お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

総務省通達「東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する電気通信事業者関係団体に対する要請」は極めて危険だ。

2011/04/07 02:30
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
ブログ管理

最近のエントリー

ツイッターで教えられて驚いた。

総務省は4月6日、「東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する電気通信事業者関係団体に対する要請」として「電気通信事業者関係団体に対し、東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語について、各団体所属の電気通信事業者等が表現の自由に配慮しつつ適切に対応するよう、周知及び必要な措置を講じることを要請」した。

その内容は

「被災地等における安全・安心の確保対策ワーキングチーム」において、「被災地等における安全・安心の確保対策」が決定されたとして、「東日本大震災後、地震等に関する不確かな情報等、国民の不安をいたずらにあおる流言飛語が、電子掲示板への書き込み等により流布している状況に鑑み、インターネット上の流言飛語について関係省庁が連携し、サイト管理者等に対して、法令や公序良俗に反する情報の自主的な削除を含め、適切な対応をとることを要請し、正確な情報が利用者に提供されるよう努める」

としている。

つまり震災に関わる「流言飛語」に関するネット上の書き込みに関して、プロバイダーなどの電気通信事業者に対して削除などの方法によって管理を強化することを求める内容である。

別紙:東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する要請

には、

インターネット上の地震等に関連する情報であって法令や公序良俗に反すると判断するものを自主的に削除することを含め、貴団体所属の電気通信事業者等に、表現の自由にも配慮しつつ、「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン」や約款に基づき、適切な対応をおとりいただくよう御周知いただくとともに、貴団体においても必要な措置を講じてくださいますようお願い申し上げます。

地震や原子力発電所事故に関する不確かな情報等、国民の不安をいたずらにあおる流言飛語が、口伝えや電子メール、電子掲示板への書き込み等により流布されており、被災地等における混乱を助長していることから、このような流言飛語に惑わされることのないよう、関係省庁が連携して、広く注意喚起のための措置を講じる。 」

「特に、インターネット上の流言飛語については、関係省庁が連携し、これらの実態を把握した上で、インターネット利用者に対して注意喚起を行うとともに、サイト管理者等に対して、法令や公序良俗に反する情報の自主的な削除を含め、適切な対応をとることを要請し、正確な情報が利用者に提供されるよう努める。」

などの字句が並ぶ。(太字筆者)

私はこれは、きわめて問題のある通達だと思う。

すでに「プロバイダー責任制限法」などの法律はあるが、これは「特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利」であり、本通達の言う災害における「流言飛語」について定めた性格はない。

今回の災害において、いわゆるデマが飛び交い、問題が指摘されたことは事実だが、この通達内容は拡大解釈も可能であり、特に原子力発電所において起きていることに関する研究予測や報道に関して、政府や東電解釈に反する予測や警告には「流言飛語」として適用されるのではないかという危惧を強く感じる。

既に日本気象学会は会員研究者に対して、国の防災対策に関する情報を混乱させるという理由から放射性物質影響の予測結果を公表することを自粛するように文書通知を行い、多くの批判を受けている。


この総務省通達が、日本気象学会の姿勢と同じ文脈で発されていないことを祈るが、このタイミングでなされること自体、きわめて唐突かつ奇異な印象を受ける。ましてや、原発に関する政府の発表がきわめて不明瞭で問題があることが、国民からも各国メディアからも指摘されている最中のことである。総務省はこの通達に関してもっと国民に説明をし、議論を尽くすべきである。このような重大な通達が、有事のどさくさ紛れになされて良いわけはない。

自由な表現、言論の流通を保証するという、この国の基本的な理念がこのような形で脅かされないことを強く希望する。ソーシャルメディアにとっても命脈に関わる問題である。マスメディアや電気通信事業者諸兄におかれてもこの通達の問題点に関して是非注目願いたい。

【追記・参考リンク】
被災地等における安全・安心の確保対策ワーキングチームの設置について (平成23年3月31日) 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー