コロナ禍が一向に去らない酷暑の中、延々と在宅テレワークが続いておられる方も多いだろう。リモート会議については、ZOOM、Google Meet、Teams、Webexなど様々なツールを使われていると思うが、データベースの共有や入力、Webアプリの開発環境などを在宅も含めて共有する環境を構築しようとすると、まだまだハードルが高いのが実際のところだろう。
特にITを専業としているわけではない中小の事業者の場合、社内にエンジニアがいるとも限らないし、情報システムの人材も豊富に抱えているとは限らない。その中でセキュリティや編集権限などにも配慮しながら、コーディングを最小限にしてデータ共有やアプリ構築をしようとすると、選択肢としては必ずしも多くないと思われる。
そこで、最近オープンソースでデータ共有から本格的なアプリ制作まで対応できるPleasanter(プリザンター)を触ってみる機会があったので、2回に分けてその特徴や機能を紹介してみようと思う。
*Pleasanterについてはこちらから
https://pleasanter.org/
Pleasanterは、基本的にはノーコードでアプリ構築まで可能。スクリプトや用意されているAPIを利用すればさらにアプリを拡張できるローコードプラットホームでもある。サイボウズ社のキントーンなどと比較されることも多いようだが、何と言ってもPleasanterはオープンソースであるところが魅力であり優位点である。
テレワークに限ったことではなく、日常の社内の各拠点や部署を跨いだ共有の場合でも状況は同じだろうと思うが、大手企業の大半で出社が制限されて、否が応でも「多拠点分散環境」に移行せざるを得なくなった今だからこそ、切実に感じられるニーズを満たす製品であり、検討されてもいいソリューションではないだろうか。
Pleasanterとは
Pleasanterはオープンソースソフトウェア(OSS)のWebデータベース。複数のメンバーで社内のデータベースをWebで簡単に共有でき、また本格的なWebアプリもノンコーディングで開発することができる。利用者を制限することはもちろん、細かな権限も設定可能。テンプレートも豊富だからよくある事例であれば一から設計しなくてもかなり多様なデータの管理が可能だ。クラウド版がASPサービスとして用意されているので、何もリソースを用意しなくても、無償デモアカウントを取得してすぐに利用開始できるし、ニーズと社内リソースに余裕があれば、自社でオンプレもしくはクラウドにサーバーを構築することもできる。何と言ってもAPIも含めてオープンなので、デザインや機能をカスタマイズしたり、他のシステムとの連携を行うこともできる。
データ共有の実際は
これを読まれる方は、テレワークだけではなく例えば社内で、パソコンなどのIT機器管理、在庫管理、顧客サポート記録などのデータ共有をしたい場合には、どのように行なっているだろうか。
手軽にできることからExcelなどのビジネスソフトを使って共有フォルダで管理したり、Dropboxで共有しているなどといった企業も多いと思うが、Excelシートを大勢で共有しているうちに、いつの間にかデータを誰かが更新してしまい、
「誰が更新編集したかわからない(汗)!!」
とか
「いくつも似たようなファイルが増産されてしまいどれが最新かわからない!!!」
とか
「いつ行っても誰かがファイルを開いて作業中で編集できない!!!!」
という経験はないだろうか。
会社によっては、相当大きなデータでもExcelシートの共有のみで運用を行なっている場合もあり、「どうにかしたいのだけれど、本格的なデータベースを開発導入したらきっとコストが」とか「情報システム管理者も多忙だし。。」と二の足を踏んでそのまま使い続けている場合があると思う。
また、現在のようなテレワークが盛んに行われている状況では、その共有領域自体が、自宅や社外からアクセスできない社内ネットワーク上にある場合も多く、自宅P CからオフィスのP Cにリモートデスクトップで一回入ってからアクセスに行ったり、手間がかかっている場合もあるだろう。
データをPleasanterで管理するためには
以下では、Pleasanterを利用する手順について簡単に触れてみる。先に紹介したように、Pleasanterはクラウド版(3名まで無料登録できる)を使うか、または自社サーバーにダウンロードして使うオープンソース版を使うかの2通りで、オープンソース版の場合は、期限制限なしに無償でほぼ全ての機能を利用できる 。
※料金プランは以下のように4通り用意されている。オープンソース版をダウンロードして使えばずっと無料で使える。
クラウド版の場合には基本的に次の手順で利用準備を行う。
(1)ユーザー登録する(クラウド環境にアカウントを作る)
(2)フォルダーを作る
(3)テーブルを作る
(4)テーブルの項目をカスタマイズする
今回はここまでざっと手順を追ってみる。
※詳細は操作マニュアルで公開されているので参照されたい。
(1)ユーザー登録
クラウド版にアクセスして右上の「登録」からユーザー登録を行う。
(2)フォルダーを作る
Pleasanterでは、フォルダーを作成し、ファイルサーバのように階層構造を作る事ができる。組織単位にデータを管理したい場合などに便利。階層構造は後から変えることもできる。
作成したユーザーでログインしてフォルダーを1つ作成してみる。
まず、画面右上の「新規作成」ボタンを押す。
「標準」タブにある「フォルダ」を選択する。
画面下部にある「作成」をクリック。
ダイアログにある「タイトル」を入力し、「作成」をクリック。
これでフォルダの出来上がり。
(3)テーブルを作る
次はフォルダーの中にテーブルを1つ作ってみよう。
・画面右上の「新規作成」をクリック。
・「標準」タブにある「期限付きテーブル」を選択。 「期限付きテーブル」ではタスク管理など期限の管理を行うための一覧表を作る事ができる。
画面下部にある「作成」をクリックし、ダイアログにある「タイトル」を入力し、「作成」をクリック。
これでフォルダーの中にテーブルが出来上がり、Pleasanterを使う最小限の準備ができた。
(4)テーブルの項目をカスタマイズする
作成したテーブルの項目をカスタマイズするのはマニュアルを参照して行なってもらいたい。
次回はExcelからのインポートや、権限管理とテンプレの紹介、そして導入事例について紹介してみたいと思う。