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GMOの苦境に見るIT企業と消費者金融事業の危険な関係

2007/08/26 17:27
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殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
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消費者金融各社の業績が大幅に悪化している。貸金業法の改正利息制限法のグレー金利領域廃止に伴って、過払返還請求の件数が増え、各社が引当金を大幅に積み増さなければならないためであるが、このことの影響は、消費者金融の看板に隠れて高利を貪ってきた大手都市銀行に留まらない。

8月に発表された「GMOインターネット、消費者金融事業から完全撤退」のニュース は、ネット系企業が、その利益のほとんどをこうした消費者金融を始めとする金融事業に依存していることをあらためて思い出させる結果となった。

ネット関連事業を手掛けるGMOインターネットは、2007年12月期決算が130億円の最終赤字に転落する見通しとともに、金融事業からの完全撤退を発表した。前期も121億円の最終赤字を計上しており、2期連続の巨額赤字となる。

GMOインターネットは8月13日、ローン・クレジット(消費者金融)事業からの完全撤退を発表した。グレーゾーン金利を規制する貸金業法の改正により、消費者金融業界の見通しが不透明となっており、株主利益のため撤退を決めたという。

GMOインターネットは2005年8月、オリエント信販を買収して消費者金融事業に参入した。しかし2006年12月期には同事業で82億円の利息返還引当金を計上した影響から、120億円の最終赤字になるなど、負担が増していた。

今後、同社は2007年8月21日付けで、消費者金融事業の持ち株会社GMOローン・クレジットホールディングス(GMOLCH)の保有株式91.1%すべてを、GMOLCHの現経営陣が設立した受け皿会社に500万円で売却する。

またGMO証券は同グループの熊谷正寿社長に譲渡し、35億円の特別利益を計上するという。(日経BP--GMOインターネット、消費者金融事業から完全撤退)

稼ぎ頭と言われた金融事業持株会社をたった500万円で手放すというのにも驚いたが、GMOの場合、2007年12月期の決算短信によれば、連結売上508億円のうち、実に141億円がインターネット金融事業での売上であり、ここで先に述べた引当金の増大により、実に123億円の営業赤字を計上している。記事にあるように、前期の121億円の赤字に次ぐ、2期連続の巨大な赤字を計上することになる。同社のインターネット関連金融事業には前述のオリエント信販のほか、GMOネットカード(株)、ライクカード、三洋信販などの消費者金融事業者など、19社の売り上げが連結対象として含まれている。

今回の売却は、金融事業の持株会社であるGMOLCHの売却により、金融事業から総撤退し、過払返還請求による損失を、短期的かつ最小限にとどめようとするものであるが、市場の評価は厳しく、他に明確に収益強みのあるネット事業も見つからないことから、GMOの株価は8月24日現在終値453円であり、この3ケ月では約50%、半年単位では実に70%下落している。

こうして、「本業」以外の、しかし収益の柱であった金融事業への依存体質から、業績悪化が懸念されるネット企業はGMOだけではない。先日六本木ヒルズにあるYahooを訪ねたところ(Yahooは本社を六本木ミッドタウンに移転したが、一部機能はヒルズに残している)受付の壁面に関東財務局登録貸金業者証が堂々と掲示してあることが印象的だった。これは消費者金融業者が東京都に届出を行い事務所等に掲示しているものと同じであり、一見Yahooに不似合いな印象があるが、一面でYahooが「立派な」金融事業者でもあることの証である。

Yahooの金融事業は、ジャパンネット銀行と三井住友銀行と提携して展開されているほか、ヤフーファイナンスを持っている。消費者金融への踏み込みはGMO程ではないが、本業関連では消費者金融各社からの広告が大幅に減らされた結果、ヤフー日本法人の業績は、2007年第1四半期売上が492億6600万円となり、4月予測の500?534億円を大きく下回る結果となっている。
また、楽天は子会社の楽天クレジットによってローンカード「楽天のマイワン」を展開しているし、これらの企業にとって、GMOの苦境は対岸の火事ではない。

ポータルやネット販売、ネット広告といったIT事業の「中心的事業」は、市場の関心を集めるための「撒き餌」であり実際の収益にはほとんど貢献せず、金融事業で「食べる」これら企業の体質は(もっとも直近ではネット広告の市場は急速に伸びてはいる)兼ねてから指摘されてきた。思えばライブドア騒動の時にも、同グループの収益の柱はほとんど金融事業で成り立っていることが、あらためて認識されたことを思い出すが、過払返還請求がIT系企業全体の重大な、しかも具体的なリスクとして表面化したという点で、GMOの件は重要な出来事と言えるだろう。

さらに消費者金融各社の業績悪化は、まだ始まったばかりであるという見方もある。業界最大手の武富士はまだリスクが表面化していないが、

武富士に対する過払い金請求がどこまで拡大するか見えないのが現状です。怖くて、どこも手を出せないと思いますよ。GE系のレイクも状況は同じですが、武富士は歴史もあるし、それだけ過払金が膨大になる恐れがあります。(気になる武富士の行方--ライブドアニュース

と囁かれている。
折から米国のサブプライムローンが世界経済への激震の震源となっている時ではあるが、IT関連企業が共有する潜在的な金融事業リスクも当面は要注意であろう。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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