカスタマイズできるので、利用する企業に応じて最適化していくことが可能であることも大きなメリットだろう。
また、HoneycodeのようなAmazonのノーコードツールが注目を浴びているが、Pleasanterの場合、国産のオープンソースソフトウェアということもあってドキュメント類がすべて日本語であるという点も導入のハードルを下げていると思う。(Pleasanter自体は、英語、ドイツ語、中国語など多言語対応可能)
最初はクラウド環境から無料でExcel等での情報共有をリプレイスするところから入って、慣れてきたところでカスタマイズまで発展させていくことで、基幹システムに連携するような大きなシステム開発まで持っていけるところに非常に大きな魅力があると言えると思う。