お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

黒いハイネックとヒゲのキャラクター -Appleが輝いていた頃

2016/09/08 21:30
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
ブログ管理

最近のエントリー

息を飲んでその時を待つ。02:00という時間も気にならない。どんな手段でその時を共有すればいいだろう。刻々更新されていくサイトの写真にも興奮を覚える。何が発表されるか予想もつかない。この人の一挙手一投足に世界の目が集まる。今夜のその時間までと、今夜のその時間からは世界が変わるのだ。プレゼンの段取りが狂うような、機材のトラブルすら心躍る。どんな鮮やかな切り抜け方をするだろうか。

黒いハイネックのセーターは同じものを何十着も持っていたそうだ。人としてどうかと言われればおそらくクズだ。親としてどうかと考えれば、これもおそらくクズだ。だが才能としてどうかと言われれば間違いなく天才だ。天才という言葉すら卑小すぎた。

その人ですら挫折を味わい、駆逐され破産の危機に見舞われ、もう二度と帰って来れないかという表舞台に、これ以上ない舞台仕立てで帰ってきた。片手をあげれば世界がどよめく。そんな経営者は2度と出ないかもしれない。

Appleが最も輝いていた時代の話だ。

今。彼はそこにいない。その代わりに、日本企業から生まれたヒゲのキャラクターがAppleの製品の中で踊ることが高らかに宣言されている。来場者は拍手を送る。だがその拍手がかつてはレインボーだったとすれば、今は数色の色程度の話だ。誰だってわかっている。

彼が残したスマホは少しだけスリムに、少しだけ速く、少しだけ洗練されて、少しだけ電池が持つようになり、少しだけメジャーなコンテンツが乗るようになった。

失われたのはあの熱気。何回となく繰り返されたあの熱気だ。ここから先、その熱気を知らない子供たちが、Appleの製品を買うかもしれない。だがそのAppleは自分の知っているのとは別の会社だ。

忘れるべきものは忘れるべきであり、忘れるべきでないものは忘れるべきではない。繰り返しが繰り返しとして続いていくことは知っている。知ってはいる上で今朝の僕の感想の一部である。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー