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CNET Japan ブログ

日本初講演。セカンドライフ創業者・フィリップ・ロズデール氏語る。

2008/06/02 00:07
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プロフィール

殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
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5月29日、VirtualWorld Conference&Expoにおけるフィリップ・ロズデール氏の日本初の基調講演とあって、てっきりビッグサイトの会議棟で行われると思っていたが、展示会場の横の小さなブースでの講演でいささか拍子抜けした。それでもおよそ200名位の聴衆だったろうか。バックには「Why」と書かれたスクリーン。その中をロズデール氏が登場した。

※講演内容は、同時通訳の内容を私がメモ書きでまとめたものです。中には不十分な箇所があるかもしれません。万一不正確が過ぎるところがありましたら、関係者の方ご指摘ください。

 

(講演)

後ろに「Why」とありますけれど、なぜVirtualWorldが重要なのか、というお話から始めようと思います。Virtual Worldは、単なるGUIではありません。単にビジネスの機会を生むというだけのものでもありません。これが、我々の未来を、10年で世界を変えていく。たくさんのことをVirtualWorldでやるようになります。だから重要なものなのです。

日本では今日のこのような集まりは、10年前には考えられなかったわけですが、最初に来日したとき、私は本当に驚いたんです。東京は、とてもクリエィティブで、技術的な創造を行っていると思いました。そして日本でVirtualWorldを創造すること、これが昨年始まりました。そして今、沢山の参加者がいますし、ジャンルも多岐にわたっています。インターフェース、テクノロジー、そしてビジネスアイデアに至るまでです。

これからは、RealWorldとVirtualWorldには境界線がなくなり、この分野でのスキルや文化を持った人が社会を作っていきます。もっともっと色々なものが登場してきます。こうしたことが、やっと日本で注目されるようになってきているのです。

私が初めて日本に来たのは、小学校4年生の時で、父に連れられて秋葉原に行きました。そして大変に衝撃を受けました。私はパソコンの組み立てに興味をもちまして、そういう意味ではクリエイティブな子供でして、パソコン以外にも自分の部屋のドアを天井に向かってあげるように工作をしたんですね。そういうことは、RealWorldではとても難しいことですけれど、VirtualWorldでは簡単です。で、プログラムを始めまして、コンピューターの上でそういうものを集めてシミュレートしていく、そういう創造を行うことはとても素晴らしいことだと思いました。
高校生の時に会社を立ち上げまして、そこで実務的な考え方を身につけました。で、適切な技術がそろうまで待っていたんですね。

で、1999年ですか、2つのことが変わりました。

1つは、ブロードバンドです。これでネットワークというものの可能性が明確になったんですね。
2つめには、nvidiaという会社から Gforce2というグラフィックボードが出たことです。これで、VirtualWorldをスタートするに十分な条件が整ったわけです。

で、RealNetworksを辞めまして、SecondLifeを始めたわけです。それから9年経ちました。その中で、色々な壁にもぶつかりましたし、成功も収めました。

今、SecondLifeは、20,000台のサーバ、CPUを動かしていまして、500平方マイルの土地が広がっています。毎日100万ドルの売買がその中でされていまして、とても大きな経済圏にもなりました。これは中規模の米国の都市に匹敵します。その中で、50,000人の人たちが利益を得ています。SecondLifeの中では、クリエィティブになること、そしてそれをお金に換えることができます。これがとても重要なことなんです。

成熟度について話をしますと、よく「今後どのように成長していくのか?」と質問を受けるんですが、今後10年で100倍くらいになりますと答えています。現在は、まだフェーズとしては初期段階で、1%にもなっていないんです。

1994年にインターネットは、ほとんどやっている人がいなくて、始めても、何も得られないからと途中でやめてしまう人もいました。それがいま、当時に比べて100倍くらいになっているんですね。1994年に100万人くらいだったものが10年で1億人くらいが使うものになりました。

私は、VirtualWorldが成熟したら、Webよりも大きなものになると思っているんです。人間は、常にテクノロジーを使って情報を生み出し共有してきました。インターネットも情報を共有する大きな手段だったんですが、VirtualWorldは2つの点で従来のインターネットとは違います。

