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TEDxTokyo 公開オーディション -言語を超えたプレゼンテーションと六本木ヒルズの天空

2012/06/05 17:00
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プロフィール

殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
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プレゼンテーションとは何なのか。表現とは何なのか。あらためて考えさせられるような機会になった。今では世界中の人が注目しているTED。5月29日に六本木ヒルズで開催された公開オーディションTEDxTokyo。審査を勝ち抜いたファイナリスト達がプレゼンテーションを行った。今回はGoogle+のレポーターも兼ねて参加してきた。

いつも見慣れた六本木アカデミーヒルズのカフェがすっかり趣を変えている。ステージ下手には提灯。バックには青竹。そして上手には生け花が配置されている。

TEDのプレゼンテーションは英語でなされるが、「言語を超えた」表現が求められる。生のTEDを体験するのはこれが初めてだが、アーカイブを見ていていつも感じていたのは、言葉を超えた「驚き」=サプライズが用意されたプレゼンテーション、そして社会問題に対して切り込んだプレゼンテーション、独自の発想で生み出された技術や発明、着眼点を、誰にもわかりやすい手法で伝えるプレゼンテーションが高く評価されるということだ。

高い評価を受けたプレゼンテーションは、観客のスタンディングオベーションなど、最上級のリスペクトを受ける。会場の観衆も一つになって、より新鮮な発想、独自な着眼点、強いインパクトを与えるようなプレゼンの達人の登場を心から歓迎し、共に考え感動するような独特の雰囲気がある。

とは言え、ここは日本。英語という言語的な壁がないわけではない。発表者も観衆も。特に、習熟した英語スピーカーとは程遠い自分にとって、果たしてプレゼンテーションが理解できるのかという「独自の緊張」も生むことになったが、すぐにその緊張はほぐされることになった。

その最大の貢献をしてくれたのが、序盤に登場したプレゼンテーター、Morinosuke Kawaguchiさんだ。工事現場やATM、病院など公共的な場所で使われている日本独自のキャラクター(安全太郎とか!)をテーマにしたプレゼンテーション。独特の間と共に映し出されるスライドを見ただけで会場は拍手と笑いに包まれ、開始直後の緊張が消えていく。ビジュアルと間だけで伝わる面白さは、まさにこの場にふさわしいプレゼンテーションだった。

TEDではパフォーマーも活躍する。目を見張らせてくれたのは、2007年ヨーヨー世界チャンピオンのBlackさん。彼のパフォーマンスは前にも見たことがあるが、この日は武道をイメージした黒ずくめの着物で登場、我々が考える「ヨーヨー」とは全く別の緊張感あるパフォーマンス。ヌンチャクを思わせるような鋭い気迫のこもった空間をステージに。これには観客も度肝を抜かれていた。ステージの後でBlackさんと少し話をする機会があったが、登場時「世界チャンピオン」の肩書きはあえて紹介せず、パフォーマンス1本で先入観無しに勝負したと話してくれた。武道の所作は特に習ったわけではないが、舞踊を学ぶことで習得したということだった。

パフォーマンスでもう1組、印象に残ったのは手話ダンスグループの「Handsign Dance Crew」初めてステージを見たがどちらかというと固い手話のイメージを打ち壊す見事なパフォーマンス。ダンスの振り付けの中に自然にしかも「カッコよく」手話を取り入れていく。日常の活動では耳の不自由な人にはダンス表現の楽しさを伝え、健常者には手話表現の楽しさを伝えているそうだ。まさにこれも先入観を打ち壊してくれるステージだった。

先入観を壊すと言えば、Huai Chen Changさんのプレゼンテーションは、ミサイルの平和利用を訴えるもので、なんとICBM(大陸間弾道弾ミサイル)を使って災害時の緊急支援に使えないかというもの。奇想天外でpeacefulな発想に、場内は大拍手。東日本大震災のような大きな災害の時に、もっとも早く被災者に物資を届けるのは、大陸間弾道弾ではないか。その精密な目的補足能力を生かし、上空でパラシュートを開いて被災者に迅速に緊急援助物資を届けようという斬新な発想。満場の支持を受けたプレゼンテーションだった。

アーティストのSarah Brayerさんは、和紙に特殊な塗料で絵を描き、大きな屏風や光に反応するインスタレーションを作っている。彼女が実際に紙すきの工房に出向き、現地の職工さんの指導を受けながら紙を漉いていき、作品に仕上げるまでを見せた。最後に場内の光が落ちると彼女の着ているTシャツが光を放つ。シャツも作品だったのだ。見事なクロージングである。

シャボン玉で見事なプレゼンパフォーマンスを行ってくれたのはOchiai Yoichiさん。シャボン玉をユーザーインターフェースとして映像スクリーンにすることで、世界でもっとも薄くて軽く、しかも精度や反応に優れた情報端末の可能性を伝える。会場に吹きかけた美しいシャボン玉と共にプレゼンしてくれたOchiaiさんは、「壊れやすいシャボン玉」という私たちが誰でも思う既成概念すら打ち砕く。彼が2度目に会場に放ったシャボン玉は、不思議なシャボン玉。なんと手の上に落ちてきてもなかなか壊れないのだ。どよめく会場。


「しあわせ」をテーマにした長編ドキュメンタリーをプロデュースをした
Eiji Shimizu さんは世界中を回って得た体験をプレゼンテーション。その体験からたどり着いた言葉

No selfish happy people on earth.

(自分勝手な人に幸福な人はいない)


は心に響いた。



建築家として著名なエドワード鈴木さんは、カラフルな原子構造の模型を傍らにして建築を語った。



TEDxTokyoではどちらかというと、言葉だけで表現するプレゼンテーションよりも、まさに言葉を超えたプレゼンテーションが求められていたように思う。もちろんこれは純粋なTEDのコンセプトでもあるのだが、こうした英語圏以外でのプレゼンテーションではより一層求められることではあるだろう。

プレゼンテーションの言語は英語に限られているが、できれば英語以外の言語でのプレゼンテーションも今後は許されるといいとも思った。たとえば日本語の持つ独特の表現の彩は、なかなか海外に伝わりにくいのだが、伝えようによっては、英語では伝えきれないような様々なプレゼンテーションも可能なはずだ。英語をベースにして言語を超えるなら、英語以外の他言語を出発点にして言語を超えてもいい。ますますマルチリンガルにグローバル化していくはずの今後の世界を考えたとき、そういう変容がTEDに訪れてもいいような気もした。

プレゼンの後は、Google本社に移動してレセプションパーティが開かれた。太鼓パフォーマンスと間近の東京タワーと、遠くに見えるスカイツリー、東京の中でもコア中のコアであるような六本木ヒルズの天空にあるこの日。ステージでもその後の会話でも、東日本大震災のことに触れる参加者が多くいて胸に響いたことも付け加えておきたい。皆が気にしている。表現者として敏感な感性を持っている人たちがそのことに無関心であるはずがないのだ。

多彩な表現者達に拍手を。そしてボランティア中心のすばらしいTEDxTokyoスタッフに拍手と感謝を伝えたい。

Thanks TEDxTokyo !!!

また来ます。(もっと英語力を鍛えて 苦笑)




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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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