産経新聞界隈がここ数日、ネットでは大きな話題になっている。まず昨日は、産経新聞の外信部記者である、佐々木正明氏が、世界ウイグル会議のラビア・カーディル議長の記者会見のtwitter中継を行った。これほど世界的規模で注目を集めているニュースの重要なシーンで、ここまで大手のメディアが正規な記者会見の場における議長の言葉を、ほぼそのまま、twitterで伝えて英語訳を呼びかけた。このことの意味は大きい。
twitterに流れた議長の会見内容は、ただちにユーザーによって英語、あるいは中国語に翻訳されてネット空間の中に広まった。その数分後に共同通信が記事を配信されたが、スピード、質ともにtwitter中継が上回ったと思う。佐々木正明氏がどの程度社の御旗との間で調整を行ったかは不明だが、勇断を讃えたい。
また、今朝は産経新聞に“現実世界とネット界をつなぐ”をコンセプトに新紙面「Web 面」が登場した。現実の世界に影響を与えているネット界の出来事や重大ニュースをはじめ、ネットをめぐる技術革新やコンテンツなど、ネットユーザー向けの最新情報を掲載するという。
さらに関東地方の朝刊テレビ欄には、番組表の中央に堂々と「ニコニコ生放送」の欄が掲載され、ニコニコ動画の番組スケジュールが掲載されており、その下には「TVもいいけどWEBもね」の文字。果たしてこれは、産経新聞の方向性の大転換を意味するものとして受け止めてもいいのだろうか。(なお、近日現在、iPhoneで配布されている産経新聞アプリケーション上ではなぜか、番組欄のニコニコ動画欄ははずされている)
かつて、ホリエモンことライブドアの堀江貴文氏は、「ネットとTVの融合」を唱えて、フジサンケイグループのニッポン放送に対し、無謀とも思える買収を仕掛けた。あれからおよそ4年。ライブドアの野望は露と消えたが、いま空前の紙と電波メディア凋落が明白になった今日、いち早く産経新聞がこうした思い切った舵を切った背景に、あるいはホリエモン事件のトラウマがあったかどうか。おいそれと死んでたまるかと、活字メディアの意地を見せつけているようにも見える。