お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

第16回文化庁メディア芸術祭受賞作品の内覧会に行ってきた

2013/02/16 20:30
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
ブログ管理

最近のエントリー

 2月12日に第16回文化庁メディア芸術祭のプレス内覧会にお邪魔してきたのでその様子をレポートする。




文化庁メディア芸術祭は、

「アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門で国内外3,503作品の応募から選ばれた受賞作品や審査委員会推薦作品、功労賞受賞者の功績等を紹介します。各部門の審査委員による厳正な審査で選ばれた作品群と、様々なイベントを通じて、メディア芸術の"いま"を映し出す」

という趣旨で今回は六本木の国立新美術館を舞台に2月13日(水)から2月24日(日)まで開催されている。

僕はこのイベントの受賞作品をこれほどじっくり見たのは初めてだったが、各ジャンルの作品は多彩で想像以上に興味深かった。当然ながらとても全部に触れることはできないが、印象に残ったものを中心に紹介したいと思うので、関心のある方はぜひ会期中に国立新美術館に出かけていただきたい。



【アート部門大賞】

Pendulum Choir
ミュージックパフォーマンス

Cod.Act (Michel DÉCOSTERD / André DÉCOSTERD)(スイス)

会場入り口近くに上映されている大画面の異様な映像が人目をひく。ゆらゆらゆれる歌い手はなにかコンピューターで制御される金属の稼働機械に生物のように無生物のように固定されており、周期的にうなり声のようなハーモニーを奏でるのだ。人の要で人ではないなにかから音が出ている。「合唱と演劇芸術そして機械工学が融合した作品」と作者。


【アート部門新人賞】

『Species series』
YANG Wonbin


これらはゴミのように見えるけれど、小さな小さなロボットである。街の片隅でそれらロボットが新種の生き物のように誕生して死んで行くまでを描く映像作品の中では、誰にも気がつかれず生まれ風にもてあそばれときには車に踏みつぶされて消えて行く。通行人は無関心というより全くそれに気がつかず通り過ぎる。


【アート部門審査委員会推薦作品】

『Immersive Room』
澤村 ちひろ


閉ざされたビルの一室を舞台としてプロジェクションマッピングの手法を使って制作された作品を会場で再現。自分の部屋の向こう側の部屋。夢の中の部屋でうごめく「何か」のようである。


【アート部門審査委員会推薦作品】

『My Sputnik』
古屋 和臣


自分の家族を「衛星からの視線」で撮影した不思議な写真。家族団らんなどというありきたりの所作がおそらく繰り広げられているのだろうけれど、目は宇宙の視線からそれを見下ろしている。監視社会へのアイロニーでもあるという。


【アート部門審査委員会推薦作品】

『ほんの一片』
佐野 友紀



圧倒的な大きさの写真には、東日本大震災によって生み出された瓦礫の山がこれも圧倒的な高精細度をもって映し封じ込まれている。作者はこれに油彩で色をつけるという人為的な行為により、かえって通常をこえたリアリティをつけている。


【エンターティメント部門大賞】

『Perfume "Global Site Project"』
真鍋 大度/MIKIKO/中田 ヤスタカ/堀井 哲史/木村 浩康

Perfumeの音楽にのせて、クマが踊ったり、折り紙細工のような女の子が踊ったり、楽しい作品が次々と映し出されるので人だかりがしていた。Perfumeのダンスデータをネット上に提供し、それを世界中のクリエイターが使い自由奔放な作品を作り上げた。自分の身近にもこれを使って独自の作品をYouTubeにあげていた友人がいたなと思い出す。Perfume世界デビューの記念プロジェクトでもある。YouTubeの「踊ってみた」シリーズや、初音ミクを作り出しているMMD(MikuMikuDance)プロジェクトの延長上にもある。



【エンターティメント部門新人賞】

『どうでもいいね!』
IDPW


メディア芸術祭受賞作品はそのアイロニーゆえに、笑いをこらえられないものも多くある。これもそういう作品。Google Chromeの拡張機能として画面上のすべての「いいね」をまとめて押してしまうという、いわば「いいねSPAM」を地でいくプログラム。(本当に作動するのかフェイクなのか僕は知らないw)人の記事を読みもせず、ただ友人に「そこにいる」ことを知らせるためだけに「いいね!」を押しまくる行為はソーシャルメディアにおいて顕在化していることに気がついている人は多いだろう。まさにそこをくすぐってくる作品だ。ニヤニヤしながら皆が見ている。



【エンターティメント部門新人賞】

『永野 亮「はじめよう」』
新井 風愉


これも映像のイメージ通りに、文字通りゆるふわな作品。ワイヤーやCGによる高度な合成技術を極力使わずに、工夫と言う名の「ヘタウマ技術」のようなもので空中浮遊を可能にしている。そのネタばらしもそのまま見せているのがすごく楽しい。のんきなムードでのんきにつくったのんきな音楽に乗った作品。けれどしっかりと計算もあるねて感じ。



【マンガ部門大賞】

『闇の国々』
ブノワ・ペータース/フランソワ・スクイテン
訳:古永 真一/原 正人

ベルギーから参加したコミックの人気シリーズ「闇の国々」。巨大な塔の秘密をめぐって数奇な運命に導かれる男を描く「塔」などまるで銅版画のようなタッチの精密画で圧倒的なスケール表現がされている作品。日本のマンガとは全く違う重厚感がある。


【アニメーション部門大賞】
『火要鎮』
大友 克洋

300年前の江戸大火を伝統的な江戸の風物の中にCGを駆使して描き出した松吉とお若の恋模様を描く。振り袖火事にもモチーフを得ているかもしれない大友克洋の作品。

マンガやアニメーションはなかなかここでは表現できないし(もちろんその他の部門も)、他にも紹介したい作品はたくさんあるが、ブログ面の限りもあるのでこのくらいで。あとは実際に会場に足を運んで確かめてください。2月24日までです。



※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー