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iOSはMacOSを殺す。

2010/06/08 17:45
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プロフィール

殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
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昨夜発表になったiPhone4の仕様については、各所で触れられているので、それは別として、僕が昨夜一番衝撃的だったのは、iPhone4に搭載されるOSについて、正式にiOS4という呼称を確立したことである。
iPhoneOSと呼ばれていたものは、実はプラットホームを横断する新しいOSであり、決してガジェットな携帯電話を動かすだけの存在ではないことを、満を持して宣言したと見る。パーソナルコンピュータの歴史のステージが変わったのだ。この新しいステージでは、かつてマイクロソフトとAppleが覇を競った(といってもWindowsの独り勝ちだったが)あの見慣れたパーソナルコンピュータの時代は終わり、Androidも含めてタブレット型の携帯端末が中心になる時代が到来する。

速報:スティーブ・ジョブズ インタビュー@ D8で、ジョブスは興味深いやりとりを繰り広げている。

「プラットフォームについて。あなたはキャリアのほとんどをマイクロソフトとのプラットフォーム戦争に費やしてきたが、結局は負けた」という指摘に関してジョブスは、

「プラットフォーム戦争だとは思わない。マイクロソフトとプラットフォーム争いをしていたと考えたこともない。それが負けた原因かもしれないが。(会場受ける) われわれはただ最高のものを作ろうとしていただけ。どうすればもっと良い製品を作れるかとだけ考えていた。」

そして、「タブレットはノートPCを置き換えるか?」については

「それについては......(長い沈黙)。なにか良い例えがないかな。農業が中心だったころには、自動車はすべて荷台のついたトラックだった。しかし人々が都会に住むようになれば、自動車のことをもっと考えるようになる。PCはピックアップトラックのようになるのだと思う。必要とする人はだんだん少なくなってゆく。このことが一部の人を不安にさせるのだろう。われわれは長いあいだPCの世話になってきたし、PCはすばらしいものだ。しかしそれも変わってゆく。利益の構造も変わる。われわれはその戸口にいる。iPadがそれになるのか?分からない。変化は来年か、5年後かもしれない。」

ここでジョブスが敢えて明確には触れなかったことがある。それはMacの運命だ。

PCをピックアップトラックに例える前に、ジョブスは長い沈黙を挟んでいる。僕は彼の頭の中にあるPCの海と一緒に沈んでいくMacの影に思いを馳せたのだと考える。だから言葉に詰まったのだと。iOS4によって脅かされるのは、実はWindowsではない。Appleの基幹であり命であり中心的製品であるMacなのだ。それについてはジョブスはずいぶん前から意識してきているはずだ。だから「利益の構造も変わる」と言っている。Appleは自らが創りだした革命的デバイスと、それに搭載された未来型OSによって、その生命線を脅かされるという、楽観できない近未来に直面している。

価格面でも、機能面でも、それを支える市場規模においても、MacOSにとってiOSは太刀打ちできる相手ではない。現在はメモリマネージメントとマルチタスク機能によって、辛うじて優位を保っているが、それも長くは続かない。iOS5、iOS6と進化するに従って、iOSデバイスは圧倒的優位性を持って、MacOSというレガシーなOSの歴史的使命を終わらせるだろう。MacOSの幕引きをするのは、ほかならない。NextStepを引っ提げて、かつて石もて追われたAppleに返り咲いて鮮やかにMacOSのモダナイズを図り、iMacやiPad、そして「iOSデバイス群」で大成功を収めた、ジョブスその人である。

 現在のiOSデバイス群が、旗艦たるPCやMacがないとアクティベーションできない。その存在意義の保険期間をどこまで意図的に担保するかも注目だろう。製品単価と利益の急激なダウンは、Appleという巨大企業のポジションを脅かす。Appleはその下落分を新規市場であるAppsストアや、iTuneストア、電子書籍によって埋めるしかない。それまでの時間稼ぎが必要なわけだが、しかし、現在の勢いでは、その予定はかなり早まりそうである。ジョブスが想定していると思われる2015年まではかからないかもしれない。

 

ジョブスにとって、そしてAppleにとってMacは過去だがiPadは未来だ。「過去との互換性は画期的な製品進歩の抵抗である」かつてジョブスはそう言って過去の製品と全く互換性のないMacintoshによってAppleIIの命を止めた。iOSによってなされるであろうMacOSの運命は、想像するに難くない。iPadとiTuneの奏でる饗宴に心を奪われているジョブスのもとで、この先MacOSに未来はないだろう。経緯はともかく、ジョブスにとってMacOSはWindowsに敗れた屈辱のOSなのだから。過去はぬぐい難い。

この先数年でMacOSは消える。もしくは消えたも同然のめざましい進展が何もない状態に追い込まれると思う。そう。そこでAdobeの活躍する舞台はない。

昨夜の発表でジョブスは、「今月iOSはすでに1億デバイスの出荷を達成する」と高らかに宣言した。iPod、iPhone、iPadそしてAppsを総合した数値である。同時に、パーソナルコンピュータ市場のレイヤーを意図的にずらし、Microsoftとの戦争に急速に決着がつきつつあることを意識した勝利宣言だ。

いつの日か、Macを愛するあなたが業を煮やして尋ねる。「ジョブス、そろそろMacのことも思い出してくれないだろうか?」ジョブスはきっとこともなげに答えるだろう。「Macだって?今はiPadがあるじゃないか!」

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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