まず、Webはあくまで情報はテキストなんですね。もちろん読み書きということでは大変にパワフルなものですが、言葉が最適とは限らないわけです。たとえば、今私がここで椅子をステージのほうに向けたとします。皆さんはそれを目で見ている。椅子を目で見ていたほうがそれをずっと覚えています。目で見るということは本当にパワフルなことです。それから、テキストを使うとそれが言語によって分かれてしまうんですね。たとえば私は日本語を知りませんから、インターネットを使って東京に何が起きているか知ろうとしても、わからないわけです。テキストには限界があります。
でも、VirtualWorldでは、私は問題なく東京の街を歩くことができます。VirtualWorldは言語の壁を取り払います。

次に、人々は情報をシェアしたい、誰かと一緒にやりたいという志向性があるわけです。VirtualWorldでは人々は情報を使い、何かを作る、そういうことを一緒にやることができます。

たとえば、アマゾンでは同じ時間に、同じデジカメを見ている人が500人くらいいて、同じWebを見ていたりします。しかし、その見ている人同士で話をすることはできないんです。Web上で周りの人に聞いてみるようなことはできませんよね。
でも、VirtualWorldでは、共有のスペースでコミュニケーションをとることができます。オンラインで誰かと一緒にいたい、という気持ちをWebでだけではなくVirtualWorldで同等に関わっていくことができます。ですから、テクノロジーが成熟すれば、VirtualWorldは確実にWebより大きくなると私は思っています。

ですが、SL=VirtualWorldにはいくつかの成長の段階があります。それはインターネットがたどってきた道を同じです。4つの段階があると思っています。

(1)遊びながら友達をつくり、楽しい思いを共有しながら、作品などを作っていくような段階。

(2)学校、教育分野に入り、より大きな規模で利用される段階。

(3)企業に入り、協業に使われる段階。これはより注意深くされると思います。

(4)企業が技術を使って大きく成長させていく段階。

これはインターネットと全く同じなんですが、今はまだ(1)の段階です。

今、SLでは教育機関が一番たくさんの土地を持っていまして、Gridの15%が教育者によって使われていますが、企業のeコマースにはまだ向いていません。

SLは、まだもっともっと使いやすくしていかなければならないんですね。たとえば、どうやってモバイルで使えるかということがあります。これはダウンロードしないで、行わなければなりませんし、もっとインターフェースをシンプルにしなければなりません。これは今、ユーザーコミュニティなどで始められていますが、情報ももっとシンプルにしなければなりません。そうすればサーチとかがもっと簡単にできるようになると思います。SLはまだまだ初期の段階なんです。ビジネスについても、まだまだいいものが出てくると思いますので、もう少し待ってほしいと思います。

最近SLに批判があるのもわかっていますが、皆さん、1995年とか1996年頃のインターネットもやっぱり同じようなことが言われていたんですね。つまり使いにくいとか難しいとか、ところが今や、欠かせないものになっていますよね。それと同じことが起こると思います。それに気づいてほしいと思います。必ずVirtualWorldはWebより大きくなります。

そのためには、オープンであること、そして標準化ということが必要です。企業にとっても、皆さんにとっても欠かせないものになるのには、標準化されたシステムが必要で、それがあってこそ、次のインターネットになることができるんです。ほかのVirtualWorldに参加するといううことも必要になってくるんですね。

それは、他のVirtualWorldとアバター、お金、そしてオブジェクトを共有するということです。こうしたコンテンツが有機的に結合していてこそ、素早く大きく成長することができます。こうしたことでビジネスをひきつけ、インターネット並のスケールを作っていくことになります。オープンにつながっている状態でやっていかないと、成功はできないんです。

【会場からの質問】

Q.環境面での可能性についてどう思いますか?VWでは消費しないでものをつくれると思うんですが。

A.確かにVWでは、原材料のコストが限りなくゼロです。無駄な浪費もしません。ですが、VWのほうがお金がかかる面もありますね。デザインですとか、そういうところですとか。それから、電気を使っていますから(笑)ですがきっとこういう面でも素晴らしいユニークなモデルが出てくると思います。

Q.ハードウェアの進化に関してはどうですか?希望を持たれていますか?

