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本当にセカンドライフは「過去の思い出」になったのだろうか(3)

2008/11/22 02:01
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プロフィール

殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
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2007年にセカンドライフを巡って、馬鹿げたと言ってもいいほどの狂想曲が日本で繰り広げられた話は前回書いた。

本当にセカンドライフは「過去の思い出」になったのだろうか(1)
本当にセカンドライフは「過去の思い出」になったのだろうか(2) 

何度も言うが、このブームを作ったのはその後セカンドライフの「急激な衰退」を一斉に書き始めたメディアである。
投資を行う方ならば、カラ売りという手法は熟知しておられるだろう。所有する株式が上がれば上がるほど含み益が拡大する通常の投資と違って、株価の山と見られる局面で、証券会社から株を借りて売却し、その株が値下がりした時点で買い戻す事で利益を得る方法である。例えが的確かどうかはわからないが、セカンドライフに関するブームが頂点に達したかに見えた時点で、この国のメディアは一斉に売り浴びせ始めた。実はこの時点で、もともとセカンドライフを体験できるスペックを持つパソコンは少なく、アカウントをとって奇奇怪怪なオリエンテーションランドから一歩も出ることが出来ず、二度とログインしないユーザーは溢れていた。
日経新聞の記事を見て、セカンドライフに店舗さえ出せば、オフィスさえ出せば話題になる、広告効果があると信じて参入した企業群には、「閑散としていて誰もいない」あげくは「廃墟」だなどという言葉が浴びせられ、徐々に空気は変わっていった。

日本における「偽りの」ブームと、その後の偽りの「空売り」がこうして演出された。もともと、この時点でセカンドライフの中身に確たるビジネスモデルがあったわけではなかったし、企業参入の意味を広告効果以上に求めるのは性急に過ぎるというものだった。急成長しているとはいえ、この頃セカンドライフの土地の面積は高々1つの区ほどしかなく、登録住民もやっと1000万人に乗るかどうかであった。私が空売りという言葉を盛んに使うのは、まだ草創期にあり、住民数もビジネスモデルも未知の、しかし極めて斬新な新しい世界を、勝手に持ち上げて勝手に引き下ろすという、実に空虚なことが行われたのが昨年の夏から秋にかけてのことだったということである。

そんな行為に何の意味があるのか、もしも意味があるとすれば、そろそろ次の獲物を見つけなければ紙面が持たない雑誌ジャーナリズムの業だったろうし、ITジャーナリストとであったろう。「もうそれは古いですよ」「いやあれはだめですね。これからはXXXXの時代ですよ」本質とかけ離れたそうした、性急なこきおろしが功を収めたか、加熱とも思えるほど持ち上げられたブームは、日本では秋以降急速に沈静化していく。
登録ユーザー数こそ右肩上りで増えていたものの、元々日本国内の登録ユーザーの多くは「話題のセカンドライフ」をちょっと覗いてみようという程度の認識しかなかったのだろう。その多くが何回かログインすると飽きてしまい、離れて行ったこともあるし、パソコンのスペックが追い付かなかったために、ろくに動かすことができなかったこともあったろう。

1ケ月に30分以上ログインする、いわゆるアクティブユーザー数をリンデンは公開していたが、それによれば日本のアクティブユーザーは、2007年7月の4万あまりをピークに下降に転じる。現在はリンデンはアクティブユーザー数を公開していないが、これはまあ賢明な判断だろう。mixiなどのSNSにしろ、一般的なblog等の会員にしろ、「アクティブな」ユーザーがどれだけいるかなどと、公開しているサービスはまずない。mixiユーザーのはたしてどれだけが、「月に30分以上」ログインしているだろうか?驚くほど少ないのではないか?

ともあれ、アクティブユーザー数を示す下のグラフを見ると、セカンドライフは昨年夏から衰退の一途を辿っているかのように見えるが、2007年の前半の状況はほとんど語られることはない。2007年の前半、日本の登録ユーザーは、そもそもほとんどいなかったのだから、極端な下降が語られるならその前、半年間の「異常な」急上昇も語られなければならないだろう。

 

ところが、ここで着目すべきは世界のアクティブユーザー数である。グラフを見ると上下があるが日本やブラジルほどの下降は示していない。さらにUSのそれを見ると、横ばいから漸増しており、日本で言われるような「急落」など、起きていないことがわかる。

 

このあたりは、セカンドライフをやっていていつも海外のユーザーと「温度差」を感じる点である。日本人ユーザーが感じてきたような著しい「空気の変化」を米国のユーザーなどは切実に感じてはいない。

セカンドライフがそうであるかどうかは別として、インターネット上の仮想世界が一般的になる時代は必ずやってくる。議論が分かれているのは、それがいつなのか。そして主流となるワールドがどれであるか、だけだ。それまでは慌ててもしょうがない。

つまり2007年から2008年にかけて日本で起きたような極端な逆風は彼らには吹いていなかったということである。日本国内のユーザー数を思えば、つまり世界のほとんどのセカンドライフユーザーにとって、大して関心もない話なのである。国内メディアの報道がなされようが、なされまいが、電通が参入しようが撤退しようが、事態は欧米を中心に確実に動いていく。日本と無関係に。

残念ながらそれがITにおける世界の現実であるし、日本のおかれている状況である。それはそのまま世界のIT全体における我々のポジションを物語ってさえいるように思う。

もちろん、私はリンデンの過去と未来が順風満帆であるなどという意志はない。もちろん問題はあるし壁はある。しかしその壁はもっと違うところにあるのである。

続く

図出典:Second Life Virtual EconomyKey Metrics (BETA)
参考リンク:WebKobayashi Place

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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