国内の無線接続機器の基準を満たすことの証明である、技適マークが貼られていない米国で購入したiPadを国内でWi-Fiに接続すると、電波法違反になるとの話がTwitterで広まっている。この件に関して詳しく問い合わせをしていただいた、@takuma104 さん、@norio_nomuraさん他のまとめがこちら。
US版iPadの Wifiは日本で使えるのかどうか、総務省に電凸
それによると、
結論としては、
・法改正され、設定画面などでのマークの表示だけで問題なくなる
・iPadのOSのupdateなどで設定画面の表示で技適マークが表示される
の2点がクリアになると、そのままこのUS版iPadのWifiが電波法的に使えることになるかもしれません。
という前提のもとで、やはり現状としては違法ということだった。
先日の記事でわずかな時間とは言え、Wi-Fiに国内で接続したことについて公言してしまっている私としては、(思いついてから11時間でその日のうちに僕のところにiPadがやってきた理由。)
その行為が違法であるならば、電波法違反で罰金なり懲役なり(苦笑)を受けなければならない。これは確認すべきであろう。11時間もかかってはいられない。早速総務省に電話してみた。
上記のまとめが大変によくできているので、こちらはそれ加えてさらに質問を重ねる形にしてみた。あわせてお読みいただきたい。
(問)
国内の無線基準を満たしている技適マークが貼られていない海外製品(iPadやパソコン)を国内でWi-Fiに接続して使うことは電波法違反でしょうか。
(総務省)
違法です。
(問)どの法規に触れるのでしょう。
(総務省)
同基準を満たしていない、無線を発する機器を使用することは、不法無線局の設置にあたります。
(問)
具体的には罰則規定があるのでしょうか。
(総務省)
(しばらく調べてくれた)
電波法110条の不法無線局の罰則が該当します。
電波法 第110条
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
1. 第4条の規定による免許又は第27条の18第1項の規定による登録がないのに、無線局を開設し、又は運用した者及び第110条2項〜9項を違反した者電波法 第110条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1項〜3項については省略)電波法 第110条の3、第110条の4は第110条の規定による
(問)
海外から多くの観光客が来ているが、海外のパソコンを持ち込んできていると思う。それらの観光客が日本でWi-Fiに接続したら、それも「不法無線局の設置」にあたるのでしょうか。
(総務省)
・・・・法規としてはそうなります。
(問)
1分でも2分でもそうなりますか。
(総務省)
そうなります。
(問)開発目的あるいは雑誌の編集部などが、レビューのために一瞬でもWi-Fiに海外のiPadを接続したらそれも「不法無線局の設置」ですか。
(総務省)
法規としてはそうなります。
(問)
申し訳ないですが、それは日常感覚と著しくかけ離れた法規ではないでしょうか?そう思われませんか。(苦笑)
(総務省)
・・・そうですね。ですが法規はそういうことです。
(問)
現在、技適マークをディスプレイなどに表示する方向で法改正が進められているという話を聞いたが確かですか。
(総務省)
確かです。米国のほうで相互承認という形で、日本国内の基準をクリアしたものにシールもしくはディスプレイに表示することでも合法にするよう、法改正中です。(文末リンク参照)
(問)
それは4月中という話も聞きましたが。
(総務省)
時期はわかりません。近くということです。
(問)
もう、買ってしまったiPadを国内で使うために、技適マークを受けることはできないのですか。
(総務省)
できます。技術基準を検査する団体が国内に何箇所かありますので、そこに持ち込んで審査を受けてください。
(問)それは個人でもできますか。シールがもらえるのですか?
(総務省)
個人でできます。シールではなく、番号が発行されます。
(問)
その番号があればOKということですか?
(総務省)
そうです。
これだけ日常的に無線Wi-Fiの接続能力を持った機器が国際的に行き来している現状では実に馬鹿げた、形骸化された法律であり、実際問題として運用のしようがないだろう。もともとは
「悪質な不法電波利用を防ぐために免許制度があり、全ての電波利用者に免許を取らせるのは無理なので、技適マークがあるのです。あくまで悪質な電波利用を取り締まる法的根拠のためだと思います。」(@norio_nomuraさん)
それは法の基本理念だろうが、いかにせん、時代と合致しない。
ではあるが、悪法であっても法は法。もしも米国でiPadを入手され、これからも国内で合法的に使いたい方は、
(1)法改正がされ、iPadのソフトウェアアップグレードで技適マークが表示されるまでWi-Fiに接続しない。
(2)上記の団体に持ち込み、技術基準をクリアしていることを承認してもらい、認定番号?をもらう。
のいずれかしか方法がないようである。
で、調べてみたのだが、この「団体」とは、「技術基準適合証明及び工事設計認証を行う登録証明機関等」のことであると思われる。
しかしまあ。。。。総務省はさらりと流しているが、こんなとんでもない(なさそうに見える)手続きをクリアするなら、法改正を待ったほうが無難かもしれない。やってみようかな。どうしようかな。
【※4/19追記】
コメントいただきましたので追記します。
「個別に登録する場合は、技術基準適合証明ではなく、技術基準適合自己確認による方法があります。これなら技術基準適合証明に比べればはるかに安価にできるはずです。(電波法第38条の33) 」( nezさん)とのことです。
【※5/4追記】
4/28に総務省、技術基準適合認定マークのディスプレイ表示による改正省令を施行。これにより、シールや刻印でなくてもディスプレイ上に技適マークが表示されさえすれば、法規をクリアできることになりました。後はAppleの対応次第。
【関連リンク】