A.2点あります。VWはもっと標準のコンピューターで走らなければならないということです。ノートパソコンでperfectに走らなければならないと、私は思っています。このあたりは今、日本のメーカーも整えようとしていますね。

それからインターフェースは、この2−3年で非常にexcitingな変化を遂げると思います。たとえば、3Dカメラですね。これによってユーザーは奥行きを見ることができるようになり、手足や頭を動かすと、これに伴ってアバターが動くようになります。

Q.まだ時間がかかるということですが、それはどのくらいの時間なんですか?

A.(笑)今のSLがこのような状態になることを私が知っていたのか?などとよく聞かれるんですが、これはわかっていたともいえるし、わかっていなかったとも言えるんですが(笑)今後爆発的な成長をこの分野は遂げるとは思っていますが、インターネットと同じで、10年くらいはかかると思っています。

Q.少子高齢化の社会にあって、VWはどのような意味がありますか?

A.これは非常に素晴らしい貢献をすると思います。現在ユーザーの平均年齢は32才で、46%が女性です。で、30-60才の人たちが40%ほどいます。VWは今後ずっと働ける場所、そうした高齢の方にもパワフルなツールになると思います。

Q.ユーザーが減少しているのでは?という点に関してはどう思われますか?

A.まだ初期の段階ですから、まだこれから2−3年の間、浮き沈みはあると思います。エキサイティングな段階が残されています。使用者数が減っているというのは、ちょうど6ケ月くらい前に大量に人が入ってきて、そういう人たちが辞めていく、で数が減るんですね。もっと操作を簡単にしていく、そして多様性を作っていく。モバイルとかですね。そういうことが必要になると思います。


Q.SecondLifeをやっていて一番楽しかった経験を教えてください。

A.これはもうたくさんありましたが、初めてSLで翻訳機をを使った時は驚きました。えーとあれは日本のなんというSIMでしたか・・トウゲンキョウ?(笑)そこで翻訳機を使って初めて日本の人と話をしたときは興奮しました。もう信じられないことだと思いましたよ。私がいままで絶対できなかったことができたのですから。(笑)

この後、ユーザーパーティにも、ロズデール氏は顔を見せ、参加者と気さくに会話を交わしていた。「イケメンの億万長者」などと言われて、西海岸では大変な人気だ、と在米の女性から聞いたことがあるが、それもうなづける。まっすぐに人の顔を正面から見て、たどたどしい質問にも真剣に耳を傾ける。素晴らしく魅力のある人物であることがわかる。

私は、会場で質問したかったことがあり、しつこく手を挙げたのだが、指してもらえなかった。聞きたかったのは、SLの過疎化の問題だ。リンデンラボは、今月からSIMの購入価格を大幅に下げた。環境SIMと呼ばれるSIMに至っては、プリム数に上限はあるが、従来のSIMの1/10の価格で購入することができる。アクティブユーザーが十分に増えていない以上、ますますワールドの過疎化は進展する。このあたりどのように考えているか見解を聞きたかったのだ。好ましくないと思っているのか、それともあまり気にしていないのか。というのも、どうもこのへん、感覚的な問題でアメリカ人と私たち日本人では違いがあるように思っていて、実はリンデンではあまり気にしていないのではないかとも思っている。日本では過疎化過疎化と騒ぐのだが、アメリカと日本ではRLの土地感覚も違う。広いSIMに自分一人などということも、国土の広大なアメリカのユーザーとでは感覚が違うのではないかと思ったわけだが、それを聞くことができなかった。

で、ユーザーパーティでは何と挨拶をする機会に恵まれて、氏と直接二、三言言葉を交わす機会に恵まれたが、どうもつまらぬ挨拶(例:早稲田大学を知っているか。答えはNOだった!!!笑)に終始し、肝心なことを聞くことができなかった。反省しきりである。「スノウクラッシュ」の話もしてみたかったのに!あれもこれもと思っても後の祭りである。

講演に話を戻せば、CEOというようりは、やはりエバンジョリストという役割が氏には似合っているように思ったし、その意味では強力な人である。午前中の次のセッションでIBMのPaulLedak氏が語ったIBMの戦略はその点、非常にビジネス的に具体的な展望に満ちており、ロズデール氏との組み合わせは、非常にバランスが取れていたように思った。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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