4月23日のポスト「Googleが路線、辞書などへリンク」について詳細を追加しておこう。
関連記事としては以下を参照のこと。
グーグルで路線や株価などが検索可能に, CNET Japan, 2004/4/22
駅前探検倶楽部、Google 日本語版と検索リンクを開始 , japan.internet.com, 2004/4/23
Google で、ヤマトの荷物配達状況や企業の株価などが検索可能に , japan.internet.com, 2004/4/22
日本のGoogleでも株価や路線、辞書などの特殊検索が可能に , Internet Watch, 2004/4/22
ユーザーの気持ちになって使うのが私の常であるので、まずはどのように使うのか、どれ位便利なのか実際に使ってみる。
乗り換え
サーチボックスに
と入力する。すると検索結果の一番上に
- 駅前探検倶楽部
- えきから時刻表
へのリンクが表示される。次のような具合だ。
東京から恵比寿の乗り換え案内
駅前探険倶楽部 - えきから時刻表
このサービスは便利どれ位便利か
ユーザーの画面遷移を考えると次のようになる。ただし最初にGoogleのトップページにいるものとする。
・Googleトップページで「乗り換え 東京 恵比寿」と入力する ↓(1クリック) ・Googleサーチ結果 ↓(2クリック) ・駅前探検倶楽部の案内ページ ↓(3クリック) ・駅前探検倶楽部のサーチ結果ページ
目的のページにたどり着くまでに「3クリック」かかることが分かる。
ここでもし駅前探検倶楽部を既に知っている人がいたとしたら、画面遷移はどうなるか考えてみよう。ここでもユーザーはGoogleのトップページにいることと仮定する。
・Googleトップページで「駅前探検倶楽部」と入力する ↓(1クリック) ・Googleサーチ結果 ↓(2クリック) ・駅前探検倶楽部のトップページで「東京」、「恵比寿」と入力する ↓(3クリック) ・駅前探検倶楽部の案内ページ ↓(4クリック) ・駅前探検倶楽部のサーチ結果ページ
駅前探検倶楽部を知っていてもGoogleのトップページからスタートすると1クリック余分にかかってしまう。つまり普段「駅探」を使っている人は今回のサービスで1クリック特をすることになる。
しかし、もしユーザーが「駅探」をブックマークに登録していると仮定すると、「駅探」のサーチ結果にたどりつくまでに合計で3クリックになって、今回のGoogleのサービスによる恩恵は受けないことになる。かえって「乗り換え」と余計なキーワードを入力する分だけ損をすることになる。
ちなみに「乗り換え」は「乗換え」、「乗換」、「のりかえ」、「東京から恵比寿」でも機能する。
このような画面遷移(ナビゲーション)のことをあーでもない、こーでもないと何時間も話しているのがポータルサイトのエンジニアやプロデューサーだ。私も新しいサービスではどうしても使い勝手が気になってしまう。
我々も含めて他のポータルサイト、いや他のウェブサイトの開発に携わる人は全て(と願いたい)、このように1クリックでも早くユーザーを誘導できないかと考えるものだ。
その他のサービスは
その他のサービスに、次のものがある。
- 英和・和英辞書
- 株価
- ヤマト運輸の荷物
これらのサービスも是非皆さんで一度使って試して見て欲しい。
今回不思議だったのは「地図」が無かったことだ。おそらく交渉中なのだろうが、間に合わなかったのだろう。USではまず地図から始まった記憶があるので、日本でも地図は当然やると思う。
Googleの開発体制について
通常、このように他の会社と連携したサービスを行う場合に色々とやり取りが必要になる。
- お金の交渉
- 契約書の作成
- 技術仕様の確定
- 実装(負荷テスト等を含む)
- 毎月のレポーティングや請求書の発行など必要な経理処理
今回のサービスによりGoogleは他社と組んだことになる。推測の域を出ないがおそらくこれはUSのProduct Managerの仕事だろう。日本のGoogleは基本的にこれまでセールスオフィスであったので、セールス関係の作業以外は全てUSでやっているものと思われる。
雑誌などにも紹介されているがGoogleのインターナショナルのPMは皆さん日本語が堪能だ。RichもAngelaもKenもNative Speakerと言って良い(というかRich以外は日本人だしRichも日本生まれだ)。
先日、日本の開発研究センターの発表があったが、エンジニア同士だけでなくPMとエンジニアとのやり取りも非常に重要である。
残念ながら日本のエンジニアで英語のレベルが高い人、一人で英語だけで仕事が出来る人というのは非常に少ない。日本では日本語だけで仕事が出来てしまうので、しょうがないと言えばしょうがないのだが、日本の若いエンジニアには是非英語をバシバシと勉強してもらいたい。
前回も言ったがUSと日本の温度差を埋めるには、メールや電話だけではダメなのだ。やはり直接会って一緒に働き飯を食わないと温度差は埋められない。
Googleにとって日本にエンジニアを置くことはチャレンジングであるが、やはり日本でのリーチ不足、Yahoo天下は気になるところだろうと思う。「Googleは日本ではいまだにチャレンジャーなんだ」ということを理解するには、先日のWayne RosingやEric Schmidtのように日本に来ないと分からない。二人が日本に足を運んだと言うことはそのことを理解している証拠であり日本で次の手を打つ準備をしていることを意味していると思う。
-inoue